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ヘリコプター・マネーは毒でも薬でも無いが、偽薬効果に期待 (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 8/5(金) 5:55配信

ヘリコプター・マネー(ヘリマネ)が導入されるかも知れない、といった議論が盛んです。筆者は、ヘリマネはそれほど危険な物だとも思いませんが、必要とも思っていません。日銀が政府の言いなりになるか否かが重要で、日銀が自分の意思でヘリマネに協力するなら、今と何も変わらないでしょう。今回は、ヘリマネについて考えてみましょう。

■ヘリマネとは日銀がヘリから札を撒く事にあらず
ヘリコプター・マネーと聞くと、「日銀が紙幣を印刷して、ヘリコプターからバラ撒けば、拾った人が消費をするので景気が良くなる」と考える人がいるかもしれませんが、そうではありません。日銀は、「気前良く金を貸すこと」は出来ても、「誰かに金をあげること」は出来ないのです。

したがって、仮に誰かが景気回復のためにヘリコプターから金をバラ撒くとすれば、それは政府の仕事ということになるはずです。政府が国債を発行して資金を調達し、それをヘリコプターからバラ撒くわけです。

文字通りヘリコプターからバラ撒くと、大混乱が起きますから、実際にはバラ撒き政策を行なうということになるでしょう。本稿では議論を単純化するため、「増税せずに日銀から借りる事もバラ撒きである」、という前提で話を進めることとしましょう。

これならば、日銀は関係ありません。政府が発行した国債を民間銀行等が買えば良いからです。あとは、日銀が金融政策として民間銀行等から国債を購入するか否かという事であって、政府がバラ撒きを行なう事と日銀の金融政策の間には、関係が無いのです。

ちなみに、本稿においては、「政府が発行している国債は、すべて短期国債である」との仮定を置きます。議論を単純化するためですが、詳しくは補論を御覧下さい。

■政府の資金調達に問題ないなら、日銀の関与は不要
仮に、日本政府が破産しそうだと人々が考えているとして、政府が発行する国債を誰も持ちたがらないとしましょう。「民間銀行は、本当は政府が発行する国債を買いたいとは思わないけれども、政府から買った国債を日銀に高値で売却できると思うから、政府から国債を買っている」としましょう。

それならば、「日銀が民間から国債を買ってくれたおかげで政府は国債が発行できた」ということなので、日銀が国債を買うことに意味があるでしょう。日銀が国債を買わなければ政府がヘリコプター・マネーをバラ撒きすることが出来ないのですから。しかし、現実は違います。日本国債は投資家たちに人気があり、良く売れています。

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最終更新:8/5(金) 5:55

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