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コンテ監督の流儀。殺人的トレーニングで代表チームも戦術は高まる

webスポルティーバ 8/7(日) 14:55配信

アントニオ・コンテインタビュー part.3

 今シーズンからイングランドプレミアリーグのチェルシーで指揮を執るアントニオ・コンテ。ユーロ2016ではイタリア代表を率いてベスト8進出。大会前の低評価を覆してみせたイタリアの名将が、格上の相手に勝つために何をすべきかを語った。

【写真】ユーロ2016でイタリアをベスト8に導いたコンテ監督

――ユーロでは、イタリア不利と予想されていたスペイン戦に勝利。前回王者に対して見事な試合展開でした。そのユーロ後、イタリアの強固な守備ばかりを各国のメディアが盛んに取り上げましたが、実際には、守備と同じように攻撃においても見るべき場面はあったはず。例えば、イタリア対スペインの前半23分46秒から24分08秒までの22秒間。

 MFアンドレス・イニエスタのパスをDFレオナルド・ボヌッチが自陣ペナルティ・エリアのほぼライン上でインターセプト。そのままドリブルで敵陣へ入り、ボールを受けに来たFWグラツィアーノ・ペッレに当て、そのペッレから左サイドMFエマヌエーレ・ジャッケリーニへ。そこから中央のMFダニエレ・デ・ロッシに戻すと、デ・ロッシから再び左サイドへ。このボールを受けたDFマッティア・デ・シッリョのクロスが入ると、2列目から飛び出したMFマルコ・パローロがヘッドでシュート。

 惜しくも枠を外したとはいえ、「強固な守備=効果的な攻撃」を示した。ポイントは、イニエスタのパスが出る直前のパローロ、ボヌッチ、そしてフロレンツィのポジショニング。この22秒間にコンテ監督の戦術のエッセンスが凝縮されていると考えていいでしょうか。

 完璧な解釈だ。その場面も大会前のトレーニングで繰り返し試していたことだ。したがって、あの状況でどう動くべきかを選手たちはすべて頭に入れていた。

 ボヌッチがボールを奪った瞬間にフィニッシュの形はピッチ上の選手全員がイメージできていた。つまり、デ・シッリョは「どのタイミングで、どこ へ動くべきか」を知っていた。同時に「どのタイミングで何をすべきか」も正しく把握していなければならない。デ・シッリョだけでなく、デ・ロッシやジャッ ケリーニ、パローロも。 重要なのは「タイミング」。ひとりでも間違えれば攻めの形は一瞬にして途切れてしまう。ミスをすれば、再びボールを失い、チーム全体が難しい局面におかれる。
 
 逆に、判断に狂いがなければ、自分たちの狙いどおりのリズムでボールを運ぶことができる。つまり、効果的な攻めが可能になる。当然、これをやられれば敵は実に難しい立場に陥る。その典型的な例が、スペインとの試合であったいくつもの場面だ。

 スペインがボールを保持する時間が長くなれば、その分、タイミングを計り違うリスクも高くなる。あの試合のスペインは、ボールを長く保持しようとする過程で少なくない「タイミングのミス」を犯していた。

 一方、攻撃においても守備においても、タイミングのミスをイタリアは一度しか犯していない。そのわずか一度の、致命的だったミス(89分スペインのDFジェラール・ピケのシュート)は、GKジジ(ジャンルイジ・ブッフォン)が止めた。
 
 端的に言えば、「アイデアはテクニックを倒すことができる」。つまり、戦術のアイデアは、時として敵の圧倒的なテクニックを上回る。これがスペイン戦の結果だったと言える。

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最終更新:8/7(日) 14:55

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