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金融の超緩和が続くと思い込む事の二つのリスク (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 8/8(月) 7:02配信

金融市場の参加者の中には、いつまでもインフレが来ず、いつまでも金融の超緩和が続くと思っている人も多いようです。しかし、そう思い込む事には、二つの面でリスクがあります。インフレになるリスクと、日銀がインフレ目標を放棄するリスクです。今回は、超緩和が続かない可能性について考えてみましょう。

インフレの可能性は決して小さくありません。BEI(物価連動国債利回りと長期金利から逆算される市場参加者の期待インフレ率)は低すぎます。また、仮にインフレが来ないとしても、現在のBEIが正しいとしても、現在の長期金利は、どう考えても低すぎます。そのことは、しっかりと認識しておく必要があるでしょう。

■労働力不足によるインフレの確率は決して低くない
景気回復により、労働力不足が深刻化しつつあります。それにつれて、労働力需給を反映する非正規労働のコストが上がりつつあります。正社員については「釣った魚」ですから、簡単に餌はやらないかも知れませんが、採用難から初任給は上げざるを得ず、そうなれば正社員の給与水準全般も底上げされるかもしれません。

今まで物価が上がらなかったから、今後も上がらないと考えるのは危険です。氷に熱を加えて行くと、暫くは氷が溶けるだけで温度は上がりませんが、氷が溶け終わると温度が上昇し始めます。それと同じことが景気と物価の関係にも起こり得るのです。後から考えれば「単にタイムラグが長かっただけ」ということになりかねないわけです。

10年の期間を考えれば、少子高齢化による労働力不足でインフレになる確率は相当高いでしょう。現役世代の人口が減り続けること、医療や介護といった人手に頼る業種が高齢化で伸び続けることを考えると、「景気が悪くても労働力不足で賃金が上がり続ける」かも知れません。そうなると、恒常的にインフレ圧力がかかり続けるでしょう。到底、日銀が超緩和を続けることは出来ないと考えておくべきでしょう。

■大地震などのイベント・リスクにも要注意
イベント・リスクにも要注意です。大地震で大都会が壊滅的な被害を受けることになれば、復興需要(および生産力低下)によって激しいインフレが生じるリスクもあります。可能性は高くありませんが、物価が何倍にもなるかも知れないので、期待値は決して低いとは言えないでしょう。

これも確率は低いと思いますが、10年程度を考えれば、「日本政府が破産する」という噂から国債相場が暴落するかも知れません。そうなれば、「破産する国の通貨は持っていたくない」ということで、日銀券を実物資産や外貨に交換する動きが活発化し、激しいインフレとドル高に見舞われるかも知れません。

以上のように、インフレ率が2%を超えて、日銀が超緩和を終了する可能性は決して低くありません。それを考えると、今のBEIや長期金利は、どう考えても低すぎると思われます。

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最終更新:8/8(月) 8:29

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