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20年続く会員制バー・カスバの増田令子が語る「店作りの原点」

ローリングストーン日本版 8/5(金) 18:00配信

ローリングストーン日本版 2016年8月号  RS Life Style 物作りの原点:増田令子
言霊を信じてるので、やりたいことは必ず発信します。

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バーの名は、カスバという。恵比寿と渋谷の間あたり、大通りから少し入った路地に面したビルの地下にある。一見さんはお断りの会員制。数席を擁するカウンターの周りに小さなテーブルが所狭しと並ぶ。20人も入ればほぼ満員といった感じで、お世辞にも広いとは言えない。だが、常連の名を挙げれば、誰もが知るような著名人も多い。この小さな『城』を切り盛りする主人が、増田令子である。客は皆、口を揃える「レイコと過ごす時間が楽しいんだ」と。オープンは1996年。都内で飲食業が3年続けば御の字という中で、驚くべき長さの20年。どんな思いで店を立ち上げたのか。

「路駐できる店にしたくて(笑)」とうそぶきつつ、「年齢や性別を越えて気の合う人たちが通いやすいバーを作りたかった。昔の老舗バーって、年配の常連が年功序列で陣取る、みたいな無言のルールがあって入りにくかったから。単なるバーじゃなくて映画や音楽、アートなど、サブカルチャーも語り合える場所にしたかった。やっぱり気の合う人たちと楽しく過ごしたいでしょ。違うジャンルの人同士でも気が合えばOK。人と人とが気が合って自然発生的に仲良く繋がっていくのを見るのが快感!」と冗談めかして語るが、カウンターから向ける眼差しは洞察力に満ち、その所見を決して忘れない記憶力も持っている。「あのデザイナーがうちに来たのは○年前だね。○○さんが連れてきた」というように実に的確なのだ。それは、まるで5つ星ホテルのドアマンのよう。「芸能の仕事をしている子が、売れるかどうかを見抜く力も持っているかも。エネルギーでわかるの。芸能に限らず『キミ、絶対売れるよ!』ってスカウトの仕事したいくらい(笑)」と非凡な才能も持ち合わせる。

物作りの原点:増田令子(2)

知り合いが知り合いを呼び、ここで生まれたネットワークは20年間で大きく広がった。うなずき、問いかけ、笑っては受け入れる。彼女の包容力に、いつしか空気はなごんでいく。

「結構、ゲイにも人気なんですよね。特に外国人ファッションデザイナーは多いから。普通に波長が合う。『新宿2丁目かカスバか迷って、結局こっちにしたよ』なんてよくあること。エディ・スリマンは、かつての〈イヴ・サン・ローラン・ジーンズ〉のデビューのときに友人の紹介で知り合って。彼の名が広まるようにキーパーソンと引き合わせたことを恩義に感じてくれてるみたい。最近は来日もほとんどないですが、来たら必ず寄ってくれますよ」

ポジティブなパワーを発散する令子の魅力は、インターナショナル。国境や性別の壁さえ、いとも簡単に乗り越える。

「私、会いたいと思う人に会えなかったことがないんです。言霊を信じているから、やりたいことは口にする。常に発信しています。ファッションイベントで行ってきた『出張カスバ』も、やりたいと言ってたら、いくつかのブランドで実現できちゃった」。言霊は、人から人へ伝播して、いつしか自分のもとに返ってくる。

「結婚もそう。『ゼッタイしてやる』と言ってたらできた。目下、私が狙っているのは、紅白出場(笑)。還暦を迎える8年後に。『気が狂ってる』なんて言われますが、言霊を信じて言い続けてます。周りには作詞作曲できるプロの友人がたくさんいるから、バックの演奏までちゃっかりお願いして。もちろん一発屋枠狙いです。まぁ、欲をいえば、朝ドラの主題歌がいいかなー(妄想&笑)?」

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最終更新:8/5(金) 18:00

ローリングストーン日本版

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。