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スペインがインド在来線の高速化を売り込んだ理由とは?

HARBOR BUSINESS Online 8/8(月) 9:10配信

 2015年末に日本はインドで新幹線の受注を達成した。ムンバイとアーメダバードの500km間を時速320kmで走行する、インド初の高速列車である。

 そしてこの路線以外にも、インドは7路線で高速列車を走らす計画を持っている。この高速列車の受注を狙っているのは日本以外にフランス、スペイン、中国だとされている。

 中でも、スペインは高速列車の受注もさることながら、在来線のスピードアップについてもインドに売り込みをしている。その柱にあるのはスペインが技術的に世界で誇る列車タルゴ(Talgo)である。タルゴは、振り子式の左右が独立した車輪を使い、しかも車体の重心を低くして曲線区間で速度の向上を可能にしている。このタルゴをインドに送り、インドの在来線を使ってスピードアップを計るプランをスペイン国有鉄道はインド政府に提案したのである。

 スペインは、予てからインドの鉄道網の近代化に強い関心を寄せていた。なにしろ、インドの鉄道網は世界で最も長い65000kmを有し、毎日の利用客は2300万人いるとされている。しかし、列車の速度が遅く目的地までの所要時間がかかり過ぎる問題がある。インドの産業発展には鉄道の近代化は必須の条件とされているのだ。その為に、インド政府は、国内そして外国からの企業の支援も見込んで、この先5年間に1370億ドル(13兆9700億円)の投資を予定しているという。(参照「El Pais」)

◆在来線高速化を売り込んだスペインの狙い

 そして、8月2日、スペイン国有鉄道はニューデリーとムンバイ間の1400kmの所要時間の短縮を成功させた。

 この区間は、既存のインドの列車では17時間以上もかかっていた。それをタルゴは2時間短縮させることを達成したという。試運転の途中で強雨に見舞われた為に更なる短縮が出来なかったとされ、もしそれが無ければ12時間47分で目的地に到着していたとタルゴの担当責任者は説明している。

 タルゴは7月にはインドで時速180kmを記録しているが、今回の試運転では平均速度は時速106.52kmであったという。インドの列車のこの区間の平均時速は89.76kmであることからすると、格段のスピードアップである。タルゴの車体はアルミ製で軽量、しかも振り子式車輪である為に曲線部での加速と減速もより早い切り換えが出来るという利点も所要時間の短縮に繋がったようだ。

(参照「Cinco Dias」)

 もちろん、この時間短縮が可能となっても果たしてスペインがタルゴの受注ができるかという保障はない。特にフランスは高速列車のインドへの売り込みに強い関心を示し、双方の閣僚級での会見も既に達成している。

 しかし、スペインは先ず在来線の列車の売り込みでスペイン製の列車に信頼をもたせ、そこから高速列車の売り込みに移る考えのようだ。

 その背景には、インドにおいて果たして高速列車がどこまで採算ベースに乗れるのかという疑問がまだ拭えない点がある。その意味では在来線での近代化に目を向けたスペイン国有鉄道の視点は正しい方向にあるのかもしれない。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/8(月) 12:14

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