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映画『花芯』―瀬戸内寂聴が子宮作家と呼ばれた問題作

ローリングストーン日本版 7/31(日) 17:00配信

子宮作家―1957年、『花芯』を発表した瀬戸内寂聴(当時は瀬戸内晴美)は、同小説内に数度記された"子宮"という言葉のため、こう批判されたという。反論した瀬戸内は、結果5年間、文芸誌を干されることとなった。

【動画あり】映画『花芯』―瀬戸内寂聴が子宮作家と呼ばれた問題作

映画『花芯』はそんな問題作を元にした作品。主人公は、親の決めた許婚と結婚することになった古川園子(村川絵梨)。夫である雨宮清彦(林 遣都)に対して愛情を感じないまま、良き妻役を演じていた彼女はある日、夫の上司である越智泰範(安藤政信)と出会う。初めて経験する恋にとまどう園子。だが同時に、己の身体が求める肉体の喜びにも逆らえなくなっていく。


(c)2016「花芯」製作委員会

今回監督を務めたのは、『海を感じる時』で少女が大人の女性に成長するさまを繊細に描き出した安藤 尋。本作では恋を知った園子が、華やいだかと思えば絶望に苦しみ、希望を成就させたとしても、またさらなる寂しさを知る姿を、彼女に寄り添いながら静かにかつ強く描いていく。

園子は官能の陶酔に身をまかせつつも、その後ひどく冷静に自分の身体について分析する。村川絵梨演じる彼女の表情は、とても恐ろしい。"いいわよ。私たちのこと、そういう言葉で言いたいんなら。愛してるわ"というセリフには、男性が考える世界の一歩先に進み、より高いところへと到達してしまった女性のすごみさえ感じられる。

結局のところ男女はわかり合えないのだとしても、一縷の望みにかけようとするなら、本作のような映画がその助けとなるかもしれない。

花芯
★★★

監督/安藤 尋
出演/村川絵梨、林 遣都、安藤政信ほか
8月6日(土)より、テアトル新宿ほか全国公開
http://www.kashin-movie.com/

Text by Shinjiro Fujita (RSJ)

(c)2016「花芯」製作委員会

RollingStone Japan 編集部

最終更新:7/31(日) 17:00

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