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映画「シン・ゴジラ」でゴジラにビルを破壊された三菱地所、損害額は1兆円超か。(多田稔 中小企業診断士)

シェアーズカフェ・オンライン 8/5(金) 5:20配信

庵野秀明総監督のゴジラシリーズ最新作『シン・ゴジラ』が7月29日に公開されました。『エヴァンゲリオン』シリーズの庵野監督が手掛けるゴジラということで話題の作品でしたが、公開直後の評判も上々で、ゴジラシリーズ歴代最高の興行収入を見込める出足だそうです。

かく言う私も、すでに映画館に足を運んだ一人です。その上で、本作が傑作であることにまったく異議を唱えるものではありません。しかし、映画の途中からどうしても気になって仕方なかったことがあります。本作で、ゴジラとの戦いの主戦場になるのはJR東京駅周辺なのですが、「あんなに派手にビルを壊されて、三菱地所の経営はどうなっちゃうんだろう?」と思ってしまったのです。完全に職業病です。

今回は、まったく個人的な興味から、ゴジラに自社ビルを破壊された三菱地所のBCP(事業継続計画。緊急事態に遭遇しても事業継続を図るための計画)を勝手に考えてみたいと思います。

■特損計上は1兆5,000億円?
まずは、被害想定とそれによる財務上のインパクトを試算しましょう。

三菱地所の有価証券報告書を見ると、前年度の営業収益(売上高)は、約1兆90億円で、そのうちビルの賃貸事業が42%、住宅販売事業が34%を占めます。そして、主な管理物件および販売物件の80%程度が、今回ゴジラが上陸した首都圏に集中しています。これらの物件は破壊されたか、無傷で残ったとしてもゴジラが発した高濃度の放射能の影響で使用できなくなると予想されます。

よって、賃貸事業・住宅販売事業合計の営業収益は8割程度失われると考えられます。仮に海外事業などその他の事業に影響がなかったとしても、営業収益は3,950億円程度まで落ち、下落率は61%になります。またこの試算だと、前年度1,660億円計上していた営業利益は10分の1以下の116億円となります。

「なんだ、黒字を維持するじゃないか」と思われたかもしれませんが、大変なのはこれからです。管理物件を失って収益を上げられなくなったのですから、貸借対照表上の固定資産の価値を下げる、減損処理をしなければいけません。

三菱地所の前年度の有形固定資産合計額は約3兆5,500億円です。ここから仮に、営業収益の下落率と同じ61%を減損として認識すると、減損損失額は2兆1,660億円となります。このうち3割程度は保険でカバーされるとすれば、特別損失に計上する金額は1兆5,162億円。同社の純資産額は1兆6,590億円ですので、これをほぼ吹っ飛ばし、債務超過寸前に叩き落します。

三菱地所が創業以来営々と築き上げてきた事業基盤は、ゴジラの登場で一瞬のうちに消え去ってしまうのです。

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最終更新:8/5(金) 5:20

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