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欧州で激化するテロ攻撃、次の標的は「スペイン」説が浮上

HARBOR BUSINESS Online 8/6(土) 9:10配信

 本サイトで7月17日に、「ドイツにはマストヒズボラのテロリストが1250人潜伏!? イスラエル紙報じる」という記事を配信したが、記事配信後にミュンヘンでは銃の乱射事件が起き、ドイツ南部のアンスバッハでもコンサートを狙った自爆テロが起きるなど、次々とテロが表面化している。

 そんな中、次に標的になっている国はスペインだという話が立ち上がっている。

 スペインはもともとイスラムの影響を受けた国である。西暦711年に始まった北アフリカのウマイヤ朝によるイベリア半島への侵入から1492年のグラナダのナスル朝が崩壊するまでスペイン領土の大半がイスラム勢力の統治下に入った。特に、イスラム勢力の支配力が強かったアンダルシア地方は彼等らによって「アル・アンダルス(Al Andalus)」と呼ばれた。

 10世紀にはアル・アンダルスの中心都市だったコルドバは現存するメスキーター寺院を始め、当時のヨーロッパにおける主要都市のひとつとして発展した。医学、天文学、哲学などの文化が栄えた。

 アルカイダがテロ組織として登場すると、彼らは領土回復運動の一貫としてテロ活動の鋒先としてスペインを選んだ。それが具現化したのが2004年3月の首都マドリードで起きた電車の同時多発テロであった。このテロ攻撃で191人が犠牲者となった。その動機づけとなったのが2003年の米国をリーダーとして武力介入したイラク戦争にスペインも参加したからであった。

 そして今度は、イスラム国がスペインでのテロ攻撃を準備しているというのだ。先ず、それが表面化するのが今年1月に彼等はビデオを流布した。その中にイスラム国が征服したい箇所を地図で示し 、それにスペインが含まれていたことだ。テロリストのひとりはビデオの中で〈「アル・アンダルスからイスラム人を追放したツケは高いものにつく」〉と語った。(参照「RT」)

◆ISの広報に「スペイン語」が加わった

 更に、ISによるテロ攻撃が準備されつつあると推察されている理由に、ISのインターネットによる広報で〈「我々の領土で見つかる無実のスペイン人は誰であれ殺害する」〉とスペイン語で語っていることである。これまではドイツ語、フランス語、ロシア語、英語による広報であったのが、それにスペイン語も加えれられたことはスペインも攻撃の対象に選んだという意味に受け取られている。

 またスペイン語による広報が意味するものはスペイン国内にいるイスラム国に親近感をもっている者をテロ活動に誘う意味と、スペイン語圏のラテンアメリカへの侵入も狙っているということである。(参照「El Espanol」)

◆欧州第二位のテロ容疑拘束者数

 しかし、スペインはドイツよりもテロ組織に対する取組みと情報力においては遥かに優秀だと言われている。

 というのも、バスク独立を訴えて長年存在したテロ組織「ETA」との戦いや、そして2003年の電車の同時テロ攻撃の経験から、スペインには国家警察(Policia Nacional)、治安機動隊(Gurdia Civil)そして中央情報局(CNI)はテロ組織との戦いには充分な経験を積み豊富な情報を持っている組織があるからだ。

 そうした組織の働きが功を奏しているのか、欧州刑事警察機構(ユーロポール)によると、2015年にテロ活動に関係している容疑で拘束された者の数では〈スペインは2番目で187人、フランスが一番多く424人〉それに、〈英国の134人、ドイツの40人〉が続くという。

◆攻撃の意志を持っていたテロ容疑拘束者は3割強

 スペインでテロリストの容疑で拘束された人物の中で〈45%はスペイン国籍を有し、41%はモロッコ人〉だという調査結果がスペインの王立エルカノ協会(Real Instituto Elcano)より報告されている。しかし、この報告によると、〈スペイン国籍をもっている者の6%だけが本来のスペイン人で、残りの51.7%は移民1世、そして42.2%は移民2世〉という内訳になっている。即ち、スペイン人としてテロの容疑で拘束された者の殆んどがスペインに在住している間にスペイン国籍を取得した移民者だということである。(参照「El Mundo」)

 この報告の中で見逃すことが出来ないのは、〈拘束された者の35%はテロ攻撃をする意思をもっていた〉ということである。更に、〈拘束された者の6割はセウタで生まれた〉ということも判明している。セウタはアフリカ大陸北部に位置しているスペイン領自治都市である。また、拘束された者の〈23.5%はイスラム国に参加した経験をもっている〉という。

〈2013年11月から2016年4月までにスペインを出てシリアかイラクの戦闘に加わった者は160人。29人が死亡し、20人はスペインに帰国している〉ということも同報告にある。

 スペインの地中海を挟んだ対岸にはマグレブ地域がある。チュニジア、アルジェリア、モロッコの3カ国を包括した地域のことである。この地域がまたテロリストの巣窟だということである。その意味でもスペインは地理的にもテロに狙われ易い位置にあるということでもある。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

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最終更新:8/6(土) 14:20

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