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横浜市議選「当選無効」最高裁判断を受けて --- 福田 峰之

アゴラ 8/10(水) 16:20配信

中山まゆみ横浜市会議員の当選無効を争っていた裁判の決着がつきました。結果は、最高裁判所が中山まゆみ市会議員の上告受理申立を棄却し、当選を無効とするとのものでした。中山まゆみ市会議員をお支え下さいました方々には、衆議院神奈川第八選挙区支部長として心より御礼を申し上げますとともにお詫びを申し上げます。

今回の裁判では、病気療養中の住所地がどこにあったかが争点でしたので、私からもご説明をさせていただきます。中山まゆみさんに横浜市会議員へ立候補するよう薦めたのは私です。長年、故亀井善之衆議院議員の秘書として仕え、その後、1期目の後半は、私の事務所スタッフとして支えてくれました。秘書としてのキャリアを積み、政策を理解し、政治家としての資質を備えていると思ったからです。そして何より横浜市会議員、とりわけ自民党議員に女性が少ないことから、主婦感覚をもった女性議員を増やすべきだと考えていたからです。おりしも、安倍総理が女性活躍社会の実現を唱えており、横浜市会はまさに彼女にとっての活躍の場だと直感しました。

一方、中山まゆみさんに出馬を促したのは、選挙の告示が迫った時期でしたので、すべてに時間が足りませんでした。当時、彼女は東京に住んでおり、決断後すぐに青葉区内へ引っ越すことになりました。新居を探す時間も惜しかったので、青葉区内の私の事務所へ引っ越すことを提案しました。そこは事務所といってもマンションの一室なので、生活するには不便がありません。選挙時には、秘書の宿泊場所、通常時は、備品置き場や会議室として使っていたところです。子どもの学校のことなどもあるでしょうから、まずは単身赴任で引越し、本格的な家探しは時間を見つけてやればいいとアドバイスしました。

中山まゆみさんは、そこを拠点にすぐに政治活動をスタートさせました。朝や昼間は街頭演説や自民党支援者への挨拶回り、夜は政策の取りまとめ。東京に残してきた家族のことも気になり、食事の作り置きなどをしに帰ることもあるようでした。女性が政治の世界で仕事をするのは、本当に大変だと私も改めて実感しました。

活動もやっと軌道に乗り出した頃、深刻な相談を受けることになります。体調不良が続き病院へ行ったところ、潰瘍性大腸炎に罹患していると診断されたというのです。本当に驚きました。この病気は第一次安倍政権のとき、総理の座を明け渡す原因になったことで広く知られるようになった病気です。国の難病にも指定されています。症状などは個人差もあるとのことですが、初期は安静が一番だと聞きました。まずは治療と静養を最優先して、政治活動も一時休むようにと言いました。入院するのがいいのか、自宅で静養するのがいいのか、医師のアドバイスをしっかり聞き、それに従うよう勧めました。家族の下で療養する方がよければ、そのようにするのは当然のこと。まさか後に、このことが問題になるなど、その時には考えもしませんでした。

その後、幸いなことに薬が効きはじめ、政治活動を再開できるまでになり、皆様の支援のおかげで当選を果たしたことは、ご存知の通りです。そして、当選無効の申し立てが行われ、法廷での争いが続くこととなったのです。

本訴訟では、中山まゆみさんの住所地が横浜市内にあったか否かが争われました。横浜市内に引き続き3ヶ月住んでいないと被選挙権がないからです。とりわけ、この病気療養中の期間をどう評価するかで結論が分かれます。選挙管理委員会の裁決の段階では、横浜市選挙管理委員会は、住所地は青葉区内との判断を示したのに対して、神奈川県のそれは、青葉区内に無いとのものでした。どちらの選挙管理委員会の判断が妥当かを争った東京高等裁判所は、神奈川県の判断を採用しました。今回、最高裁判所が上告受理申立てを棄却し、東京高等裁判の判断が確定しました。

まずは単身でも急いで青葉区内に転居すること、旧住所地で病気療養をすることを勧めたことが、訴訟において不利な判断要素として考慮されたことは誠に遺憾です。と同時に、中山まゆみさんに対しても責任を感じています。

法の支配があまねく実現している日本においては、今回の結果は受け入れざるを得ません。また、政治が司法に容喙すべきでないことも十分承知しています。それでも敢えて述べさせてもらえば、何と配慮を欠いた判決だというのが率直な感想です。病気に対し、家族を持った女性に対し、もう少し血の通った判断があっても良いのではないか。結婚して子供がいる女性は、夫の妻、子供の母、親の子供、そして一人の女性と多様な役割を担っています。子育てから、介護まで、結果的には女性が役割の中心を担っているのです。その中で、女性が政治家になるということが、どんなに重いことなのか、少しでも理解してくれていればと思います。生活形態や働く女性の環境など社会状況が日々変わっているのに、50年以上前に最高裁が定立した規範で判断するのはいかがなものか、そのような思いでいっぱいです。

中山まゆみさんは、病気が再発した一時期を除いて、議会活動も真摯に取り組んでいました。食品ロスや災害時のトイレなど横浜市の抱える課題を女性ならではの目線で顕在化させたのは大きな功績だと思います。これから、さらに力を発揮してもらえるものと期待していた矢先だけに、失職することはほんとうに残念でなりません。

政治家中山まゆみが、今後どのような決断をしようとも、私は志を同じくする者のひとりとして支援してまいります。女性の政治家を増やさない限り、男性がつくりあげたルールを変えていくことは、難しいと思うからです。有権者の皆様方には、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

本日、横浜市青葉区選挙管理委員会が開催され、中山まゆみさんの当選無効にともなう繰り上げ当選が決まったことを機に思いを書かせて頂きました。

編集部より;この記事は衆議院議員、福田峰之氏(自由民主党神奈川県第8選挙区=横浜市青葉区・緑区=支部長、前内閣府大臣補佐官)のブログ 2016年8月8日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、ふくだ峰之の活動日記(http://fukuroh.air-nifty.com/katsudou/)をご覧ください。

福田 峰之

最終更新:8/10(水) 16:20

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