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日銀の強烈なETF買いでもファストリ株下落の不思議

会社四季報オンライン 8/9(火) 21:06配信

 市場参加者は「707億円買う人」(ただし、8月実績のため今後、金額は変動)の存在を常時、意識しなければならなくなった。株式市場では通常、最終投資家の顔は見えないものだが、この「707億円分も半日で買ってしまう大口さん」については、その顔(日銀なので人ではないが……)まで知られている。

 この大口さんをめぐっては、「東証株価指数(TOPIX)が前場にほんの少しでも下げたら後場に買う」という、動くタイミングまで周知となっている。そんな投資家の動静とのお付き合いを迫られるのが平日9時から午後3時までの東京時間である。

 この究極の官製相場に対して言えることは、「買い方に分がある」しかないと思われる。下値はかなりロックされたようにも見える。PKO(株価維持策)といっても、これだけオプションのプット買い(下値不安に対するヘッジ)などを行う投資家が減少し、日経平均のボラティリティインデックス(VI)が低下(7月29日始値30.98→8月8日安値19.78)した以上、指数を押し上げる要素は小さいとも言いきれない面があるとみられる。

 「TOPIXが強いほうが“強い相場”といえますよね」という、ごく当たり前の見方でさえ、今は「持ち出し禁止レベル」である。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は7月29日始値12.56倍から8月8日高値12.77倍まで上昇し、1999年以来の水準に達した。過去の高値はいくらで、高水準の後に相場は崩れることが多い……といった経験則もあるが、過去には「707億円の人」が居なかったわけで、現在との比較も不毛になってしまった。

 先の見えない相場の世界で、自己研鑚しながら生き抜いてきた多くのプレーヤーは“愚策”と理解しているように思うが、そんな市場を熟知したプレーヤーが金融政策を決められるわけではない。もはや、この新しい世界でどう立ち回るかを考えるしかなくなった。

 日経平均寄与度は高いが、流動性がさほど高くなく、少額投資非課税制度(NISA)の非課税枠で買うこともできないし、そもそも信用買い残も少ない(7月29日時点でわずか16.7万株)ファーストリテイリング (9983)の株価の押し上げが、どういう経路で日本国民の「資産価格に働きかける緩和策が有効である」(日銀政策委員の「主な意見」より)という意見と辻褄が合うのか……なんてことは考えたら負けで、「この株の上げ潮に乗るほうが利口」といった結論しか導き出せなくなった。

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最終更新:8/9(火) 21:06

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