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【ド軍番米国人記者の眼】「前田健太は大物」チームメイトも評価。1年目からメジャーに適応する、高いリカバリー能力

ベースボールチャンネル 8/11(木) 10:50配信

女房役が語る前田のすごさ

 ついにその時を迎えてしまった。ロサンゼルス・ドジャースの前田健太は7月、開幕以来最悪となるプレーを見せてしまった。

 それは7月17日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で起こった。前田は4回1/3を7安打5失点と自己ワースト。1試合で5イニングを投げきれなかったのは、今シーズン、これがわずか3度目だった。ただ、いずれの試合も対戦相手はダイヤモンドバックスだった。

 試合は7-8で敗れ、前田に黒星がついた。そしてダ軍は「我々は前田の攻略法を知っている」という強いイメージを前田に与えた。おそらく他球団にも、前田本人にも、対戦相手の攻略法はあるだろうが、ダ軍のそれは、前田を上回っていたことになる。

 それでも前田は、これに動じることなく、この窮地に一般的な方法で対応した。つまりゲームプランの変更だ。そして彼はその後、最高の投球を重ねて名誉挽回した。ドジャースのヤスマニ・グランダル捕手がこう語る。

「シーズン序盤は、前田の情報が少ない分、彼が有利だ。前田のスライダーとカーブを投げるだけで、打者を十分翻弄できた。そしてその後、打者が前田に慣れた頃、彼は他の変化球も織り交ぜてさらに翻弄したんだ。打者が対応に苦しむはずだ」

 加えて前田は、グランダルやド軍のリック・ハニーカット投手コーチらとの試合前ミーティングにも、以前より積極的に発言するようになったという。残り22試合を控えた現在、前田もメジャー1年目ながら、自分の強みと弱みを把握できた証拠だろう。

「開幕当初と比べると、僕も打者に対する情報が頭に入ってきました。相性が良い打者も、悪い打者も把握しています」(前田)

 ダイヤモンドバックス戦を苦い記録で終えた前田は、その後、初対戦となるセントルイス・カージナルス戦に登板した。5回2/3を投げ5安打2失点、無四球。7-2の勝利に貢献し、9勝目を挙げた。

まだまだ進化する

 そして7月29日。今度は本拠地で、再びダ軍との対戦を迎えた。前田は前回に比べて、スライダーを多用せず、シンカーを駆使。球速も以前より増していた。球速の差はわずかとはいえ、フォーシームは94マイル(約151キロ)、シンカーは92マイル(約148キロ)。前回との違いを見せつけるには十分だった。

 その結果、6回1/3を4安打2失点5奪三振無四球。前田に勝敗はつかなかったが、ドジャースは9-7で勝利を収めた。

 そして8月4日にはコロラド・ロッキーズと対戦した。過去に2度対戦経験があり、その2試合とも失点はわずか1点にとどまっていた。だが、この時のロッキーズは、直近13試合中11勝と、非常に勢いに乗っていた。

 その勢いも、前田の前には通じなかった。5回2/3を4安打2失点5奪三振無四球。実力にも増して安定感も抜群で、遂に10勝目。さらに9日のフィリーズ戦でも5回を6安打2四球4三振3失点で今季11勝目を挙げた。

 スピードや投球パターンの微修正で課題に対応できる前田のリカバリー能力は、まさに壁にぶつかった時の克服法を熟知しているという意味をもつ。その能力の高さこそ、前田の真価が現れていると言える。

 私には未来を予測する力はないので(読者の方々も皆そうだと思うが)、前田が今後2カ月どうプレーするのかを妄想するのはよしておこう。しかし、自身最悪のパフォーマンスを経験した前田が、今後もそれを糧に、さらなる進化を遂げるのだろうと予想することは非常に簡単だ。

 そして、グランデルのこのコメントを見れば、十分に納得してもらえるのではないだろうか。

「前田は、メジャーリーグで十分通用する球種を持っている。だから彼は今この舞台に立っている。もちろん日本でも大きな活躍もできただろうが、MLBには、世界最高の選手が集まってくる。きっと、日本の打者よりもタイプも多様で、より賢く、実力も上なのではないかと思う。そんな打者を前に、毎試合ごとにわずかな変化で対応できる前田は、大物の証拠だ」


J.P ホーンストラ、翻訳:阿部寛子

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:8/11(木) 10:50

ベースボールチャンネル

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