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『パトレイバー』新作が2016年にリブートされる意義

リアルサウンド 8/5(金) 18:04配信

 日本アニメーション史に名を残す『機動警察パトレイバー』が、完全新作アニメーション『機動警察パトレイバー REBOOT』として復活することが明かされ、大きな話題を呼んでいる。『イヴの時間』、『サカサマのパテマ』の吉浦康裕が監督を務め、脚本に劇場版パトレイバーシリーズを手がけた伊藤和典、キャラクター原案に漫画版作者のゆうきまさみ、作画監督を浅野直之が手掛けるなど錚々たるスタッフが集結。アニメーション制作は、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズなどで知られる庵野秀明監督が率いるスタジオカラーが担当する。

 1988年にOVAとして産声をあげた『機動警察パトレイバー』。現在も多くのファンに愛される本作の新作がいま、再び制作されることにはどんな意義があるのか。アニメに詳しいライターのさわやか氏に話を聞いた。

 「2014年から2015年にかけて製作された実写作品『THE NEXT GENERATION パトレイバー』は、良くも悪くも押井守監督のカラーが色濃く出た作品でしたし、『パトレイバー』という作品のファンが期待したものとは必ずしも一致しない仕上がりでした。その経緯もあったため、今回のアニメ復活はファンにとってまさに待望だったといえるでしょう。また、制作陣に新しい世代のスタッフが参加しているのもポイント。予告編を見た限りでは、過去の「パトレイバー」の雰囲気を残しながらも、新しさも感じる映像に仕上がっていました」

 また、もともとの作品群は90年代後半から00年代初頭の“近未来”を舞台にしていたことも、リブートするうえで意義深いことだと、同氏は続ける。

 「当時の『パトレイバー』が描いていたテクノロジーは、その後かなり実現化され、その“未来予想図”が決して遠からぬものだったことがよく指摘されています。一方で、携帯電話などのテクノロジーは当時の想像よりもはるかに発展した。また、当時はまだバブル景気の残滓があったせいもあり、描く未来像は必ずしも暗いものでなかったのも今とは異なるポイントでしょう。さらに同作は“バビロンプロジェクト”という東京湾の再開発がテーマのひとつとしてあったため、2020年の東京オリンピックに向けて都心の再開発が進むいま、リブートするのは人々の気分ともマッチするのでは。実際、予告編ではタッチスクリーンのデバイスが登場していて、いまのテクノロジーを鑑みたうえで一歩先の未来を描こうとする意思も感じられますね」

 一方、アニメや漫画などのオタクカルチャーが市民権を得た現在、同作はさらなる支持を集める可能性もあるという。

 「89年に宮崎勤事件が起きてオタクバッシングが始まるのですが、そのせいもあって特にコミック版の『パトレイバー』ではオタクにとっての内省的な態度を含んだ作品になっています。とりわけ内海課長というキャラクターが当時のオタクの象徴みたいな形で、テクノロジーを好き勝手に使いつつ、倫理的に許されないような犯罪を犯す物語になっていた。ただ、そういうことを言う時代はすでに過去のものになっていて、いまや多くの人が気軽に自らをオタクといえるようになった。今回、大ヒット中の『シン・ゴジラ』の庵野秀明さんも名を連ねていますが、ああした作品も見るに彼らオタクの旧世代はいまこそ、当時のオタクの夢を描きなおそうとしているのかもしれません。『パトレイバー』についても、リブートによってさらに支持層を拡大するかどうかが注目だと思います」

 『機動警察パトレイバー REBOOT』が描く“近未来像”は、現実にもなにかしらの影響を与えるのかもしれない。(文=松下博夫)

松下博夫

最終更新:8/5(金) 18:04

リアルサウンド

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