ここから本文です

一般化しきった日用品だからこそ洗練された技術を。産業用手袋のショーワグローブ

HARBOR BUSINESS Online 8/3(水) 16:20配信

 巷には数々の商品が流通しているが、ありふれた分野や知る人ぞ知るような分野であっても、そこには常にシェア争いがつきまとう。日本市場・世界市場の激しい販売競争の中でトップシェアを誇る企業は、どんな経営努力をしているのか? 3回に渡って、そうした日本のトップシェア企業を紹介しよう。

◆産業用手袋のベストセラー、ショーワグローブ

 家庭で使用される日用品の多くは、製造メーカーが意識されることが少ないだろう。しかし、当然ながら、その商品にプライドをかける企業がある。

 たとえば家庭用手袋。いわゆるゴム手袋と呼ばれるが、現在、主流になっているのは塩化ビニール製だ。実は有名メーカーが数社で参入しており、消臭剤などで有名な企業や、「コンドームといえば!」のあの企業などがしのぎを削っている。

 そんな群雄割拠の中、シェアトップを握っているのは手袋専業メーカーであるショーワグローブ。創業は昭和29年という老舗だ。営業本部 営業企画グループリーダー・今浪秀則氏は次のように語る。

「家庭用手袋の国内シェアは約4割程度。一般化しきった日用品というのは、メーカーの顔が見えにくいもの。しかし洗練された技術を駆使して作っていることは、もっとアピールしたいです。家庭用手袋は創業時に開発したという弊社で最も歴史ある製品ということもあって、思い入れをもっている社員も多いですからね」

 そして、家庭用手袋にもさまざまな工夫がこらされていると、今浪氏は熱く語る。

「手袋の使用感を大きく左右するのはフィット感ですから、ここは注力のしどころです。素材の厚みも影響しますし、サイズのラインナップも揃える必要があります。弊社ではオリジナルの手型で製品を作っていますが、この手型こそが、製品の使いやすさを左右する重要なポイントになります。ここも弊社でこだわっている点ですね」

 こう言われて、あらためて家庭用手袋を見てみると、指の形状や、手首部分の締め具合、内側の触感を高める植毛加工など、さまざまな工夫がこらされているのがわかる。他にも伸縮性やムレにくさ、耐久性なども要求される。最近ではアレルギー対策という観点から素材を選択する必要も出てきたようで、美容という観点も加わっているという。

 塩化ビニール製の家庭用手袋のマーケットは日本の構成比が高いこともあり、ショーワグローブでは家庭用手袋の多くを国内で生産している。生産設備も自社で設計しているそうだ。

◆産業用手袋には多種多様な技術が!

「家庭用と産業用を合わせて合計2000アイテムほどを製造しており、その6~7割が産業用手袋です。市場規模は家庭用より大きいですが、景気の影響に左右される側面もありますね。幸い、現在の売上は順調に推移しています」

 産業用手袋は作業内容ごとに製品が細分化されているため、家庭用手袋以上に素材や形状は多種多様。メーカーの技術を駆使した製品が見られて面白い分野だ。

 「作業を行う環境がドライなのかウエットな状況なのかによって手袋の形状が異なります。これに加えて、『低発塵』や『帯電防止』などの特殊な機能を必要とする作業もあります。様々な作業に対応するため、多くの素材(繊維や樹脂)を使用して試作を繰り返していますね。お客様も様々な手袋を比較されたうえで購入されますので、妥協が許されないシビアな世界です」

 多様な産業用手袋の中で、業界トップセールスを誇る製品がある。それが『グリップ(ソフトタイプ)』だ。工事現場や運送業で絶大な人気があり、テレビドラマなどでもこの手袋を使っている姿がよく見られるという。

◆いつでもどこでも買える利便性

 また、汎用性の高い商品だけに、販売チャネルも多岐に渡っている。ホームセンターや専門店だけでなく、コンビニエンスストアでも販売されているのだ。24時間いつでも必要な時に購入できるので、早朝や深夜の仕事で作業をする人に重宝されているそうだ。

 ほかにも、様々な業界で人気の製品がある。

「たとえば、『ピッタリ背抜き』という製品は超軽量なうえに、通気性のある柔らかい素材で指先の感覚を損ないません。これがフルーツ農家さんで人気になっているんです。長時間作業するので、ちょっとした重さや柔らかさで、指の疲れも変わってくるわけです。また、防寒用手袋『防寒テムレス』は、透湿防水機能がムレにくいとのことで、バイク愛好家やアウトドアスポーツユーザーに人気という話も聞きます。機会があったら、ホームセンター等で作業用手袋のコーナーを覗いてみて欲しいですね。実にたくさんの手袋があることがわかると思いますよ」

 同社にはすでに世界へも進出しており、海外での売上は全体の40%程度になっている。北米、ヨーロッパ、アジアに巨大なマーケットがあるのは明らかであり、近い将来50%を超える予測だという。

<取材・文/江沢洋>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/3(水) 16:20

HARBOR BUSINESS Online

なぜ今? 首相主導の働き方改革