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京都の「365日アートフェア」なホテル

GQ JAPAN 8/1(月) 18:18配信

京都駅の南側という観光とはやや縁遠い場所にありながら、「京都のアート&カルチャーの今」を立体的に発信することで人気を集める「ホテルアンテルーム京都」が、このたび大幅に増床してリニューアルオープン。そのめくるめく全貌を紹介しよう。

【アートに囲まれた旅館でくつろぐ……その他の客室の画像はこちら】

朝目覚めたときに、ふと目に飛び込んでくるベッドサイドのドローイング。柔らかな朝日に照らされたその瑞々しい発色に目が釘付けになる。その新鮮な感動を毎朝味わいたくなったら、「よし、この絵を買おう!」が正解だ。

そんな体験をできるユニークなアートホテルが、「ホテルアンテルーム京都」だ。2011年にオープンしたこのホテルは、当時から気鋭の彫刻家・名和晃平が率いるクリエイター集団「SANDWICH」をはじめ、京都や関西エリアを中心に活動するアーティストやクリエイターによる作品を客室や併設のギャラリーに配したスタイルが話題を呼び、日本はもちろん、海外のアート通からも高い評価を得てきた。この夏新たに67室を増床し、大規模なリノベーションを果たしてリニューアルオープンした。

特に今回のリニューアルで注目したいのが、1階と6階のコンセプトルーム8室だ。部屋にアートを配するだけでなく、部屋自体をひとつのアートとしてつくり上げた、アーティストの世界観が丸ごと詰まった空間になっているのだ。今回増床にあたり起用するアーティストの全体のキュレーションを手がけた名和自身の部屋はもちろん、蜷川実花やヤノベケンジ、金氏徹平といった人気アーティストたちによる、床から壁、ベッドや庭に至るまでを徹底的につくり込まれた部屋は、まさに究極のプライベートアート空間だ。

なかでも蜷川による「151」号室では、壁紙からカーテン、ベッドリネンまで蜷川が撮り下ろした桜の作品のグラフィックを施した空間とし、さらにその中に桜の写真作品を展示、庭には本物の桜の木を植樹した。春、桜の季節には360度の満開空間で特別なプライベート花見を楽しめそうだ。これら一部のコンセプトルームは庭を望む直径1,200mmの青森ヒバのバスタブが設置された高級感あるバスルームを擁するほか、オリジナルデザインのホワイトオークと銅メッキ材を基調としたシンプルな家具や調度が、控えめな洗練を醸しながらアートのユニークネスを際立たせている。

そして何より特筆すべきは、増床した部屋に展示されたほぼすべてのアートを販売しており(価格はなんと数千円から)、自由に購入することができることだ(ただし、すぐに持ち帰ることはできない)。名和はこう語っている。「お客さまが滞在中、完全なるプライベート空間でアートにゆっくり接してもらえることで、購入していただく可能性も高まります。アーティストにとって、この場はまさに“365日アートフェア”状態なのです」。展示されているアートが購入されれば、また新しいアートが展示されることによって、ホテル自体が新陳代謝していくというエコシステムだ。

このホテルのユニークネスは、まだまだ枚挙にいとまがない。

部屋の中以外にも、館内至るところにアートが展示されており、現在1階の「GALLERY9.5」では、名和やヤノベ、やなぎみわ、服部滋樹など23組のクリエイターの作品が一堂に会する『ULTRA × ANTEROOM exhibition 2016』が開催されている(~2016年9月11日)。

また朝食レストランの「ANTEROOM MEALS」の奥にはアトリエが新設され、併設するアパートメントに長期滞在するアーティストの制作拠点となることで、ゲストは朝食を楽しみながら、アートが生まれる臨場感にふれることもできる。

中庭にはartlessの川上シュンと金子カズキ、united flowersの田中孝幸のコラボレーションによる現代の石庭「石庭 京都鳥瞰図」も新設。京都のホテルならではの、新しい和の美意識の提案を堪能することができる。

お気に入りのアーティストの部屋を指名して(※要電話問い合わせ)どっぷりと世界観に浸かるもよし、まだ名前も知らないアーティストとのセレンディピティに胸をときめかせるもよし。はたまた、出合ったアートを購入して自宅を自分だけのアート空間に仕上げてしまうもよし。

ただ豪奢なだけの物質的ラグジュアリーさではない、文化的で精神的な豊かさを体験できる、そんな唯一無二の価値をもつ特別なホテルの登場である。

竹内大(profile)

最終更新:8/1(月) 18:18

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