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わかりやすくてディープな(?)高校野球本『ワタベ高校野球の味方です。』刊行記念 アンジャッシュ渡部建インタビュー!

おたぽる 8/10(水) 14:00配信

 夏の高校野球の季節を控えた2016年6月、お笑い芸人のアンジャッシュ・渡部建氏が『知識ゼロでも楽しめる熱狂観戦術! ワタベ高校野球の味方です。』(KADOKAWA)を刊行した。

 熱烈な高校野球ファンとして知られる渡部氏。高校野球をまったく知らない層でも楽しめるというサブタイトルとは裏腹に、確かに読みやすい構成になっているが、かなりディープな内容でもあり、自身の高校野球熱をそのままぶつけた印象もある。本書の刊行の真の意図はどのようなところにあるのか? 出版の経緯から、あふれんばかりの高校野球に対する想いについて、本人を直撃!


■野球好きは対談ページにしびれるはず。ぜひ読んで!
── 『ワタベ高校野球の味方です。』を出版に至った経緯からお聞かせください。

渡部建(以下、「渡部」) 元々高校野球が大好きだったんですが、2009年頃から現在のように、のめり込んで観戦するようになり、出演したTV番組などで高校野球のネタを数多く話すようになったところ、「本にまとめてみませんか?」と、声をかけてもらったんです。

── 本書は、渡部さんが個人的な活動をして得た高校野球の面白い話や、ご自身が観戦にいった体験談を中心に、全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)の出場校数と同じ49のエピソードで構成されています。Amazonのレビューなどを見ると、「初心者にもわかりやすい」と書かれていましたが、実際のネタについてはコアな野球ファン向けのディープなものが多い印象です。

渡部 どうですかね? そこは、実際に読む人によって、それぞれのとらえ方があるかもしれませんね。

── また、この本編のほかに、花巻東出身の大谷翔平(日本ハム)、早稲田実業出身の荒木大輔(元ヤクルト他)、PL学園出身の桑田真澄(元巨人他)と、甲子園を沸かせたスターと渡部さんが対談している章もありますね。

渡部 野球好きの方は、この対談ページはしびれると思います。僕がスポーツライターや専門のインタビュアーではなかったからなのか、3人ともラフな姿勢でざっくばらんに話してくれました。過去の記事やインタビューなどでは聞いたことがないような話も、どんどん出てきましたからね。この本のひとつの見どころだと思います。

── 本編と対談が連動していて面白いのが、「史上最強チームはどこか?」というテーマについてです。本編では、渡部さんが歴代のレジェンド選手から得たコメントなどを取り上げて考察していて、「1983年から85年にかけて桑田、清原和博(元西武他)のKKコンビを擁して甲子園優勝、準優勝を2度ずつ達成したPL学園」と「1987年に甲子園春夏連覇を果たした立浪和義(元中日)、片岡篤史(元日本ハム他)、野村弘(元横浜)などがいたPL学園」、さらに、「1998年に春夏連覇した松坂大輔(ソフトバンク)が中心の横浜」の3つに絞られました。最終的にどういう結論になったかは、本書を読んでいただくとして、大方の意見からほぼ考えが固まっていながら……。

渡部 最終章の桑田さんとの対談ページで、それが見事に覆されます(笑)。そのあたりの展開は、ぜひ楽しんでほしいです。


■高校野球をのめり込むように観戦するようになったのは2009年頃
── 渡部さんが現在のように熱量高く高校野球を観戦されるようになったのは、09年ごろということでしたが、本書ではそれ以前のエピソードも数多く取り上げられています。

渡部 地方大会にまで行くことはなかったのですが、子どもの頃から高校野球を見るのは大好きで、甲子園は欠かさずテレビで見ていましたし、スポーツノンフィクションの本や、TVのドキュメンタリー番組などもよく見ていました。特に小学生の頃見ていた、池田の「やまびこ打線」、PL学園の桑田さん清原さんの「KKコンビ」をよく覚えていますね。高校野球がすごく盛り上がっていた時期でした。

── その後、大人になって、芸人になってからは、どういう距離感で野球と接していたんですか?

