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AC/DCのアンガス・ヤングが語る、引退の可能性とマルコム・ヤングの健康状態

ローリングストーン日本版 8/6(土) 12:00配信

アンガス・ヤングが、実兄マルコム・ヤングの健康状態、アクセル・ローズ加入の経緯、そして自身の引退の可能性について語る。

AC/DCブライアン・ジョンソンが語る聴力障害の真実:「こんな人生を送ることができて俺は幸せもの」

「バンドのことを知らない人は、『このオッサンは学生服なんか着て何考えてんだ?』って思うんだろうな」今年で61歳になるAC/DCのギタリスト、アンガス・ヤングはそう話す。「遠くからだとすごく若く見えるって言われたことがあるよ。でも間近で見れば、ただのくたびれたオヤジさ」そう話すヤングは確かに消耗しているように見える。9月20日にフィラデルフィアで千秋楽を迎えるワールドツアーをめぐる様々な不安要素は、その大きな理由となっているに違いない。AC/DCがツアーに出るのはこれが最後になるという噂もある。

しかしヤングは、ヴォーカルのブライアン・ジョンソンが深刻な聴覚障害を理由にライブの現場から引退を決めたこと、その代役としてガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズが加入した経緯、自身がツアーに参加するのはこれが最後と宣言したベーシストのクリフ・ウィリアムズに対する思い、そしてバンドの元ギタリストであり、現在は認知症と闘病中の実兄マルコムの健康状態について、誠実かつ前向きな姿勢で語ってくれた。「マルコムとまともな会話を交わすのは難しい状況だよ」アンガスはそう話す。「話しかけてみても、ちゃんと伝わってるかどうかはわからないんだ。でも多くのファンが彼を恋しく思ってるってことは伝えてるよ」

ー アクセルは奔放な人物です。彼を迎え入れるにあたり、決められた時間どおりに行動するなど、バンドのルールを強要しなくてはなりませんでしたか?

うまくやってるよ。彼はしっかりと責任を持って行動している。俺たちはツアーに出る前に腰を据えて話し合い、演奏する曲も一緒に決めた。ツアーを楽しみたいという思いは、彼も俺たちも同じだからね。足の怪我のせいで、最初のうちはデイヴ・グロールから借りたあの椅子に座って歌ってたけど、今はステージを駆け回ってるよ。

ー ブライアンの代役としてアクセルが加入した経緯について話してもらえますか?

過去に俺たちと仕事をしたことがある人物のところに、アクセル側から連絡があったんだ。彼はこう言ったらしいよ。「彼らのプロ意識の高さはよく知ってる。どんなことがあってもツアーをキャンセルしたくはないはずだ」ビジネス面の話なんかをまとめる前に、俺たちはアトランタで一緒にリハーサルすることになった。彼はよく予習していたみたいで、『タッチ・トゥー・マッチ』(1979年作『地獄のハイウェイ』に収録)をやろうと提案してきた。でも俺たちはあの曲をライブで演奏したことは一度もなかったんだ。

--{アンガス・ヤングが語る、引退の可能性とマルコム・ヤングの健康状態(2)}--

ー ブライアンとボン・スコット、アクセルはどちらのヴォーカリストに近いと思いますか?

ロックンローラーだっていう点ではボンに近いかもしれない。古風なユーモアのセンスも共通しているし、ウィットにも富んでる。でも彼のヴォーカルレンジはどちらでもないね。ボンを思わせる時もあれば、ブライアンのように高いキーで歌いこなすこともできるんだ。

ー ツアーが始まる前から、ブライアンは聴覚障害を患っていたのでしょうか?

(2015年の)コーチェラに向けてリハーサルをしていた頃から、彼は耳に異常を感じ始めていた。彼の片方の耳は過去に交通事故で大きなダメージを受けていて、それ以来頼っていたもう片方の耳の聴覚が、その頃急激に悪化していったんだ。当時俺たちはオーストラリアにいて、彼は専門医による治療を受けていた。ライブでのモニター環境には細心の注意を要し、ひとつ終えるたびに医者に診てもらわないといけなかった。ライブは彼にとって大きな負担になっていたんだ。

ー クリフの引退宣言は、ブライアンのことと関係があると思いますか?

これがクリフにとって最後のツアーになるってことは、本人から前もって聞かされていたよ。1977年に加入した彼は、俺の次に古いメンバーだ。ブライアンとクリフは同い年で、普段からパブで一緒に飲んだりしてるくらいの仲なんだ。ブライアンのことが影響していないといえば嘘になるだろうね。

ー マルコムのギターを恋しく思うことはありますか? あなたの甥のスティーヴィーは、マルコムの代役を果たせていますか?

時々マルが隣にいるんじゃないかって錯覚するくらいさ。スティーヴィーは幼い頃からマルのギターに憧れてたからな。自信をつけるために、ものすごく努力したんだろう。難しいことはやっていないように見えるかもしれないけど、実際はそうじゃないんだ。

--{アンガス・ヤングが語る、引退の可能性とマルコム・ヤングの健康状態(3)}--

ー マルコムのギターには、どんなことがあっても前に進み続ける彼の人間性が滲み出ていたと思います。

マルコムはいつだって、俺にとって頼れる兄だった。俺はスタジオで思うようにギターサウンドが作れないと、イラついてすぐ投げ出してしまうんだ(笑)。そんな時、マルコムはあっと言う間にビッグでファットなサウンドを作ってくれて、俺を驚かせてくれたもんさ。

ー マルコムがステージに立てなくなった今、バンドを続ける意味について考えることはありますか?

ないと言えば嘘になるね。でもマルコムなら、きっと最後まであがき続けると思うんだ。バンドが危機を迎えている今、彼ならこう言うはずさ。「やるべきことをやるだけだ。曲を作って演奏する、それが俺たちの仕事だ」そうやってバンドを引っ張ってきた彼の意思を、俺は引き継がなきゃいけないと思うんだよ。誰よりも長くマルコムと活動を共にしてきた俺には、その責任があるんだ。

ー ご自身の今後についてはどうお考えですか? あなたはAC/DC以外のバンドに所属したことはないですよね。

その通りだ。今後については、現時点では何も考えてないよ。今は進行中のツアーをやり遂げることに集中したいんだ。ツアーが終われば、嫌でも今後のことを考えるに違いないからな。やると決めたことをひとつずつこなしていく、それが俺たちのやり方だし、一番性に合ってるんだよ。

俺とマルコム、そしてボンの3人でバンドを始めた頃から、それは少しも変わっていないんだ。時間どおりに会場に到着し、昼間はパブで、夜はクラブで演奏する。「働かざるもの食うべからず」、それが俺たちのモットーなんだよ。

ー 誰か一緒にプレイしてみたいアーティストはいますか?

たくさんいるけど、残念ながら皆あの世にいるんだよ(笑)。でもキース・リチャーズとは何か一緒にやってみたいね。彼にはマルと共通するリズムがあるんだ。

Translation by Masaaki Yoshida

DAVID FRICKE

最終更新:8/6(土) 12:10

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