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【MLB】イチロー、3000本全ての安打の落下点が示す真実

ベースボールチャンネル 8/9(火) 17:00配信

3000本ヒットの「スプレーチャート」

 イチローがMLB通算3000本ヒットの金字塔に到達したことでアメリカ野球界は相当な盛り上がりを見せている。
 その3000本の安打の打球位置をすべてマークで表した「スプレーチャート」を見るとある真実が浮き上がってくる、と『CBS Sports』のダリン・ペリー記者が報じている。

“Marlins outfielder, international treasure, and future Hall of Famer Ichiro Suzuki (Ichiro!) of course recently registered his 3,000 career hit in MLB.”
「マーリンズの外野手、そして国際的な宝物、将来殿堂入り確実のイチロー選手がMLB通算3000本安打を打ったのはすでに知られている」――このような書きだしから記事は始まり、イチローのユニークなヒット・パターンを、図や写真と共に掲載している。

 イチローはよく知られている通り、ボールをバットにうまく当てる才能の持ち主で、野手のいない場所に打球を持っていき、グラウンド上すべての場所に打球を飛ばす。そのため、それがどこに落ちるか事前に判定することが不可能である。また、あのユニークなスイングは多くの人が白日夢で繰り返し見ても不思議ではないほど有名である。

 もちろんイチローのスイングで多くのファンが思い浮かべるのは、一球一球の前に必ず見られるルーティン――まさにワインドアップするかのようにして構える、あのバッティングのポーズかも知れない。

 いずれにせよ、イチローのスキルとそのバッティングフォームを組み合わせると、その結果がMLB通算3000本安打という偉業につながった。
 そして、そのすべてのヒットの落下点を示す「スプレーチャート」から、改めてイチローの凄さが浮かび上がる。

シフトが不可能な相手の守備

 MLBで放った3000本全ての飛んだ場所をチャートに落とすと、球場の至る所にボールを打ち返していることがわかる。

 特に驚くべきなのは、内野全体へばらまくかのように安打を放っている点にある。左打者の場合、もっぱら内野のオーバーシフトによってヒットを阻まれるケースも多いが、イチローがバッターボックスに立っている限り、相手の内野陣はそのようなシフトをかけるわけにはいかない。

 イチローの単打、二塁打の落下位置を見る限り、左右どちらにも平均的にボールが飛んでいるのが伺われる。これは極めて驚くべきことである。2002年以来(この年にFanGraphsが打球に関するデータ解析を始めたのであるが)のイチローの打球を調べるとさらによくわかる。

Ichiro has hit 31.3 percent of his batted balls to the pull side, 35.3 percent up the middle, and 33.4 percent to the opposite side. Let me know if you can suss out any predictable tendencies in those numbers.
イチローはその打球の31.3%を右(ライト寄り)へ、35.3%を中央へ、33.4%を左(レフト寄り)へ飛ばす。イチローの打球の傾向をこれらの数字から見出すことができればぜひ教えてほしい。

 パワーを要する打球になるにつれて、イチローもやはり流すより引っ張る傾向が強くなる。しかし敵チームの守備陣にしてみれば、いつそのような当たりが出るかわからないので、シフトをかけることはできず、ただ定位置から、打球がそこに飛んでくることをひたすら祈るしかないのである。

 ホームランに限って言うと、イチローは疑いなく引っ張って一打を狙う打者である。(しかしこれは、イチローが本当にホームランを狙ってバットをスイングする場合があれば、という仮定での話だが……)

 スプレーチャートの中にたったひとつだけ、ホームランを示すマークが左中間にある。イチローはたった一度だけではあるが、左中間にホームランを打っている。『Baseball Reference』のホームラン・ログを見ればわかるが、それは2002年6月29日の一打であった。そしてその時も相手はロッキーズ。投手はマイク・ハンプトンであった。

 イチロー、実に驚くべき打者である。


松本三郎

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:8/9(火) 17:00

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