渡部 甲子園はしっかりおさえていました。出番直前まで、楽屋で見ていたりしましたね。98年の横浜対PL学園の延長17回までいった試合は、ファンと行くバスツアーの最中で、本当ならバスの中でマイクを握ってゲームをしたりして交流しなくてはいけないのに、僕だけずーっと試合を見ていたので、「アイツは何なんだ!」となり、最後はブーイングが起きる事態を招いてしまったことがあります(笑)。また、06年夏の甲子園決勝の早稲田実業対駒大苫小牧の延長15回引き分け~再試合は地方でライブ中だったので、楽屋で一生懸命見ていたのを覚えています。

─ ─渡部さんは高校野球のほかに、グルメ関係の番組や著書もあります。好きで始めたこととはいえ、本業のお笑い、野球にグルメと、時間のやりくりには大変なのでは?

渡部 たしかに7月の高校野球の地方大会が開催されている時期は、午前中に高校野球を見て、そこから現場へ向かって日中は仕事、夜は外食と、すごく忙しかったです。それでも、昨年は高校野球の試合も結構見れましたし、調整がつきそうなので今年も甲子園に行くつもりです。


■後輩芸人も強者ぞろい。ネットワークを組んで情報を交流
── 所属事務所の『プロダクション人力舎』の後輩芸人にも熱心な高校野球ファンがいますね。いけだてつやさんやラバーガールズの大水洋介さん、早出明弘さんたちと開催している『高校野球大好き!!ナイト』というトークイベントがすっかり定着しました。

渡部 はい。彼らはすごいですよ。いけだはこの夏、石川大会で星稜と小松大谷を見に行っていました。

── 14年の決勝で、星稜が9回裏に8点差を一気にひっくり返す大逆転劇で甲子園出場を勝ち取った“因縁の対決”の続きを、今年も見届けようと。

渡部 そうです。それと、今年の夏で休部となるPL学園最後の試合にも行っていました。ヒマでうらやましいです!

──それもどうかと思いますが(笑)。とはいえ、今では一部お仕事にもつながっているわけですから、情報交流は大事ですね。

渡部 今はSNSもありますし、後輩たちの動きがいいので、お互いにやりとりをして情報を蓄積しています。

── 『アメトーーク!』(テレビ朝日系の「高校野球大好き芸人」も、おなじみの名物企画になりました。ただ番組内では、高校野球好きの芸人さんたちの熱さを、ネタにしてイジられるシーンも目につきます。それが番組制作上の狙いであったとしても、「わかってくれよ!」「マジメに聞いてくれよ!」といった葛藤はないですか?

渡部 いえいえ、あの番組はゴールデンタイムに放送される、野球を見たことがない人を対象とした番組です。トークの内容はあれでもだいぶ控え目にしているんですよ。みんな、もっと深い話をしたいし、実際、収録時には話しているんですが、結構カットされています。最初にあの番組が深夜に2週連続で放送されたときは、今とは比べものにならないくらいマニアックな話をしたんですけど……。時間帯がゴールデンになったので、制作の方でもやり方を考えているのでしょう。それはこちらも納得済みです。

── では、トークイベントの『高校野球大好き!!ナイト』は、電波に乗るものではないだけに、ディープになりそうですね?

渡部 そうなんですよ! ライブの方は、回を重ねるごとにお客さんも育ってきてくれて、どんなマニアックなことでもついてきてくれます。それどころか、「あれ? あそこの監督、なんて名前でしたっけ?」とか、こちらが失念してしまうと、100パーセント答えを返してくれます。楽しいですよ。

── ちなみに小学生の頃はリトルリーグ、中学では軟式野球部でプレーした経験のある渡部さんですが、草野球など、ご自身がプレイする機会は?

渡部 いや~、たまに番組の企画があったときにするくらいですね。先日、とある番組で鎌ケ谷スタジアムでやらせてもらって、ヒットを打ったときは「久しぶりに楽しいな」と思いましたけど、基本的には見る側でやっていきたいと考えています。


■最注目選手の清宮幸太郎(早稲田実業)に感謝!
── この夏、注目した選手などはいるものですか?

渡部 7月の地方大会は、早稲田実業が中心でした。昨年もそうだったんですけど、最初は都立日野高校(※渡部氏の母校)の応援をメインにスケジュールを組みます。そして、日野が負けてしまったら、次の瞬間から早実にシフトしていました。

── 今年は清宮選手を何試合、見ることができましたか?

