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東証マザーズの指数先物がついに上場。その使いみちとは?

HARBOR BUSINESS Online 8/1(月) 9:10配信

東証マザーズ指数先物が19日に上場した。急激な円高で神経質な相場が続く日経平均に対し、マザーズ市場はバイオ関連やゲーム関連など個人投資家に人気の銘柄が多く上場しており、資金流入が続いている。マザーズ指数先物上場で相場は活性化するか? 最前線を追った。

◆待望の上場で国内外の売買も活発に!

 東証マザーズ指数先物が上場した。そもそもどのような仕組みなのか。

 マザーズ指数先物は、マザーズ市場に上場する全銘柄を対象として算出される時価総額加重平均型の指数。マザーズ市場は235の国内企業が上場していて、時価総額は約4兆円のマーケットだ。

 最低取引単位は東証マザーズ指数×1000円となっていて、20日の東証マザーズ指数は約920ポイントのため、取引金額はおよそ92万円。ただし、全額が必要ではなく、日経225先物などと同様に「証拠金」を担保に入れることで、少ない資金で大きな売買ができる。証拠金額は相場状況などによって異なるが、7月20日時点では8万1000円あれば1単位の売買が可能だ。およそ11倍のレバレッジが利くことになる。

◆先物上場で個人投資家の投資戦略が広がる

 プロの証券ディーラーたちはマザーズ指数先物上場の影響をどのように見ているのか。某証券会社にて株式ディーラーとして勤務するA氏に話を聞いた。

「建前としては235全銘柄を対象としていますが、マザーズ市場のうちそーせいが約17%を占めているため、一番寄与度の低い銘柄を最低単位買った場合、そーせいを17万株買わないといけないような事態になります。売買代金の大きなそーせいとはいえ、さすがに17万株の買いは大変なことになってしまうので、理論上、全銘柄を買うのは不可能だと思われます。ですから、マザーズ指数と連動性が高そうな100銘柄ほどを選んで、現実的な銘柄をバスケットで買うことになるでしょう」

 また、ディーラーの間では「裁定買い」による現物株の買いが入ると予測している。

「指数が上場した直後は、ディーラーは割高になった先物を売って、割安になった現物を買うという『裁定買い』を行います。そのため、そーせいやサイバーダインのような寄与度の高い銘柄はプラスのバイアスで見てもいいかなと思っています」(A氏)

 この裁定買いが積み上がれば、個人投資家はマザーズ銘柄を借りて空売りすることができるようにもなる。当然、空売りができれば売買は活発になる。

 また、個人投資家もマザーズ市場で手軽に「ヘッジ」がしやすくなるというメリットもありそうだ。

「例えば成長性の高いトヨタを買い、成長性の低い三菱自動車を売って、その差を取りにいく。あるいは、トヨタを買い、日経225先物を売って、マーケットに対しニュートラルにするといった売買はごく普通に行われています。マザーズ指数先物上場で、『そーせいを買って、マザーズ指数先物を売る』といったポジションが取りやすくなり、個人投資家の戦略も広がるとみられます」(同)

◆先物上場で買われるマザーズ銘柄は?

 では、マザーズ指数先物上場後のマザーズ市場で、個別銘柄は何が買われるのか。「ヒントは構成銘柄にある」と話すのは、株式ジャーナリストの大神田貴文氏。

「マザーズの時価総額上位10銘柄のうち5銘柄がバイオ・医薬企業。政府が最先端医療を育成する方針を決めており、景気対策などで具体的な支援策が出るたびにバイオ関連銘柄の株価が刺激されそうです。例えば、臨床応用が急速に進むiPS細胞を扱うヘリオスは10~11月の学会集中期に動意づきそうです」

 大阪取引所の資料では、昨年1月から今年6月まで386営業日で、日経平均とマザーズ指数の騰落が一致しなかったのは約3分の1。このうち、日経平均が下げ、マザーズ指数が上げた日は63日あったという。

「狙い目はやや円高気味の局面でしょう。輸出株比率の高い日経平均の上値が圧迫されると、為替の影響が少ないマザーズ市場のバイオ関連株に資金が流入しやすい。銀行・証券以外の投資関連企業も、マザーズならではの銘柄です。マイナス金利を始めた日本では、金利のない状態が長期化する公算が大きい。より有利なリターンを求める動きが強まれば、アパート経営指南から建築までを請け負うインベスターズクラウドや、航空機リースなどの証券化商品で急成長するジャパンインベストメントアドバイザーの株価上昇が予想されます。両銘柄とも東証1部昇格の有力候補でもあるのです」(大神田氏)

