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米国の北朝鮮政策は「政権崩壊」が前提に

JBpress 8/3(水) 6:10配信

 米国が北朝鮮に対して金正恩政権の崩壊を前提とする姿勢を強め始めた。

 米国の歴代政権は、北朝鮮の金一族による独裁体制の崩壊を唱え、そのたびに予測を外してきた。だが、今回は官民が一体となって、前例のない強固さで金一族独裁体制への敵意を示し、追い詰めようとしている。

■ 民間研究機関が朝鮮半島統一までの展望を合同調査

 米国の首都ワシントンでまず目立つ新しい動きは、民間の複数の主要研究機関が合同で北朝鮮研究グループを結成したことである。

 この7月、戦略国際問題研究所(CSIS)の朝鮮部長のビクター・チャ氏や、国際経済調査を主題とするピーターソン研究所の朝鮮研究部長のマーカス・ノーランド氏が中心となり、「境界線を越えて」という名称の合同調査班をスタートさせた。

 合同調査班にはブルッキングス研究所、AEI、プロジェクト49研究所など保守、リベラルを合わせた各主要研究所の朝鮮半島やアジアの研究者たちも加わっている。本拠はCSISに置き、独自のウェブサイトを設けて情報を発信する。

 調査班の目的は、「境界線を越えて」という名称にも表れている通り、北朝鮮の混沌とした状態から朝鮮半島が統一されるまでの展望を調べることだ。北朝鮮研究といえば、通常は現政権の実態の調査から始まる。しかし、この調査班はその点にはあえて触れず、最初から南北統一の展望を打ち出した点が異色である。

 調査班は具体的な作業として、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の動向に関する情報収集、人工衛星偵察写真を利用した北朝鮮の調査、朝鮮半島統一の実現度の調査、北朝鮮の挑発行動のデータベース整備――などを打ち出している。偵察衛星の写真利用は明らかに米国の政府や軍の協力があるはずであり、米国当局も朝鮮半島統一の可能性をにらんでいることをうかがわせる。

 ピーターソン研究所のステファン・ハガード研究員は、「朝鮮半島の統一は、北朝鮮の国家の崩壊、あるいは金正恩政権の崩壊が大前提となる」と解説する。「北朝鮮の崩壊を予測することは大胆に過ぎるかもしれないが、ソ連邦の崩壊だって誰にも正確には予測できなかった」と語っている。

■ 金正恩氏を名指しで断罪

 民間でのこうした動きに呼応するように、オバマ政権の財務省や国務省は7月上旬、北朝鮮の金正恩委員長個人を経済制裁の対象とする措置を発表した。金正恩氏をはっきりと「人権弾圧の犯罪者」として扱い、その個人資産の凍結や没収をうたっている。米国政府が金氏個人を対象にここまで追及した事例はこれまでにない。

 米国のこの新たな措置は、金氏以外に、北朝鮮の最高機関だった国防委員会(6月29日の最高人民会議で「国務委員会」に改称)の副委員長を務めた李勇武氏および呉克烈氏や、国務委員会副委員長の黄炳瑞氏ら合計10人も制裁の対象としている。その他、国防委員会、国家保衛部、人民保安部など5つの国家機関も制裁対象に挙げられていた。

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最終更新:8/3(水) 6:10

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