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そういえば“Windows 10強制アップグレード”問題ってどうなった?

@DIME 8/7(日) 18:10配信

 スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回はWindows 10へのアップグレードをテーマに話し合います。

法林氏:マイクロソフトがWindows 10に強制的にアップグレードさせていると、ライターや記者が噛み付いて、日本マイクロソフトの平野社長が謝罪するということもありました。PC系ライターさんも含めて、そういった話は出ていたんだけど、もう一歩引いた意見として「そもそも、なぜOSをアップグレードするのか」を、もうちょっと考えないといけない。Windows 10は、それに揃えたいというマイクロソフトの思惑がある。揃えた方が管理しやすいし、パッチを当てるときにもいいという考え方です。

 それがなぜこのスマートフォンの座談会でということなんですが、AndroidはこんなにOSがバラバラになっている状態でいいのかという問題です。最近になってようやく、Androidもちょくちょくソフトウェア更新がかかるようになってきたけれど、過去、マイクロソフトが通ってきた道を考えると、今後、スマホでアップグレードしないで使い続けると、どういうリスクがあるのかを、メーカーもキャリアもユーザーも考えないとマズイ状態になっています。

 2000年頃に「Blaster」という、マシンに勝手にいろんな情報をコピーしまくるウイルスが出回って、プロバイダのネットワークが落ちちゃうくらい大変な騒ぎになったことがありました。そのときに標的になったのは当然Windowsなんだけど、感染の原因の多くは、ちゃんとアップデートしていないこと、セキュリティ対策ソフトを入れていないことだった。それを見ていた人は、アップデートしないとマズイ、アップデートは基本的にセキュリティホールを塞ぐこと、ということが分かっているから、多少、動作が怪しくなるリスクはあるにしても、アップデートする意識がある。でも、今回の件は「強制」といって、記者が鬼の首を取ったように騒いでいる。それは違うんじゃないのと感じました。

石野氏:Windows 10は、セキュリティパッチ(ソフトに保安上の弱点が発覚した時に配布される修正プログラム)以外のところも大きく変わっちゃっているので、Windows 8からの人は特に問題ないんですけど、Windows 7から変えると大変なんですよね。あのUIでぽんと出されると、初心者には分からない。Android 4からAndroid 5に上がったとき、ケータイショップやサポートセンターが大変なことになったことを考えると、もうちょっとマイクロソフトは周辺事例を勉強しても良かったという気はします。

石川氏:別物になっちゃうからユーザーは混乱する。中身はWindows 10だけど操作体系的には昔のOS、という風にしてくれれば……

法林氏:一応、専門分野なので言っておきますが(笑)、Windows 7のUIとWindows 8.1のUIを融合したものがWindows 10ですから。Windowsボタンを押すとスタートメニューが出て、そこにはタイルの画面も出るし、エクスプローラーもタスクバーから普通に起動できる。普段はデスクトップの画面で使えるわけだから、両方融合したものという解釈。

石野氏:DVDを焼くソフトがなくなったり、ちょいちょい変わっているんですよね。

法林氏:そういう細かい違いは確かにある。

石野氏:細かいけれど、人によっては致命的だったりする。Windows 7もセキュリティアップデートは、期限はあるけれど提供され続けるのだから、そこまで無理にWindows 10にする必要って、マイクロソフト的にはあるけれど、ユーザー的にはないから大きな問題になった。それにしても、アップデートを無料で適用して叩かれるマイクロソフトに対して、AndroidはOSアップデートを提供しないキャリアやメーカーが叩かれる、どっちなんだと(笑)。

 今回のマイクロソフトを見て、Androidも一斉にドーンと変えるのは大変だということが改めて認識させられました。ドコモは、ユーザーの声を意識して、過去には2トップのうち、XperiaだけOSを上げなかったみたいなことを言っていましたけど、ある程度は理解できます。ただ、セキュリティの問題はAndroidの方が深刻。Android 6にはWindows Updateみたいなセキュリティアップデートだけを当てるような仕組みがあるので、なんとしてでもAndroid 6以上にさせた方がいいのかなと思いますね。

