ここから本文です

小規模保育の全年齢化で、保育の質は上がる --- 駒崎 弘樹

アゴラ 8/12(金) 16:30配信

先日、内閣府子ども子育て会議において、2016年度の小規模認可保育所数の統計が出されました。その数が昨年対比46%成長の2429園に激増したことは、以前僕のブログ等で報告しました。

“小規模認可保育所が2429園に激増しました(http://www.komazaki.net/activity/2016/07/004815.html)”

無意味な規制の壁

しかし小規模認可保育所は、認可保育所と違って「2歳までしか預かれない」という規制をかけられていて、せっかくたくさん増やせるのに、可能性に蓋をされているような状況です。0~5歳まで3人ずつの18人の園とかできたら、とっても良いのですが、できないんですね。

そこで、小規模認可保育も普通の認可保育所のように、全年齢化してくださいな、と子ども子育て会議等で要望を出しました。すると、厚労省からは珍妙な答えが返ってきました。

エビデンスなき政策

「3歳以降の子ども達は、大集団の方が発達に良い」と。

「そんなエビデンスがどこにあるのですか?」と聞くと、「いや、エビデンスとか、そういうのはないんですけど・・・」とおっしゃる。さすがにそれで政策つくられたらたまらないので、「え、エビデンスがないのに仰っているんですか?」と聞くと「ちょっと調べます」と帰られました。

それで次に持ってこられたのが、この平成23年度文科省委託事業「幼児教育の改善・充実調査研究」( http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/youchien/1331564.htm )なのですが、これを見ても分かる通り、「先生が望むクラスサイズ」の調査でしかないわけです。「3歳以降の子どもたちにとって大集団がベター」かどうか、は調べられていないわけです。

保育政策あるあるなのですが、エビデンスが不十分にも関わらず、「過去そう決めたから」制度が運営され続ける、という状況になっています。

3歳以降も小集団がベター

僕は「小規模保育の全年齢化で、むしろ保育の質は上がる」と考えています。以下に根拠を示します。

1980年代に行われた有名なスター(Student Teacher Achievement Ratio)計画という実験が米国にてあります。

こちらで13人~17人の少人数学級と、22人~27人の通常学級のパフォーマンスの差を調べています。

(STARについては例えばこちらhttps://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf_seika/h26/0-1_all.pdf )

このグラフにあるように、幼児期から小学校3年生には少人数学級の方が有意にパフォーマンスは高く、特に貧困層には強く影響をもたらすことが分かりました。(ただし小4以降は効果は薄くなる)

また、コロラド大学のグラス教授とスミス教授の研究においても、学級規模と学力の負の相関関係が発見されており、これはグラス・スミス曲線として、各国においてクラス規模を考える土台の一つとなっています。

これを見ても分かる通り、小集団の方がこどもの学力に与える良い影響は大きいことが分かります。

1/2ページ

最終更新:8/12(金) 16:30

アゴラ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

アゴラ-言論プラットフォーム

アゴラ研究所

毎日更新

無料

経済、ビジネス、情報通信、メディアなどをテーマに、専門家が実名で発言することで政策担当者、ジャーナリスト、一般市民との交流をはかる言論プラットフォーム

Yahoo!ニュースからのお知らせ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。