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陛下のお言葉が立派すぎて象徴天皇制は危機に? --- 八幡 和郎

アゴラ 8/10(水) 7:10配信

昨夜のBS11「報道ライブ IN side OUT」で国民の反響も紹介しながら本件について解説をし、いろんなことを思った。

まず、陛下の言葉が素晴らしく感動的だったことであることはいうまでもない。しかし、国民がそれを受けてご希望通りにしてあげなくてはというムードであることには疑問を感じた。それでは、陛下が渾身の力で守ろうとされている象徴天皇制の趣旨に反するからだ。

陛下のお言葉を重く受け止めつつも、国会と政府は、陛下のお言葉を盾に取ることなく将来に向けての展望も踏まえ自己責任において決定を下すべきなのである。

番組でも、どうして陛下がこのようなかたちでお言葉を出されたのかという質問があったので、「これまで陛下が様々な問題についてご意向を漏らされることはあったが、そのまま表に出すと影響が大きすぎるので、新聞にリークされるなどされてきたが、ご意向が本当かどうか分からないまま一人歩きして政治的思惑で利用されているという指摘もあったので、直接語ることにされたのだろう」と申し上げた。「ただ、やはり国民が陛下の言葉の通りにしなくてはというようになってしまっているのは考えもの」とも申し上げた。

今回のお言葉を聴いての第一印象は、官僚の用意したものでなく、ご自身で推敲を重ねられたものと思われ、非常にご心情が生々しく語られていることだった。

陛下が自身が象徴天皇として、国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えるだけでなく、人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことがも大切で、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇もまた、国民に対する理解を深め、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たというようなということを仰っていた。

しかし、天皇であればこのようにすべきと一般化するべきものでなく、今上陛下のスタイルとしてそうされてきただけだ。昭和天皇はカリスマ性高く国民が仰ぎ見る対象であったが、それはそれで、象徴天皇にふさわしいものだった。

また、皇太子殿下には別のお考えがあろうし、妃殿下のご体調からいっても、今上陛下と皇后陛下のように全国津々浦々をまわり、祭祀にも過去に例をみないほどご熱心というようなスタイルはとれないだろうが、独自のスタイルを持って象徴天皇としてつとめをはなそうとされると思うし、あとはそれが説得力あるものかどうかが問われることになる。

しかし、今上陛下は、自分なりのスタイルを天皇である限りは貫徹したいし、それができなくなった以上は、譲位したいということだと思う。

また、昭和天皇が重態になられたときに、『自粛』によって国民の社会活動が沈滞し、ご大喪後に至るまで影響が続いたことに心を痛め、皇位にあり続けたまま最期を迎えることが好ましくないことだと考えておられることがうかがえる。

たしかに、香淳皇太后のときは、それほどの自粛などなかったことをみれば、譲位されれば、国民生活への影響は簡素なものになるだろう。

摂政を置くという可能性については、すでに、昨日、「天皇陛下の退位御意向で核心的問題になること」で詳しく書いたが、摂政は短期間だけを想定したもので、長寿化が進んだ現代にはそぐわない制度になっている。また、外交面などでのマイナスも大きい。摂政に天皇と同じありがたみがあるとは思えないからだ。

それに加え、陛下は、摂政をおいて公務を代行させても、天皇である限りは、象徴天皇としての義務から逃れ得ないし、ご病気や崩御の際に生じる問題も回避できないから解決策にならないことを強く示唆された。

さて、このお言葉を受けて政府は、皇室典範の改正作業に着手するべきだ。この問題については、「天皇陛下の退位御意向で核心的問題になること」で詳しく論じたので、そちらを併せお読みいただきたいが、最低限に必要なことは、(1)生前譲位の規定を創設すること、(2)譲位後の称号や役割・待遇についての基本を定めること、(3)秋篠宮殿下と悠仁親王を皇太子、皇太孫としての待遇を与えるよう規定を整備することだ。

しかし、現行の規定では、将来、ごく短期間だけ秋篠宮殿下が天皇となられることが予想されるので、そのときの状況に応じて、柔軟に対処できるような仕組みをつくっておくことが望まれるし、皇位継承資格者や皇族の減少に対応するために、私は結婚後の女性皇族と、旧宮家の方々どちらもが公務を宮内庁参与のようなかたちで分担しながら将来像を模索するのが好ましいと考えている。

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最終更新:8/10(水) 7:10

アゴラ

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