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松田龍平の“男気”は、松嶋菜々子をどう変えた? 賛否両論『吉良奈津子』波乱の展開を読む

リアルサウンド 8/11(木) 9:02配信

 松嶋菜々子主演、井上由美子脚本のドラマ『営業部長 吉良奈津子』(毎週木曜22時~/フジテレビ系)。先週放送された第3話の見どころは、奈津子(松嶋菜々子)に対して高木(松田龍平)が初めて見せた“男気”だった。

 これまで、職場復帰した奈津子に対して終始クールな態度をとってきた、かつての部下であり現在は会社イチ押しのクリエイティブ・ディレクターである高木。窮地に陥った奈津子を間一髪助け出した高木は、夜の公園で突如奈津子に“告白”する。「僕は前からあなたが嫌いでした。だけど、いつも実力だけで勝負してたから……だから、尊敬してたんです」。ベンチに座る奈津子を真っ直ぐ見つめ、高ぶる感情を抑えながら静かに言い放つ高木。そんな彼の言葉を目元潤ませながら聴き入る奈津子。そして、高木は言うのだった。「だからさ、悔しいんだよね。あんな真似をするあなたは見たくない」と。それは、慣れない営業職で空回りし続けるかつての上司に対して、かつての部下が率直な思いを告げる、ある意味感動的なシーンだった。

 しかし、そこに至るまでの経緯がすごかった。業績の上がらない奈津子率いる「営業開発部」に突如舞いこんで来た、年間30億の大型キャンペーンの発注。部員のひとりである川原(岡田義徳)の地道な営業が、遂に実ったのだ。いきなりのノルマ達成に湧き立つ営業開発部。だが、その「営業活動」が問題だった。彼は、先方の女性課長(加藤貴子)が自身に寄せる好意に付け込みながら、その契約を取っていたのだ。川原に心を弄ばれたことを知り、契約破棄はもちろん、「強制わいせつ罪」で訴えることもチラつかせる女性課長。それに慌てた奈津子は、副部長の米田(板尾創路)ともどもクライアントに赴き、彼女の上司である部長(神尾佑)に謝罪、事態の収束を図る。

 さらに、このあとの展開がすごかった。なんとか事を収めてくれた部長に感謝の気持ちを表すべく、米田が営業開発部総出の大接待を企画。食って飲んで騒いで、おまけに部員たちの余興までもがついた、米田企画の「大接待」が開催されるのだ。そう、米田が言う「本物の営業」とは、会社の金で相手をもてなす接待を意味していたのだ。しかし、そんな部員総出の接待にも、どこか不満気な取引先の部長。彼の狙いは別のところにあった。取引先の部長という立場を利用して、奈津子に一夜の関係を迫る部長。それを間一髪救ったのが、どこからともなく現れた高木という次第である。

 もちろん、高木の言葉を黙って聞いているだけの奈津子ではない。「私は結果が出したいの! 出さなきゃクリエイティブに戻れないでしょ! 思い通りにCM作れているあなたには分からないわよ!」。しかし、高木は静かに言い放つのだった。「何言ってるんですか。あなたは営業部長なんですよ」。至極当然の言葉である。実際、帰宅してからも、高木の「だからさ、悔しいんだよね。あんな真似をするあなたは見たくない」という言葉がグルグルと頭を回り、奈津子は思わず床に座りこんでしまうのだった。そして翌日、一念発起した奈津子は、上司に自らの力不足を詫びたあと、クリエイティブへの復帰しか頭に無かった自身の否を認め、年間30億のノルマを達成するどころか、自社で最もいちばん売り上げの高い部署にすることを部下たちに宣言するのだった! 

 いやはや、サラリーマン・ドラマとしては盛り上がる展開ではあるのだけど、職場復帰した女性の「仕事」と「家庭」をめぐる問題という、当初目されていたテーマからは、だいぶ逸脱しつつあるようにも思える第3話。というか、むしろこっちが本作のメインテーマだったのだろうか? 「女王様(奈津子)のまわりは、さらに混沌としてまいりました」とは、最後のナレーションの言葉だけれど、筆者をはじめ、多くの視聴者の困惑をよそに、『営業部長 吉良奈津子』は、本日第4話を迎えるのだった……。

麦倉正樹

最終更新:8/11(木) 9:02

リアルサウンド

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