ここから本文です

41歳で突然半身不随…「病床六尺」【病床ROCK尺】

ファンファン福岡 8/9(火) 17:10配信

ずっと以前、髪を短く切った写真をSNSにアップしたところ、「正岡子規に似てる」とからかいのコメントが入ったことがありました。ただ、うれしかった面もあったことは確か。

正岡子規といえば、僕の座右の書『坂の上の雲』に登場する写実主義を説いた俳人。かたや、僕はハードボイルドの手法を用いた弁護士モノのミステリーでデビューした作家です。

「ハードボイルドって何?」

とよく質問されるのですが、文体の点に限って簡単に答えるなら、正岡子規の説いた写実主義に通じるところがあり、情緒を排した表現方法で逆に情緒を強調するものではないかと思っていて、正岡子規に似ているというのは、その意味でうれしくもあるわけなのです。

ようやくICUから出て、手術のために右半分だけ刈られたアシンメトリーな髪型が気になり始めました。知り合いの美容師さんがお見舞いに来てくれたときに、

「ハサミ持ってるから、切りましょうか」

なんて言ってくれて、病室が美容室に。かなり短めのオシャレ系ボウズに仕上がったのですが、ヒゲも伸びていて、やつれた顔を鏡で見ると、やっぱり正岡子規にしか見えない。正岡子規といえば、結核で死の床にありつつ書いた随筆が「病床六尺」です。

ふと自分の病室のベッドを見ると、正岡子規の病室六尺よりは立派なものです。とんでもない大病をしてしまい、大打撃なわけですが、せっかくのモノ書き業、子規の病床六尺にちなんで何か書いて一儲けして取り返すしかありません。そう、「転んでもただでは起きんゾ」と。ローリングストーンな感じで転がり続けるしかありません。何せ、歩けなさそうだし。

ということで、「病床ROCK尺なんてどうだろう」と、早くも転がり始めたのでした。ロックのリズムにしては、前ノリ過ぎるかな、なんて思いつつも、もう止まりませんから最後までお付き合い願いますよ。

Profile 法坂一広(ほうさか いっこう)

福岡市を拠点に活動する弁護士、小説家。2011年に『弁護士探偵物語・天使の分け前』で第10回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞。以降、弁護士探偵物語シリーズを執筆する。最新作は『ダーティ・ワーク』(幻冬舎文庫、2015年)。趣味はアビスパ観戦とトレイルランニング。西日本新聞社刊登山情報紙『のぼろ』でショートストーリーを連載中。

ファンファン福岡

最終更新:8/9(火) 17:10

ファンファン福岡

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ファンファン福岡

株式会社西日本新聞社

福岡市を中心としたエリアで発行するフリーペーパー。「福岡って楽しい!大好き!」という地元の方々と一緒に、魅力あふれる福岡の街や人、イベント、グルメスポットなどを随時更新。

なぜ今? 首相主導の働き方改革