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巨人坂本勇人、過去の自分超えへ――輝きを取り戻した10年目の飛躍

ベースボールチャンネル 8/12(金) 11:00配信

キャプテンのバットで、広島猛追へ

「デビュー当時はとにかくガムシャラにやっていて、チームの勝敗よりも自分の結果を出すことを考えている状態でした。今は自分が打てなくてもチームが勝てばいいと思ってやっている。でもそれが自分にとってもよくない考えになっているのかもしれないなと。もっと自分の成績にストイックにならなければとも思いますね」

半年前、春季キャンプで坂本勇人にインタビューしたときの言葉だ。
チームと個人の狭間で葛藤するキャプテンの姿。
早いものでプロ10年目の27歳、遊撃守備では球界屈指の守備範囲を誇りながら、ここ数年の打撃成績は低迷。
キャプテンに就任した昨季も打率.269、12本塁打と平凡な数字に終わった。
恐らく、本人にも「このままでは中途半端な選手で終わってしまう」という危機感があったのだろう。
はっきりと「3割・25本・20盗塁」と2016年の目標を口にした坂本は、ここまでそれを越える勢いでキャリア最高の打撃成績を残している。
102試合、打率.340、17本、56打点、10盗塁、OPS.995
7月下旬から8月にかけて8試合連続のマルチ安打を記録しリーグ首位打者を快走中。
得点圏打率.348とチャンスにも強く、広島を追い上げる由伸巨人の3番バッターとしてチームを牽引する働きを見せている。

ファンからしたら、ここ数年止まっていた背番号6の時計が再び動き出したような感覚だ。
今思えば、坂本のデビュー5年目あたりまでは完璧だった。
18歳でドラフト1位指名の巨人入団後、19歳でショートのレギュラーを掴み、20歳で打率3割を打ち、21歳で31本のホームランを放って、23歳でリーグ最多安打を獲得したスペシャルワン。
25歳5カ月での1000安打到達はイチロー(オリックス)、豊田泰光(西鉄)に並ぶ歴代3位タイの年少記録。
セリーグでは阪神・藤田平の25歳11カ月を大幅に塗り替える新記録だった。

充実の2016年に

いつの時代も若い才能が世に出る時、必要なのは実力と出会いとほんの少しの運だ。
2008年の坂本にはそのすべてが備わっていた。
当時のレギュラー遊撃手・二岡智宏の故障もあり、原監督の抜擢で19歳で144試合フル出場。
これは今の巨人で言えば、高卒2年目の岡本和真がレギュラーとして全試合に出るようなものだ。
いや内野の要のショートというポジションを考えると、過去の巨人の10代選手が誰も出来ないことを坂本はやってみせた。
早熟の天才プレイヤー。だからこそ、ここ数年の低迷が歯痒かったのも事実だ。

坂本はこんなもんじゃない。なぜならデビュー当時はあんなに凄かったんだから。
首脳陣やファンが背番号6に期待する根拠は、あの最高にキラキラしていた数年間にあった。
すべてのアスリートは、常に観客から全盛期の姿を求められる。
坂本自身も痛いほどそれを感じ、苦悩していたように見えた。
だが、2016年の坂本勇人は、ようやく「過去の自分」を超えることができたのではないだろうか。
あの頃は凄かったのではなく、今が1番凄い。
そう断言できるだけの充実のシーズンを過ごしている。

もし巨人が逆転優勝をした時は、MVPは坂本勇人だと個人的には思う。



中溝康隆

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:8/12(金) 12:38

ベースボールチャンネル

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