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経営の原点としての人事――野村證券の事例から“社員が力を発揮できる仕組み”を考える(野村證券 古賀氏×一橋大学大学院 楠木氏)【HRC2016春】

日本の人事部 8/9(火) 7:30配信

経営とは、「先を読み、決断し、実行する」ことだと言われる。その際、人材と組織がなければ経営は成立しない。社員が経営に貢献するには、どんな仕組みが必要なのか。人事はそのために、何をすればいいのか――。長年にわたり人事業務に携わってきた野村證券会長の古賀信行氏と、一橋大学大学院教授の楠木建氏が、ディスカッションを行った。

古賀氏によるプレゼンテーション:企業を強くする人事とは

古賀氏は「人事とは何か」と、参加者に問いかけた。「人が持つ特性をよく理解し、人のことについて考え続けることによって、より鮮明に人がわかるようになります。そういった動作を繰り返し行うことが、人事の仕事です」

続いて古賀氏は「人はなぜ働くのか」と問いかける。ここで紹介されたのは、チョークのメーカーである日本理化学工業の大山泰弘会長の言葉だ。大山会長は、会社近くの養護学校の教諭から、重度の障がい者を数名雇ってほしいと頼まれ、最初は断ったものの、何度も頼まれたので、仕方なく二人を雇うことにした。入社しても二人は仕事がうまくできず、叱られることが多かった。しかし、二人は何度叱られても、毎日会社に出てきたという。

「毎日わざわざ叱られに来なくても、食べるに困らない支援は受けているはず。それでもなぜ毎日会社に来るのだろうかと、大山氏は不思議に思ったそうです。そんなとき、禅の僧侶から『あなたは恵まれているのでわからないかもしれませんが、人間の喜びというのは、そんなに多くはないのです』と言われたそうです。その喜びとは『人に愛されること』『人にほめられること』『人の役に立つこと』『人から必要とされること』の四つでした。仕事をしていれば、『人に愛されること』以外は満たすことが出来る。だからこそ、人は働くのです」

制度・仕組みがあるだけでは、人はイキイキと働くことができない。古賀氏はその背景にそれぞれの個人をしっかりと見る、見守る風土がビルトインされていないと、無意味になりかねないと語る。「私もよく陥りましたが、会社は優れた人ばかりを高く評価しようとします。しかし、組織全体でいえば、優れた人は放っておいても育ちますので面倒を見なくてもいいと思います。ダメだと言われている人こそ、その人の良いところを探してあげる。すると、不思議なものでダメだとされていた人たちが、ちょっとした気付きをきっかけに頑張るようになります。このような会社の底力を上げる動きが、組織全体に必要だと思います」

次に古賀氏は、人事と時代との関係について語った。時代によって、人事のやるべきことは変わる。高度経済成長期は、人事がやること・やるべきことがはっきりしていた。当時は、量を増やすことが収益へ直結することがわかっていたからである。そのような状況で一番強いのは、日本人・男性・大卒・新卒を採用し、彼らを正規軍と位置付けた金太郎飴型の画一的な人事だった。

「しかし現在は、人事が行わなければいけないことが日々、大きく変わっています。弊社の例でいえば、かつては株式の取扱量が増えると、手数料が増えて、利益につながるという図式でした。しかし今は、手数料が自由化され、ただ株式の取引量を増やす営業を行うことはリスクにつながる時代になりました。顧客のニーズが多様化する現代において、取引量を増やせばいいという考えではやっていけません。このような変化に、人事も対応していかなければならないのです」

古賀氏は、どのような企業が強くなっていくのか、自身の考え方を述べた。「企業は、時代背景にあわせ、単一的な運営から脱し、多様化しなければなりません。他社とは異なる要素を持つことが、企業の競争力の源泉となるのです」

最後に古賀氏は、これから注力すべき三つの分野として、女性、外国人、シニアを挙げた。「この三つの分野に属する人たちを、企業のど真ん中で活用できる会社が、これからの本当に強い企業だと思います」

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最終更新:8/9(火) 7:30

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