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徹底検証!ドコモのTD-LTE対応Wi-Fiルーターは爆速なのか?

@DIME 8/10(水) 11:56配信

 テレビCMなどで連呼されてきたこともあり、今や一般用語と言えるほど浸透した「LTE」。そのLTEには、2つの種類があることをご存じだろうか。1つが、FDD方式と呼ばれるもの。日本ではドコモ、au、ソフトバンクの3社ともが、この方式に対応しており、世界でもこちらが主流だ。FDDとは、「周波数分割」を意味する言葉で、上りと下りの通信を、周波数を分けることで区分けしている。

 これに対し、上りと下りの“時間”を細かく区切って通信するのが、TDD方式だ。この仕組みを使ったLTEのことを「TD-LTE」と呼び、中国や日本などが中心に仕様を策定してきた。ソフトバンクのグループ会社であるWireless City Planningが持つ「AXGP」や、KDDIグループのUQコミュニケーションズが展開する「WiMAX 2+」は、TD-LTEと完全互換の通信方式。名称こそ異なるが、技術的にはほぼ同じものだ。

 そのTD-LTEを唯一持っていなかったドコモが、6月からついにサービスを開始した。ドコモのTD-LTEは3.5GHz帯の周波数を使い、最大で110Mbps出る仕様。この3.5GHz帯のTD-LTEを2波使い、さらに既存のFDD-LTEを組み合わせて、合計で下り最大370Mbpsの通信速度を実現した。3.5GHz帯は既存の周波数より高く、エリアもまだスポット的に存在する程度だが、今後は徐々に拡大していく方針だ。

 ドコモのTD-LTEに対応した初の製品が、ファーウェイ製のWi-Fiルーター『Wi-Fi STATION HW-01H』だ。TD-LTEに対応しているのはもちろん、タッチパネルを採用し、操作性にもこだわった1台で、バッテリーも4750mAhと大容量。通信方式だけでなく、基本性能の高いルーターとしても注目の製品と言える。この『Wi-Fi STATION HW-01H』を借り、通信テストを行なった。ここでは、その使い勝手やスピード感などをレビューしていきたい。

■なかなかつながらないTD-LTE

『Wi-Fi STATION HW-01H』を借り、まずは通勤経路で使ってみることにした。筆者がメイン端末にしている『Galaxy S7 edge』を接続し、ところどころで速度を計測。下り最大370Mbpsの実力を試してみた。速度の計測には、ドコモ純正のスピードテストアプリである「ドコモスピードテスト」と、サードパーティ製アプリの「SPEEDTEST.NET」の2つを使用している。

 通勤と言っても、筆者の場合、都内から都内への移動で、電車に乗っている時間も合計20分程度。都内の中心部に近いため、最新の通信方式が比較的早く導入されるルートだ。そのため、エリアマップを見てピンポイントでその場所に行かなくても、TD-LTEをつかむことができるのではと思っていた。

 ところが、計測した速度を見てみると、TD-LTEをつかんでいるような気配がない。試しにスマートフォンのWi-Fiを切り、速度を測ってみると、『Wi-Fi STATION HW-01H』につないだときと大きな差が出ない。『Wi-Fi STATION HW-01H』にはつかんでいる周波数帯を見る機能がないため、確かなことは言えないが、結果を見ると、通常のLTEにつながっていた可能性が高い。以下は渋谷駅のホームで計測した結果。どちらも、60Mbpsに迫る速度で、十分高速なのだが370Mbpsを期待すると拍子抜けしてしまう。

 もっとも、『Galaxy S7 edge』も、3波のキャリアアグリゲーションに対応しており、下りの最大速度は375Mbpsを実現している。そのため、駅のホームでこのぐらいの速度が出ていれば、十分な速度とは言える。通勤中から家にかけ、この傾向はほぼ同じだった。速いことは速く、利用にも特に支障はないが、うっすら期待していた“爆速”になることはなかった。以下は自宅で測定した結果だが、『Galaxy S7 edge』で直接通信した方が、速度は上だ。それでも70Mbpsを超えているため、Webサイトは一瞬で表示されるが、『Wi-Fi STATION HW-01H』の実力を引き出してみたいという気にはなってくる。

■エリアは超限定的、でもつながると超速い

 では、あえてTD-LTEのエリアに行ったらどうなるのか。ドコモでは速度別にエリアマップを公開しており、ある程度詳細な場所を調べることが可能だ。『Wi-Fi STATION HW-01H』に対応したエリアも、当然公開されている。エリアマップを見る限りでは、東京都内の場合、山手線沿線の駅周辺、もしくは駅付近がスポット的に対応していることが多いようだ。そのうちの1か所が渋谷の事務所からすぐの場所だったため、早速行ってみることにした。