渡部 準決勝(7月23日、対八王子戦)で敗れた試合を含めて3試合見ました。あの試合は、風が強かったんです。3対6の3点差でむかえた9回表の清宮くん最後の打席は、走者2人を置いてライトへの大飛球。打球のスピードと角度は申し分なくて、打った瞬間、同点ホームランだと思ったんですが、強い逆風に押し戻され、打球が上空で完全に止まりましたて。

── 結局、あの打球はライトへの犠牲フライに終わり、1点を追加しましたが、後続が倒れて早実は4対6で敗退しましたね。

渡部 対談で荒木さんがおっしゃっていましたが、昨年の早実は荒木さんが1年生だったころと同じく「神がかった」ところがあって、甲子園まで勝ち上がりました。それが、今年はあんな逆風が吹くなんて……。清宮くんの打席の前までは、そこまできつい風ではなかったんです。

── 早実を見放す風が吹いた?

渡部 野球の神様がいるとしたら、どうしてそんな仕打ちをしたのか。「今年は甲子園に行かせない」と考えたんですかねぇ。

── 今年の甲子園でプレーする姿を見られないのが残念ですね。

渡部 そうなんですよ。昨年の夏もすごかったですけど、今年はさらにネクストレベルに達していて、もはや別人でしたからね。進化した清宮くんを全国のファンに見てもらいたかったです。ただ、新チームではキャプテンになったみたいですし、夏は来年がラストチャンスですから、仕切りなおして頑張ってほしいです。

── ちなみに、昨年清宮選手がスポーツ紙の一面に取り上げられたときに、観戦に来ていた渡部さんもコメントを求められ、その内容も顔写真付きで掲載されました。「芸歴23年にして、初めて新聞の一面を飾ることができました」と、本書でも触れていますね。

渡部 スタンドで観戦していると、担当の記者がやって来るので、ひとことふたことコメントするケースが多いですね。この夏、早実が負けたときには、さすがに負けてしまったので「コメントはなしです」と話したんですが、それでも遠くの方から観戦しているときの写真を撮られていて、記事になりまして。

── それは、新聞を見て知ったんですか?

渡部 そうです、完全に盗撮です(笑)。「コイツだったら載せても大丈夫だろう」という扱いになってしまったみたいで。でも、清宮くん関連でスポーツ紙に相当取り上げてもらったので、感謝しなくてはいけませんね。


■高校野球には「事実は小説よりも奇なり」がある!
── 『おたぽる』は、マンガやアニメ、ゲームが好きな人向けのサイトです。そういった人に向けて、高校野球の魅力を改めて紹介していただけませんか。

渡部 「事実は小説よりも奇なり」といいますけど、高校野球は本当にマンガ以上のことが起きます。甲子園では、ドラマティックな試合がなかった大会がないくらい。毎年、確実にドラマや感動が生まれます。なぜかといえば、負けたらそれで終わりという厳しいトーナメントのなかでやっているからです。マンガやアニメが好きな人であれば、そういった緊張感のあるストーリーが好きな人が多いと思いますが、高校野球も同じぐらいドラマティック。ぜひ見てほしいです!

── 過去の甲子園の試合から名試合をひとつ紹介するとしたら、どの試合を推しますか?

渡部 やはり98年、松坂投手がエースのときの横浜でしょうね。PL学園との準々決勝延長17回の死闘、準決勝・明徳義塾戦での6点ビハインドから、前日、250球を投げていた松坂が緊急リリーフしての逆転サヨナラ劇。さらに、決勝の京都成章戦では、ノーヒットノーランを達成しての全国制覇という一連の流れは、本当にマンガの世界です。

── 逆にマンガで描いたら、読者から怒られそうなぐらいドラマティックでしたよね。今年の夏は、どのチームに注目しているんですか?

