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「仮面ミーハー女子」はSNS社会の本音? 時代を切り取るガールズバンド ЯeaLの個性

リアルサウンド 8/5(金) 18:01配信

 先日取材で会った女子高生たちが「クラス替えがあるたびにクラス全員でLINEのグループ作って」「ちゃんと参加してない人は実際クラスでも浮いてる」「Twitterのアカもつながる子によって使い分けてるから、いくつも持ってます。アカAで言えない本音をアカBで言って、アカBで言えない本音をアカCで言って……ってやってくとどんどん増える」「正直ちょっと疲れる」と笑いながら話してくれた。今の10代のメンタルは本当にタフだと思う。先日友人と「私たちが10代の時にTwitterとかLINEが普及してなくて本当によかったよね」という話になったのだが、正直、私がその状況の中に放り込まれたら上手くこなしていく自信は全くないし、本当に大変だなあ、お疲れ様ですとただ頭の下がる思いだ。

 前置きが長くなったが、ЯeaL(りある)の新曲「仮面ミーハー女子」を聞いた時、その女子高生たちのことを思い出したのだ。ЯeaLとは、今年3月にデビューした関西を中心に人気急上昇中のティーンズガールズバンド。キャッチーでポップながら疾走感のあるロックサウンドと、勢いのあるライブパフォーマンスが魅力の4人組だ。赤い公園、Silent Sirenなど昨今の音楽シーンにおいてガールズバンドはある種の“ブーム”であるが、その中でもЯeaLの表現の特異性はその名の通り、圧倒的にリアルであることだ。

 「仮面ミーハー女子」も、彼女たちが描くコミュニケーションの“リアル”を怖いほどに感じさせる快作。軽快なロックチューンに乗せて描かれているのは、〈息苦しさは夏の暑さのせいじゃなくて/『花火大会とりあえず行こう』ってそれ意味あるの?/『置いてきぼりは嫌なんです』でも本当は一人の部屋で/鍵付き 裏アカ 言いたいことぶちまけていたい〉〈この夏は弾けたい!あの子が呟いている/どうでもいい スクロール とりあえずみんなで“いいね!”〉と、息苦しさを抱えながらどうにかこうにか今の時代をサバイブする、普通の10代の女の子。ちなみに星野源や乃木坂46の作品などでもお馴染みの山岸聖太が手がけるMVも、そんな今の女の子たちの苦悩?をざくっと切り取った生々しさが刺さるのだが、きっとこのMVはまさにあの女子高生たちが語っていた日常の風景そのままなのだろう。

 とここまで書いて気がついた。さすがに曲中にあるように裏アカで一人で本音を書き殴ったりはしていないものの、一応社会人として生きている私の日常も、「仮面ミーハー女子」で描かれる日常と大して変わらないのである。もはや業務的に押すだけの「いいね」、開けたら返さなきゃいけないのが面倒で、未読のまま溜まっていくLINEの通知。いくら「SNSに疲れている人が増えています」というニュースが流れても、実際SNSを止めたら世の中から遮断される気がして止めれない。このループの中で煩わしさに蓋をして作り笑顔を浮かべているのは、なにも10代だけじゃないのだ。

 だからこそ〈本当は寂しいと口が裂けても言えなくて/何人友達がいたって一人きり〉と叫ぶ「仮面ミーハー女子」は痛快で心地いい。このややこしい世界でЯeaLが突きつけるむき出しだらけの本音は、一周まわって癒しを感じさせるのだ。言いたいことはどこでも言えないけれど、空しい、面倒臭いって思う自分のことまで否定しなくてもいいじゃないか、みんな本当はそんな空しさを抱えてるかもしれないーー「仮面ミーハー女子」は、“つながり”に少し辟易している自分を認めてあげる勇気を、私たちに伝えてくれているのかもしれない。

 余談だが今週末、私も友人の女の子たち数名で花火大会に行く。おそらくインスタに載せる写真のためであろう、「全員浴衣しばりで~」というLINEにOKのスタンプを返した。本当はちょっとだけ面倒臭い私もやっぱり仮面ミーハー女子だ。

岡野里衣子

最終更新:8/5(金) 18:01

リアルサウンド

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