 エリアマップとにらめっこしながら、対応エリアで速度を測ってみた……が、結果は同じ。速度は20Mbpsを行ったり来たりしていた。ただ、キャリアアグリゲーションは、常にかかるとは限らない。そのため、エリアマップに出ていた範囲を少しずつ移動しながら、速度計測を繰り返してみた。そして10分ほど経ったあと、ついに100Mbpsを超える速度を記録。同じスポットで『Galaxy S7 edge』単体で速度を測ったところ、約25Mbpsと1/4以下だったため、あくまで状況証拠だが、『Wi-Fi STATION HW-01H』がTD-LTEをつかんでいたことが分かる。TD-LTEにつながっているユーザー数はまだ非常に少ないため、比較的人の多い渋谷の街中でも、非常に高い速度で通信できたようだ。

 もっとも、最高速度の370Mbpsとは、まだ開きがある。これは、電波のコンディションが影響する上に、『Wi-Fi STATION HW-01H』とスマートフォンの間の無線LANも速度低下の原因になる。PCとUSBケーブルで接続して速度を測れば、より高速な結果が出たかもしれないが、屋外での利用シーンには適さないため、このくらいの数値がTD-LTEエリアの実力と見ていいだろう。100Mbpsを超えてくると、Webの表示はもちろん、比較的容量の大きなアプリのダウンロードも高速で、体感でも違いが分かるレベルになってくる。。

 エリアがまだスポット的で、狙ってその場所に行かなければここまで高速にならないのは残念なところだが、TD-LTEをつかんでいなくても比較的速度は高い。スマートフォンだけでなく、PCである程度大容量のファイルをやり取りするのにも適したWi-Fiルーターと言えるだろう。ただ、この機種の真価が発揮されるのは、もう少しエリアが広がってからになりそうだ。

■端末としての使い勝手はどうか?

 では、端末としての使い勝手はどうか。バッテリーが大容量なだけに、重量は173gあり、手に取るとズシリと重みが伝わってくる。サイズも、Wi-Fiルーターとしてはやや大きめだ。バッグに入れておくにはいいが、ポケットに入れて気軽に持ち運べるようなものではない。そのため、高速通信が必要なときに、PCなどと一緒に携帯するデバイスと言えるだろう。

 操作はタッチパネルがあるため、直感的だ。Wi-Fiルーターの場合、低機能なものは設定などを外部アプリから行わなければならないこともあるが、この仕様ならタッチだけで操作が完結する。メニューもスマートフォンのそれに近く、説明書がなくても操作を迷うことはないだろう。

 サイズが大きいだけに、機能は豊富だ。Wi-Fiはきちんと5GHz帯に対応しているし、4750mAhの大容量バッテリーを生かし、スマートフォンに給電することもできる。ルーターとしては重量級だが、モバイルバッテリーを持ち歩いていると思えば、あまり気にならないかもしれない。起動が速く、使おうと思ったときに、すぐに使い始められるのも便利だ。

 少々気になったのは、タッチパネルの反応の悪さ。フリックしたときのスクロールがややぎこちなく、目的以上に画面が進んでしまったり、スクロール量が足りなかったりしたことがあった。Wi-Fiルーターのため、そこまでシビアな操作性を求めるのは酷な話かもしれないが、スマートフォン感覚とまではいかない点は事前に知っておいても損はないだろう。

 また、充電端子に、USB Type-Cが採用されている点にも、注意が必要だ。付属のケーブルを使えばいいが、まだ出回り始めたばかりの端子のため、うっかり家に置きっぱなしにしてしまうと、外出先で充電できなくなるおそれがある。友人から借りようと思っても持っていないことが多いはずだし、コンビニなどで簡単に入手できないおそれもある。Wi-FiルーターでUSB Type-Cを採用したのは意欲的で、上下の区別なくケーブルを挿せるのは便利だが、入手性や普及度が低い点は念頭に置いておきたい。

 まだまだTD-LTEのエリアが狭いため、都市部に住んでいてもメリットを感じる機会は非常に少ないが、一方で、既存のLTEも使えるため、これといったデメリットも感じなかった。操作性や端子がUSB Type-Cである点には注意したいが、この点は、他のルーターと比べ大きく劣っているわけでもない。今Wi-Fiルーターを買うなら、将来のエリア拡大を見込んで、この機種にしておくのはありだ。TD-LTEのエリアだと通信速度もまさに“爆速”なため、この方式が今後、スマートフォンに広がることも期待したい。

【石野's ジャッジメント】
UI         ★★★
レスポンス     ★★★
バッテリーもち   ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★
文字の打ちやすさ  ★★★
質感        ★★★★
※採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

@DIME編集部

最終更新:8/10(水) 11:56

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