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ホリエモンに聞く、日本からイノベーションが生まれない理由

BEST TIMES 8/7(日) 12:00配信

15万部突破の最新刊『99%の会社はいらない』(ベスト新書)で、いまの会社に代表される組織の在り方を痛切に批判した堀江貴文氏。なぜ、日本の会社はダメになってしまったのか? そして世界の企業が日本に先んじて成功するワケを伺った。

無難な選択から、イノベーションは生まれない

 悲しいことに最近は日本企業が劣化した、みたいな話を聞く。実際、僕もそのように感じることは少なくない。
 家電メーカーは科学的な信憑性のないマイナスイオンを提唱し、大手食品メーカーは、体にいいと謳って水素水を販売する。たしかに古くから電解陰極水が健康にいいとの言説はあったが、その科学的な根拠はいまだに出ていない。
 そういった都市伝説や感情論を利用してユーザーに訴えかけないと、商売ができなくなってきている状況は厳しい。そして、そんな商品がバカみたいに売れていたりする状況も、アホらしいの一言である。
 ソニーがウォークマンを発売したときのように、既存の価値観を破壊してしまうようなイノベーションが最近の日本企業からは生まれていない。
 それはなぜなのだろうか? 
 一つは日本の会社には、異端の技術者や経営者が能力を発揮できる環境がないからだろう。会社の中で出世をするのは、どちらかと言うと新しいことに挑戦する人間ではなく、無難な選択をする人間だ。
 だからこそ、イノベーションは個人が運営しているようなベンチャー企業から生まれることが多い。破壊的とまでは言わないまでも、それなりのイノベーションを起こした会社の方が、新しいことに踏み出せない会社よりも成長する。

 これがアメリカの場合だと、企業のスタートアップの段階でとてつもない金額が投資されることもある。失敗する事例の方が圧倒的に多いのだが、それでもパワープレイに持っていけるような額が集まったりもするのである。「ユニコーン企業」(企業としての評価額が10億ドル以上で、非上場のベンチャー企業のこと)という言葉があるように、未上場にもかかわらず数百億円を調達している企業もあるくらいだ。
 加えて「周りと同じことをしなさい」という日本の画一的な教育では、経営者のマインドが育ちにくいこともある。もちろん社員のマインドも、周りと同じことをするべきだという考えなので、どうしようもない状態になる。
 起業家という選択肢は日本でもかなり認知されてきたが、それでもまだまだ「一般から外れた変わった道」という風潮が残っている。
 しかしアメリカでは、教育の段階で「人とは違うこと」が推奨される。言ってみれば、人と違うものを作り出す起業家がカッコいい職業として認知されるのだ。

 そして、会社員であってもイノベーションを促進させる環境が用意されていることがある。
 検索エンジンで名を馳せたGoogle 社(現・Alphabet 社)はその一つだ。
 ご存じの方も多いとは思うが、Google には「20%ルール」というものが存在しており、就業時間の20%以内であれば、会社の設備を自由に使って好きなことをして良いという制度がある。
 そこで立ち上がった企画がGmail やGoogle Maps、Google 翻訳などのサービスである。これらは、Google が開発したスマートフォン向けのOS『Android』やiPhone に搭載され、世界中の多くの人に利用されるサービスへと変貌を遂げた。結果、ナビゲーションシステムを駆逐できるほどのイノベーションを巻き起こしている。
 そして、Google は現在も車の自動運転技術、眼内レンズなど本業とは違う部分の業務にも取り組んでいる。

 インターネット通販大手の『Amazon』も売上高を伸ばしつつも、内部留保を一定として利益のほとんどを新しい事業に投入。税込み3900円の年会費だけで、通販送料無料、音楽聴き放題(Prime Music)、動画見放題(プライム・ビデオ)のサービスを展開するだけでなく、流通革命を起こすであろうドローンによる配送なども手がけている。
 一方の日本企業と言えば、2015年の9月時点で内部留保が343兆円(全体)。安倍内閣発足直後の2012年12月から約3年で約69兆円も貯めこんでいるのに、イノベーションを起こせていない。ネタバレで恐縮だが、火星に宇宙飛行士が一人取り残され、その救出劇を描いた映画『オデッセイ』でも、救出に協力するためのロケットを提供するのは日本ではなく中国だ。日本の宇宙事業というのは、悔しいことに世界から〝そのように〞見られている。
 いまの日本、そして今後の日本を物語るストーリーからもわかるように、イノベーションを巻き起こす会社は、残念なことに日本にはほとんど存在しないのである。

文/堀江 貴文

最終更新:8/7(日) 12:00

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