 そういうマイグレーション(移行)に伴う「実質0円」は禁止されていないので、ばら撒くなら今だと(笑) それくらいしないと古いAndroidがなくならないと思うんです。ヘタすると、初代XperiaやauのISシリーズを未だに使っている人をたまに見かける。最新のAndroidにしてもらうような手をキャリアが用意しないと。ソフトウェア的にAndroid 6にするのはもう無理があるので、何かしらの買い替えをさせていった方がいいんじゃないかと思いますね。

石川氏:WindowsもAndroidもデバイスを選べるメリットがある一方、フラグメンテーション(断片化。様々な端末が流通してしまい、管理しきれなくなっている状態)によってセキュリティがおざなりになりつつある。ここはしっかり企業として対応する必要がある。無料でアップデートしてくれるiPhoneやMacの方がいいという評価につながると、機会損失になると思うので、AndroidであってもWindowsであっても、操作性を損なうことなく、ちゃんとユーザーのことを守ります、というような意思表示なり活動をしないと、ユーザーを裏切ることになるんじゃないかと思いました。

石野氏:ドコモが去年の冬春モデルの発表会で、Android 6にアップデートできるものは上げると宣言したのは、すごい良かった。ちゃんとセキュリティに対する配慮になっているので、他社に追随してほしい。

法林氏:2015年冬モデルはちょいちょいAndroid 6になったね。

房野氏:ショップでアップデートしてくれたりとかあるんでしょうか。

石川氏:確かにアップデートの意味が分かっていないユーザーはいるかも。

法林氏:ショップは対応できるでしょう。

石川氏:マイクロソフトも全部がWindows 10になれば、いい状況になると思う。今は一番苦しいタイミングなのかな。

法林氏:1年間、タダでWindows 10を配る、それも全世界で負担する。そこは覚悟の上でやっているので、取り組みとして認めてあげるべきだと思う。そのために報道でもアップデートを促すようにフォローしようという話になるんだったら分かるんだけど、「強制はよくない」とか「なぜ選択させない」とか「止められるじゃん」みたいなことをいって、セキュリティ専門だといっているジャーナリストも攻撃している。それはおかしいのではないかと。

石野氏:マイクロソフトはAndroidをやっているGoogleと同じで、ハードを自分たちであまり作っていない難しさがあるなと。Windows 10は悪くはないんですよ。僕自身は不満はないけれど、入れるパソコンによっては起動が遅くなったり、ドライバがダメだったりといったことが意外とある。

石川氏:ああなると「Surfaceを買っておけばいいじゃん」となって、マイクロソフトはそれを狙っているのかもしれないけど、Windowsエコシステムとしてはよろしくない。

石野氏:そうですね。もうちょっとメーカーとうまく協調できなかったかなと。

房野氏:これって日本だけの問題ですか?

石野氏:グローバルですね。

法林氏:ただ、セキュリティに対する意識が日本は弱い。Windows 10のアップグレードの発表でも、日本は蚊帳の外といったらアレだけど、被害というほどのことがなかったので、ちょっと、なんですかねえ……海外の方がセキュリティ意識が高い。

石野氏:確かにAndroidに関していうと、日本はアップデートが遅れがちになりますね。ユーザーにもそれほど重視されていない感じがします。

法林氏:情報開示が足りない。

石野氏:そうですね。セキュリティパッチについても、キャリアのアップデートで詳しく書かれていない。あれはちょっと問題だと思います。Windowsは小さい脆弱性を塞ぐために月例アップデートをやっているので、Androidにそれがないなんてことは絶対ない。キャリアもメーカーも、しっかり情報公開した方がいいと思います。

......続く!

@DIME編集部

最終更新:8/7(日) 18:10

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