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戦死者冒涜で致命傷のトランプに強い味方現る

JBpress 8/4(木) 6:15配信

■ トランプを刺した「戦死した息子を持つイスラム教徒の父」

 米民主、共和両党の全国党大会が終わり、民主党はヒラリー・クリントン氏、共和党はドナルド・トランプ氏の両大統領候補が正式に決まった。

 11月8日の大統領選投開票日まであと100日弱。本選挙に向けた両陣営のキャンペーンが激しさを増す。

 民主党大会ではバラク・オバマ大統領夫妻、ビル・クリントン元大統領らが次々と演壇に立ってヒラリー氏応援演説を行い、やんやの喝さいを浴びた。

 そうした「重量級スピーカー」と勝るとも劣らぬスピーチをしたのは、イラク戦争で戦死した息子を持つパキスタンからの移民でイスラム教徒の父親だった。

 「トランプさんよ、あなたはこれまで米国憲法を読んだことがあるか。憲法は全米国民の自由と権利を保障している」

 「トランプさんよ、あなたはアーリントン墓地に行ったことがあるか。墓地には米国を守るために戦死した兵士が眠っている。その兵士たちは人種も宗教も異なる者がいる。少数民族もいる。みな米国のために犠牲になったのだ。あなたはこれまでに一度たりとも国家のために犠牲を払ったことがあるか」

■ 「大年増の厚化粧」vs「愛国シンボル冒涜」の代価

 共和党の有力議員はもとより保守系の政治評論家たちまで絶賛した。ところがトランプ氏はこの演説に反論した。翌日の遊説演説でトランプ氏はこう毒づいた。

 「あの父親のスピーチはどうせヒラリーが雇ったスピーチライターに書かせたものだろう」

 「あの父親が喋っている時に彼の妻は黙ったまま、突っ立っていただけだ。イスラム教では女性は喋ることを許されていないんだろう」

 案の定、これは裏目に出た。

 米国では、戦死した兵士やその遺族をけなすことは最大のタブーだ。なぜか。お国のために命を落とすことは「愛国のシンボル」だからだ。

 公衆の面前、しかも民主党全国党大会の場で、「米国憲法を読んだことがあるか」と言われてよほど癪に障ったのだろうが、それがクリントン氏ならともかく、息子を戦場で失った父親に対して言う言葉ではなかった。

 トランプ氏はまさに「虎の尾」を踏んでしまったわけだ。

 「愛国のシンボル」を冒涜し、返す刀で「イスラム教徒」を差別し冒涜したダブルパンチだったからだ。

 日本では東京都知事選の最中、無所属で立候補していた小池百合子元防衛相をつかまえて「大年増の厚化粧」と揶揄して顰蹙を買った元政治家がいた。その実害は自民党公認候補の惨敗の一端になったかどうか。

 しかしこの暴言自体についての追及はご当人の小池氏からもメディアからもないのは外国から見ると不可解に映る。これがもし米国での発言なら「女性蔑視」「人権侵害」で裁判沙汰になっていたかもれない。

 いずれにせよ、この暴言でトランプ氏が受けた傷は、「大年増の厚化粧」暴言の比ではなかった。

 共和党大統領候補の「公認証書」を手にした直後の暴言だっただけになおさらだった。共和党指導部から上下両院議員に至るまで一斉に批判を浴びせた。

 これまで露骨な人種差別発言、女性蔑視発言を繰り返したトランプ氏だが、今回の暴言の代価は途方もなく高くつきそうだ。

 期せずして、反トランプの保守系「ニューヨーク・ポスト」は、8月1日付け1面にトランプ氏の夫人、メラニアさんの若い頃の一糸まとわぬヌード写真とやらせっぽいレズ写真を一挙掲載した。

 「読者諸兄姉よ、ファーストレディーになりかねない淑女の全裸写真をこれまで見たことがおありか」という見出しが紙面に踊った。保守系メディアからのトランプ氏への「三下り半」だと言える。

 トランプ発言を受けて、同じく8月2日には共和党の中からもクリントン支持を表明する下院議員も現れた。

■ 世論調査支持率でもトランプ急降下

 各種世論調査では、7月22日時点ではクリントン氏をわずかにリードしていたトランプ氏は、29日以降31日段階ではクリントン氏に6%から9%リードされてしまった。

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最終更新:8/4(木) 7:40

JBpress

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