 さらに、ネット関連はマザーズ銘柄の得意分野でもある。

「複数サイトを一括検索するサイトを運営するじげん、ネット広告をリアルタイムで販売するフリークアウトはLINEとの提携で成長が期待されます」(同)

 マザーズ指数先物上場で好循環が期待できそうだ。

◆マザーズ市場の時価総額のシェア

そーせいグループ (コード:4565)

時価総額:3106億7700万円

シェア:16.9%

サイバーダイン (コード:7779)

時価総額:1239億9700万円

シェア:12.8%

ミクシィ(コード:2121)

時価総額:1443億1400万円

シェア:7.9%

ナノキャリア(コード:4571)

時価総額:380億5500万円

シェア:2.1%

アンジェス MG(コード:4563)

時価総額:341億2300万円

シェア:1.9%

オンコセラピー・サイエンス(コード:4564)

時価総額:334億1000万円

シェア:1.8%

モルフォ(コード:3653)

時価総額:308億6100万円

シェア:1.7%

ジーエヌアイグループ(コード:2160)

時価総額:275億2800万円

シェア:1.5%

アドウェイズ(コード:2489)

時価総額:274億4500万円

シェア:1.5%

サンバイオ(コード:4592)

時価総額:231億7600万円

シェア:1.3%

◆マザーズ指数先物上場で買われる10銘柄

・そーせいグループ

株価:1万6380円/売買単価:100株

マザーズ最大級の時価総額を誇る。他社買収にも熱心で、機関投資家のツボを押さえた経営戦略といえる。赤字企業の多い業態だが、この会社は営業黒字が定着している

・サイバーダイン

株価:2060円/売買単価:100株

介護・医療用ロボットを開発する筑波大発ベンチャー。厚労省が保険適用に協力的で、他社からはこの会社だけ別格扱いとの声も出るほどで、業界標準を形成する立場にある

・ミクシィ

株価:3655円/売買単価:100株

今年9月でマザーズ上場10年目。何度も観測報道があったように、東証1部上場は時間の問題だろう。無借金で剰余金900億円超と、大幅増配の条件も整っている

・ナノキャリア

株価:847円/売買単価:100株

がん新薬の開発が専門分野だが、頭髪で悩む男性用の育毛剤も業績に貢献している。商品化を見据えた治験案件が多く、研究が開花した後の株価はケタ違いの暴騰か?

・フリークアウト

株価:6210円/売買単価:100株

ネット広告枠をリアルタイムで販売。タイミングを絞って集中的に広告を流したい企業のニーズに合致。LINEとの提携もプラス材料。上場以来連続黒字で初配当も近そうだ

・ジャパンインベストメントアドバイザー

株価:3260円/売買単価:100株

リース商品を組成して投資家に販売する。M&A助言も行う小さな投資銀行だ。航空機のリース需要が世界的に強く、リース商品の急拡大とともに業績成長が続いている

・サンバイオ

株価:1477円/売買単価:100株

米国で創業し日本で上場した再生医薬ベンチャー。米国人脈を活用し、共同治験も実施するなど国際展開で他社をリード。研究開発費負担が先行し赤字なので株価は割安圏

・ヘリオス

株価:2200円/売買単価:100株

iPS細胞を使った再生治療薬を開発中。得意の眼科分野に加え、高齢化社会で増加が予想される脳血管疾患向けの治験も目指している。大日本住友製薬も出資

・じげん

株価:1209円/売買単価:100株

同種サイトを横断的に検索してくれる一括検索サイトを展開。求人、不動産、美容などカネになる分野に特化している商売上手。’13年の上場以来、業績は右肩上がり

・インベスターズクラウド

株価:3165円/売買単価:100株

自ら土地情報を集めて投資家に提供し、アパートの建築や物件管理も請け負う。小口資金を集めて共同投資するクラウドファンディングもスタートし、成長性十分

株価は7月20日終値時点

【A氏】

証券会社ディーラー。いくつかの証券会社を経て、現在、国内某有名証券会社にて株式ディーラーとして勤務する。日本屈指のスゴ腕ディーラーが多く集まる証券会社として知られている

【大神田貴文氏】

株式ジャーナリスト。国内大手証券会社などを経て、現職に。証券会社はもちろん、東証や日銀にも人脈があり、マーケット情報に精通しており、個別企業の裏情報も知る事情通。金融、経済政策にも強い

取材・文/東証マザーズ指数先物取材班 図版/ミューズグラフィック

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/1(月) 9:10

HARBOR BUSINESS Online

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