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カープ優勝のために欠かせないキーマン「神って」なくても、相手チームからもっとも警戒される男

BEST TIMES 8/9(火) 12:09配信

■好調の投手陣を支える打率1割台の「女房」

 投手にとって、長いペナントレースの中で夏場は1つの試練のときかもしれない。8月に入り、乱打戦や試合時間の長い試合が目立つようになってきた。

 セ・リーグ首位を走る広島も同じ。踏ん張ってきた投手陣に疲労の色は濃い。正念場を迎えた広島投手陣だが、ここまでリーグ2位の防御率(7月末日現在)を誇る彼らには、他球団に勝る“内助の功”がある。

 開幕投手クリス・ジョンソンは開幕から17試合連続でクオリティー・スタート(先発投手の評価指標で6回以上自責3以下)を記録し、昨季5勝の野村祐輔がすでに自己最多となる12勝を挙げハーラートップを快走している。
 後者、野村は独身だ。内助の功と言っても、正妻ではなく、女房役と言われる捕手の存在だ。

 石原慶幸こそ、広島躍進の陰の立役者。
 8月2日ヤクルト戦でバレンティンが振り抜いたバットが頭部を直撃して「脳震とう、後頭部打撲」で離脱中だが、替えのきかない存在と言えるだろう。

 打てる捕手全盛の今、打率は2割にも満たない。昨季広島捕手最多93試合に出場した打力に勝る会沢との併用も、黒田やジョンソン、野村といった主戦はすべて石原がマスクを被る。正捕手の座を奪い返したと言える。

 なぜかーー。
 それは巧みなインサイドワークがあるからだ。先発投手陣は、勝てば石原への感謝を口にする。「石原が本当にいいリードをしてくれた」(黒田)。「石原は相手打者のことを知っている。信頼して投げ込める」(ジョンソン)。厚い信頼があるからこそ思い切って投げ込める。そして配球には裏付けされたデータもある。

■他球団が嫌がる石原のリード

 他球団のスコアラーが認めるのは、石原の洞察力だ。
「打者の得意なところ、苦手なところを知っている。その上で球に対する反応や、踏み込む位置を見ている。本当によく見ている。うちの若い捕手も見て勉強してもらいたい」。

 投手の状態は、その日によって違う。石原はその日良くない球の使い方がうまい。見せ球として使いながら、中盤にはカウントを取る球になっていることもある。「それは投手によって違うし、できる投手でもその日によって違う」と石原。
 “その日によって違う”投手の最もいい投球を引き出している。

 石原のリードによって覚醒したのが、新人の岡田だろう。4月28日ヤクルト戦は3者連続を含む4四球を与えるなど65%以上がボール球で、1回持たず、わずか35球で降板した。
 速球には力があり、打者が真っすぐと分かっていても空振りする切れもある。だが、制球に難があった。
 2軍降格を経て、制球力の向上は見える。だが、石原は新人相手にバッテリーを組んだとき、ミットを真ん中に構えた。真ん中だけでなく、球をひっかける傾向にある日は、わざと高めにミットを構える。そうすることで調整しながら、好投を引き出している。岡田は真ん中にミットが構えられたときの意味をこう解釈している。
「制球を気にするなというよりも、お前の球を投げてこいという意味があると思っている」
 再昇格後、安定した投球を続けて自信を深めていった右腕は今、チームの確かな戦力となっている。

 バレンティンの振り抜いたバットが石原の後頭部を直撃するアクシデントも、幸い離脱は6日間で済んだ。頼れる扇の要はチームの中で替えの利かない選手の1人。広島投手陣は先発、中継ぎともに失点を重ねる試合も増えた。25年ぶり優勝のためには最後のひと踏ん張りが必要だが、残された力をベテラン捕手のタクトで最大限に発揮させてくれるに違いない。

文/前原淳 写真/産経新聞社ビジュアルサービス

最終更新:8/9(火) 12:21

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