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北朝鮮はさらに大きな軍事行動に出てくる

JBpress 8/9(火) 6:20配信

 (本記事は2016年8月9日に公開されました)

 8月3日、北朝鮮は準中距離弾道ミサイル「ノドン」2発を発射、うち1発が秋田沖約250キロメートルの日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した。発射地点は北朝鮮南西部の黄海南道殷栗付近で、飛距離は約1000キロメートルに達した。

 これまですでに北朝鮮はノドンの発射実験を繰り返している。だが、これまでは飛距離を抑えた約500キロメートル程度の発射実験がメインだった。今回の飛距離は過去最高で、日本のEEZ内への着弾も初めてだった。

■ 北朝鮮が常に意識しているのは韓国とアメリカ

 では、今回のノドン発射の目的は何か? 

 ノドンの改良による性能試験というのは、可能性がないわけではないが、根拠がない。ノドンが射程1300キロメートル以上であることはすでに分かっていることであり、今回の発射によって性能の向上が確認されたという事実はない。

 とするならば、その目的は、軍事的にはノドン部隊の実戦的訓練ということになり、政治的には「長い飛距離を飛ばしてみたこと」そのものにあるとみていいだろう。

 ただし、日本のEEZに着弾したからといって、日本を恫喝・牽制するのが目的だったとはいえない。今回の発射地点と着弾地点は、北朝鮮の国土から1000キロメートル飛ばそうとすれば、あれしかないコースといえる。

 日本のEEZ内に落とすのは日本側の反発を招く行為だが、別に日本が怒ったところで、北朝鮮には痛くも痒くもない。領土・領海内に落とせば大きな国際問題となるが、領土から250キロメートル離れた海上であれば、とくに気にすることもないと北朝鮮側は考えたのだろう。

 日本を恫喝・牽制する狙いだったという推測は、北朝鮮の戦略に合致しない。北朝鮮が常に意識しているのは、韓国とアメリカである。結果的に日本を恫喝・牽制することにはなったものの、北朝鮮にとって日本を恫喝・牽制するメリットはとくにない。

■ 次の軍事行動はさらに大掛かりなものに

 今回のノドン発射の政治的な動機が「長い飛距離を飛ばしてみたこと」そのものにあるとすれば、ノドンの飛距離を伸ばしたことの意味は、「国際社会(とくにアメリカ)から反発を受ける軍事行動のレベルを上げた」ことにほかならない。これは、次の「より大きな軍事行動」への布石とみられる。

 北朝鮮は、それまで自分たちが実行した核実験やミサイル発射などの軍事行動はすべて「自分たちを恫喝するアメリカから国土を防衛するためのもの」と強弁してきた。そして、自分たちが正当な防衛措置をとったことに対し、アメリカがさらに自分たちを敵視する策をとるならば、「防衛のために、より大きな行動をしなければならない」と主張するのが常だ。つまり、自分たちのそれらの行動はすべて「アメリカにそう追い込まれたのだ」との体裁をとるのである。

 韓国では今月、米韓合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」が始まるが、その場合、北朝鮮は、前述した理屈を口実に、さらなる大規模な軍事行動を行う可能性がきわめて高い。その次なる軍事行動は、ノドンの1000キロメートルの発射実験より大掛かりなものになるだろう。すなわちムスダンの前回以上の長距離発射あるいは5回目の核実験の可能性が高いといえる。仮にムスダンの発射であれば、今回のノドンですでに日本のEEZ内への着弾の実績を積んだので、次は日本を飛び越えてくる可能性もある。

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最終更新:9/10(土) 1:15

JBpress

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