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渾身のマーケティングはなぜコケるのか?

JBpress 8/8(月) 6:00配信

 企業の商品企画担当者やマーケターが壁に突き当たっている。「絶対に売れる」と自信をもって売り出した商品が売れないのだ。

 綿密な市場調査を行い、「顧客が求めているのはこれだ」という確信のもと、膨大なリソースを費やして新商品を開発。テレビ、新聞からウェブ、店頭まで大々的なプロモーションを展開して市場に送り出す。ところが最初だけ話題になるものの売れ行きは先細り、いつの間にか姿を消していく。そんな商品がいかに多いことか。

 「千三つ(せんみつ)」(1000の新商品を出しても3つしか当たらない)という言葉もあるように、ヒット商品開発の難しさは今に始まったことではない。しかし、長引く景気停滞、高齢化と消費の成熟化などによってますますモノが売れなくなっている。さらにはインターネット、SNSの普及によって消費者の接する情報が爆発的に増加、多様化し、企業の発信する情報が消費者に届かないという状況がある。

 厳しさを増す一方の市場環境の中で、マーケターはどのような手を打てば、新たな需要を創造することができるのか。

 マーケティングコンサルティング会社、インテグレートの藤田康人CEOは、著書『カスタマーセントリック思考 ─真の課題発見が市場をつくる』(宣伝会議、三宅隆之氏・村澤典知氏と共著)の中で、今こそ「カスタマーセントリック(顧客中心主義)」という思想を企業内でしっかり共有することが必要だと説く。

 カスタマーセントリックとは、「消費者は神様です」と精神論を唱え続けることではない。「企業が『どの戦略や戦術を実行するか』という意思決定の基準を顧客に置く」ことを指す。

 これまで企業は往々にして消費者の本音を掴む努力を怠り、自分よがりな思い込みで商品を開発してプロモーションを展開してきた。しかし、本書『カスタマーセントリック思考』は、企業のすべての取り組みにおいて、消費者を中心に置く根本的な意識の転換が求められていることを指摘する。

 企業のマーケティングを取り巻く状況、カスタマーセントリックを実現するためのポイントなどについて藤田氏に語ってもらった。

■ 消費者の本当の姿がよく分からない

 ──企業の商品開発、マーケティング担当者はどのようなことに悩んでいるのでしょうか。

 藤田康人氏(以下、敬称略) やはり今の消費者の本当の姿がよく分からなくなってきているということですよね。

 今まではそんなにリアルな消費者の気持ちが分からなくても、大掛かりな広告を打っていれば、それなりに買ってもらうことができたし、欲しがらせることができました。だけど、それが通用しなくなってきています。

 そこで、モノがそう簡単に売れなくなった今「消費者って本当は何が欲しいんだろう」とか「どうやったら欲しいと思ってくれるんだろう」ということにようやく気持ちが向き始めてきました。でも、これまでプロダクトアウトが基本で、顧客と向き合い徹底的にそれを突き詰めたことがなく、どうしていいのか分からない。

 本当の意味での消費者を中心に置いた調査のやり方、消費者を中心に置いた商品の作り方、消費者を中心に置いた情報の届け方を考えてこなかった。つまり、カスタマーセントリック思考ができていなかったんだと。そこがやはり一番大きな課題なんじゃないかなと思います。

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最終更新:8/8(月) 6:00

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