渡部 北北海道代表のクラーク記念国際高校は面白そうですね。通信制の学校で、全校生徒は全国に1万人以上いるんですよ。どのくらいの生徒が応援に来るのかわからないですけど、アルプススタンドはどうなるかな? という興味があります。あと、この春の選抜で4強入りした熊本の秀岳館も注目ですね。鍛冶舎巧監督が就任したときに、前年まで監督をしていた大阪の中学硬式チーム「オール枚方ボーイズ」で全国制覇を果たしたメンバーを数多く入れて主力としたため、昨年同様、世間から冷ややかな視線を受けて戦うことになるかもしれません。でも、もし優勝すれば、鍛冶舎監督の「3年で全国制覇を達成する」という夢物語が実現することになりますから、これもまたドラマティックですよね。

── 注目している選手はいますか?

渡部 今年は投手に注目です。横浜の藤平尚真や創志学園の高田萌生ほか、150キロを超える速球の持ち主が10人くらい出そうなので、それも楽しみです。


■いつか、もっとディープな高校野球番組を!
── 観戦するのは、やはりご出身の東京の試合が多いんですか?

渡部 そうですね。東京と、激戦区の神奈川が多いです。あと、今年は埼玉の試合にも行きました。

── 練習試合を見に行ったときのエピソードなどもありましたね。

渡部 スケジュールにもよりますけど、今年は練習試合も結構見ることができました。早実に加えて、横浜の練習試合にも何度か足を運びました。

── 横浜は圧倒的な力を示して神奈川大会を制し、甲子園出場を決めました。

渡部 ところが、同じ神奈川県の某強豪校の監督さんと関係者の方がこの本を大量に購入してくださいまして……。そうなると、そちらも応援しないわけにいかなくなりました(笑)。

── 今年は母校・日野高校出身の佐々木千隼(桜美林大学)が日米大学野球選手権大会の日本選抜チームに選ばれ、しかも開幕戦で7回12奪三振と好投しました。高校時代にプレーする姿も見ていたんですよね?

渡部 もちろんです。しかし、当時はこれほどの選手になるなんて、まったく想像していませんでした。いまや、ドラフト上位候補ですからね。日野高校野球部出身には、他にも横川雄介選手(元巨人)など、プロや社会人の世界でプレーした後輩が何人かいるので、「今度、集まって飲もうぜ」という話も出ています。現在、計画を立てている最中です。

── 本当に、高校野球のネタがつきないですね。もし、次に高校野球本を作るとしたらどのようなものにしたいですか?

渡部 それはもう、今でも現在進行形で日々高校野球を見に行っていますが、球場ではいろいろなことが起こります。それらが蓄積されてきたら、またまとめたいとは思っています。それと今回3本入れた対談は、聞き手が僕だったから、相手の皆さんに身構えられることなく話してくださったようで、その切り口に手ごたえを感じました。次があるとしたら、もっと多くのレジェンドに高校時代の話を聞きたいですね。

── 具体的には?

渡部 いやもう、誰でもですよ。松坂さんをはじめとして、田中将大投手(駒大苫小牧→ヤンキース)や斎藤佑樹投手(早稲田実業→日本ハム)とか。最近でいえば、菊池雄星投手(花巻東→西武)とか、藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭→阪神)、松井裕樹投手(桐光学園→楽天)といった、実際に自分が球場で見ていた選手にも話を聞いてみたいです。

── 将来的には渡部さんがホストとなって、『高校野球大好き!!ナイト』のような形式で高校野球番組を語らうTV番組ができたらいいですね。

渡部 それができたら最高ですけどねぇ。『アメトーク!!』は、本にも書きましたけど、テレビ朝日がうまく交渉してくれて、過去映像の使用など、ハードルの高い大人の事情を解消しているんですよ。僕もいつかは、そういった課題をクリアして番組をやってみたいな、とは思っています。

── ぜひ、いずれ実現させて、新しいファン層を開拓してください!

渡部 わかりました。このユニフォームに誓って、これからも頑張ります!
(取材・文 キビタキビオ(フリーライター&編集者))

■『知識ゼロでも楽しめる熱狂観戦術! ワタベ高校野球の味方です。』
発行:6月30日
著者:渡部建
価格:1,400円+税
発行:KADOKAWA

・オフィシャルブログ「アンジャッシュ 渡部建のわたべ歩き」
http://ameblo.jp/watabearuki/

・渡部建のとっておきの店、こっそり教えます
https://lounge.dmm.com/detail/23/

最終更新:8/10(水) 14:00

おたぽる