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無党派の「ブルーオーシャン」が政治を変える

JBpress 8/5(金) 6:10配信

 東京都知事選挙は、予想通り小池百合子氏の圧勝に終わった。「保守分裂」を好機と見て民進党や共産党などが推薦した鳥越俊太郎氏は、小池氏の半分にも及ばない惨敗だった。2位の増田寛也氏と小池氏を合わせた「保守票」は470万票で、歴代の都知事選で最高だ。

東京都知事選の歴代の投票率と当選者(図)

 自民・公明の組織票は前回の舛添要一氏の211万票程度と考えると、今回の選挙結果を「保守・革新」という昔ながらの図式で見ることはできない。増田氏の179万票は組織票の8割以上を押えたが、小池氏の291万票はそれとは異質である。彼女を支持した有権者は何を求めたのだろうか。

■ 投票率の増加が小池氏の勝因

 図1は、歴代の都知事選の投票率を示したものだ。美濃部亮吉が退陣した1979年以降、石原慎太郎氏、猪瀬直樹氏、小池氏のような無所属の候補が当選したときは投票率が高く、鈴木俊一氏や舛添氏、2期目以降の石原氏のように自民党推薦の候補が当選したときは40%台と低い(例外は青島幸男氏)。

 1999年に初当選したときの石原氏は無所属で、投票率は57.9%と高かったが、彼が自民党推薦になった2003年には投票率は45%に下がった。2012年に史上最高の得票で当選した猪瀬直樹氏も事実上の無所属候補だったが、このときの投票率も62.6%と高かった。

 典型的な組織選挙だった2014年は低かったが、今回は59.7%と13.6%ポイントも上がった。これは約149万票も増えたことを意味しており、これは小池氏の得票の半分以上に相当する。

 組織票ゼロの小池氏が当選できたのは、既存の自民党組織や「革新勢力」に失望して棄権していた無党派層が投票したためなのだ。

■ 「野党共闘」は時代遅れ

 これは得票を支持政党別にみると、もっとはっきりする。図2は毎日新聞の出口調査の結果をもとに、支持政党別の得票率(政党支持率×得票率)を計算したものだが、自民党支持層(37%)の中でも小池氏が増田氏を上回り、支持政党なしの無党派層(36%)の中では小池氏が増田氏の3倍の支持を得ている。

 今回の増田氏+鳥越氏の得票の合計は314万票で、前回の舛添氏+宇都宮氏+細川氏+田母神氏の合計より142万票少ない。これを小池氏が既存の支持者から奪った票と考えると、新規の票149万票との合計は291万票と、小池氏の得票とぴったり一致する。

 最悪なのは鳥越氏だ。前回は宇都宮氏+細川氏で194万票取ったが、今回は宇都宮氏が出馬を辞退して「野党共闘」を実現したにもかかわらず、その7割しか取れなかった。これは女性スキャンダルも響いたが、本人が都政についてほとんど語らず、「憲法を守る」とか「反原発」などの無関係な話ばかりしていたことが大きな要因だ。

 かつて美濃部亮吉は社共共闘で都知事選に出馬し、「ストップ・ザ・サトウ」(佐藤内閣を倒せ)というスローガンで三選を果たした。しかし老人医療の無料化などのバラマキ福祉で、美濃部都政は膨大な財政赤字を抱え、最後はみずから「満身創痍」という状態で1979年に都知事を退いた。

 このとき以来、東京に「革新知事」が出たことはない。共産党にとって「民共共闘」は過渡的な戦術であり、彼らは最終的には共産主義社会を目指している。そんな党と共闘しても、決して政権を取ることはできない。もう野党共闘で選挙に勝てる時代ではないのだ。

■ 民進党は財政と社会保障に向き合え

 日本の政治を決める「第一党」は、自民党ではない。どんな世論調査でもほぼ半数を占めるのは、無党派層である。このように既存政党の支持率が低いのは先進国では珍しく、与野党ともにつかめないブルーオーシャン(未開拓の市場)が大きいことを示している。

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最終更新:8/5(金) 6:10

JBpress

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