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「アルゴリズム」という名の建築家が街をつくってみたら

WIRED.jp 8/7(日) 18:10配信

異星を思わせるコンクリートに、そこにある幾何学的なパターン、暗い窓。ダニエル・ブラウンの写真には、そうした風景が写し出されている。巨大な宇宙船か、はたまたディストピアの世界をも思わせる。

【写真を見る】コンピューテーショナルデザインによって描かれた、さまざまな街の風景

ロンドン在住のデザイナーであり、プログラマーでもあるブラウンは、写真を加工するために新しいデザイン手法「ジェネラティヴデザイン」(コンピューテーショナルデザイン、アルゴリズムデザインとも呼ばれる)の自作ソフトウェアを使用している。彼はそれを使い巨大で複雑な3Dパターンをつくり出し、そこから何かおもしろいものを見つけるまで、ただひたすら探し続ける。

こうしたプロセスは、彼を手品師にしたり、探検家や芸術家にも変身させる。

▼アルゴリズムのなかに発見を求めて

2003年に事故に遭ったブラウンの手には、障害が残ってしまった。そこで彼は、筆や鉛筆を握る必要がないツールを探し求めた。

ジェネラティヴデザインは、一部の楽曲や画像、彫刻などにも使用され、理想的なツールにも思える。ブラウンは自ら発展するような「Reverse Archeology」といった都市をつくるために、このジェネラティヴデザインを用いた。

彼の最近の作品「Dantilon: The Brutal Deluxe」では、四角い形状を使った巨大な構造物がソフトウェアで描かれている。「架空の街をつくるために、アルゴリズムをプログラミングしていくのです。自ら描くわけでもなく、3Dモデルでつくってもいないような建物や構造物が、この街には存在します」とブラウンは語る。

ブラウンは、ランダムな数字をこつこつとプログラムに入力することから始め、幾何学の概念を使ってユニークな形をつくり出している。おもしろい形を見つけ出すまで、ブラウンは数時間もかけて地形を詳しく調べ上げる。そして、ある形状を切り取り、気に入った形になるまでそれを何度も微調整する。そして、1970年代のアパートメントの何気ない写真の断片をプログラムによって当てはめていく。でき上がった建物は、巨大で不格好。果てしなく続く迷路のようだ。

こうして描かれる光景は、映画『インセプション』を思い起こさせる。ブラウンは自らつくり出したその街を「何かを創造するチャンス」ととらえ、自由に探索するという。

「発見と達成感というある種の感覚を味わう機会をもたらしてくれるんです。ある人が山を登る代わりに、わたしはこの数学の空間でそうしたものを追い求めています。いまだ誰も到達したことのない、美しい目的地を探すのと同じ理由ですね」

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JENNA GARRETT

最終更新:8/7(日) 18:10

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