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「はい、この子聴こえてないね」 息子の難聴が医師の言葉で確信に変わった瞬間…

ファンファン福岡 8/5(金) 17:14配信

妻へ

懐かしいですね。

出産を終え、まだ入院中の福岡の産婦人科から、あなたが泣きながらくれた電話で、子どもの難聴を知った私は、都内の大型書店をはしごして、あらゆる聴覚障がいの本を乱読し、必要だと思う本を買い漁りました。

あなたが東京に戻って来る前に、色んな事を知っておこうと。

何と言っていいか分かりませんが、難聴で産まれて来た子どもの為にでもなく、あなたの為にでもなく、もちろん、私の為にでもなく、その先に見える家族の三人の暮らしを頭に描いて、書店を歩きまわったのを思い出します。

なぜか分かりませんが、息子が中学校の制服を着ている頃の家族三人で笑っている生活の場面がよく頭に浮かんでいました。

今は人工内耳という最新医療の器械がある

そして、多くの本を読んでいく間に、普通に生活していたら、一生知らないまま死んでいくであろう、沢山の事を知りました。難聴の原因、種類、耳の構造、人間の言語獲得の仕組み、聴覚障がい者の歴史、聴覚障がい者への教育の歴史、 差別など。

こういう事は、知らなくても良い事だと思いますが、何でしょう?私の性格でしょう。昔から、ゲームソフトを買っても、電化製品を買っても、製品に触れる前に、まず最初にする事は、取扱説明書を一通り読む事でした。

そういう性格なんで、どんどん出てくる事は、全部知りたくなるんです。はっきり言えば、必要のない事ばかりです。

ただ、私と違ってあなたは、現実的でそういう事にあまり、興味がないと思います。

でもあなたにとって、興味のあるというか、大事な事も知りました。重度の感音性難聴は、補聴器を付ければ聴き取れる訳ではない。むしろ、ほとんど意味はない。

ただ、そういう人にも、今は人工内耳という最新医療の器械があるという事を。

この人工内耳と言う器械を付け、訓練をすれば、聴き取る力がかなり上がる。

これはすごい。あなたに教えてあげなければ。

そして、毎日していた電話の中で、かなりの重大発表のつもりで、その事を伝えました。

「ジェシちゃん、今、最先端の医療で、人工内耳って器械があるんよ。」

「あっ、知っとうよ。」

「えっ?」

えっ?何で知っとんやろ?向こうで本でも読んだか?

今まで一度もあなたの本を読んでいる姿なんか見た事ないのに。

漫画でさえも読まないあなたが、本を。リビング福岡をチラ見する程度のあなたが、本を。やっぱり子どもの為なら変わるんやな。

「えっ?何の本を読んだと?」

「いや、本とか読まんよ。ネットで見た。」

ネット?ネットで調べられるんかい!なんて、今の時代はお手軽なんでしょう。

こっちは、色んな書店を回って色んな本を読んでたどり着いた答えが、ネットでは簡単に出てくるなんて。便利な世の中になりましたね。

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最終更新:8/8(月) 14:19

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