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BOSEがめざすカーオーディオの未来【前編】

@DIME 8/12(金) 15:34配信

 最新のキャデラック『CT6』が日本でも発表されたのはご存知かしら?と言っても、今回は『CT6』のお話ではなく、このクルマにBOSEの新たな取り組みの下で開発された最新かつ最上のオーディオシステムが搭載されているというお話。いや、その取り組みについてのご紹介がテーマです。

 実は今年1月、ラスベガスでCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が開催された際に、BOSE(ボーズ・オートモーティブテクノロジー部門)は会場から独立した場所にショールームを出展していました。アメリカはボストンに本社を構えるボーズがCESに出展するのはなんと今年が初めてだったそうです。

 そのきっかけとなったのが、今回日本でも搭載車が登場した新しいサウンドシステムの発表と、これから始まるBOSEの新たなオートモーティブ・プロダクトライン戦略の紹介でした。私はラスベガスのショールームというか、ショーハウス(というのが似合う)で、新たな技術を採用するオーディオの音を聴き、戦略についてお話をうかがっていたから、「いよいよ始まる~」という印象。その機会を待っていたというべきですね。

 新たな戦略とはモデルセグメントごとの商品展開。これまでBOSEは『ボーズ・プレミアム・オーディオシステム』とか『ボーズ・プレミアム・サウンドシステム』という1つの名称と“BOSE”というロゴで、オーディオを提供していました。が、クルマには様々なモデルやサイズがあり、自動車メーカー側からもっと差別化を図りたいというリクエストがあったのだそうです。

 ちなみに同社はホームオーディオやプロユースなどの開発/販売を行なっていますが、車載オーディオについてはオートモーティブ部門が自動車メーカーと開発もしくはチューニングを行なって標準もしくはオプション搭載を行なっています。メーカーの要望に応じたカスタマイズによって車両にピッタリな最適な音をつくることができるのが魅力であり、特徴なのです。そこで自動車メーカー側からの差別化の要望は、そのクルマ、その空間に適したより良い音にこだわり、さらに今まで以上に明確にしたいがためのリクエストと言ってよいでしょう。

 新たな戦略ともいえるそれは、セグメントごとの商品展開を行なうにあたり、まず4つのカテゴリーに分けられていました。A/Bセグメント向けには、新たに『ボーズ・スモールビークルシリーズ』、ハイエンド、ラグジュアリー、高級スポーツカーなど向けには『ボーズ・パフォーマンスシリーズ』。すでにセダンからSUV、スポーツカーまで展開されている『プレミアム・シリーズ』。マツダ『ロードスター』にも搭載済みのシステムがこのシリーズにあたります。

 そして、最上位となる『アドバンスド・テクノロジー・オーディオシステム』。こちらは前述のシリーズとは少々違う位置づけとなるのだとか。そんな中でも『アドバンスド・テクノロジー・シリーズ』は、現在『CT6』だけのために開発されています。ここまで徹底的な音環境をつくる仕業をしたシステムは何年かに一度出るかどうかという、それはそれは特別なものなのだそうだ。

 ラスベガスの会場で体験したその音の世界は、音の世界を飛び出している、とオーディオ素人の私は思いました。車両が停まった状態ゆえ視聴覚に訴える効果が絶大でした。今でもそのビジュアルのアレコレが音源とともにフラッシュバックするのはもちろん、音と音の隙間に訪れる一瞬の無音状態にも音の密度が存在するような、その隙間が重要な“間”であることを改めて意識させられるような感覚すらウットリと思い出させてくれます。

 カスタネット、夏の夜の虫の大合唱、和太鼓やオーケストラの迫力、ハスキーボイスの女性ボーカルのメロウな歌声etc…。それらをラスベガスではキャデラック『CT6』のフロントウインドウの向こうに設置されたスクリーンの映像とともに、鮮やかな、そう、まさに鮮やかな音の変化を視覚的な情景の変化とともに体験することができました。それも180度スクリーンのサイズも映画館のような決して大きいものではないのに音がそれを超壮大なものに変える効果があったのです。

 今年、デトロイトオートショーで発表されたキャデラックの新たなフラッグシップとなる『CT6』。34個ものスピーカーを内蔵するためには、キャデラックと共同開発せねば実現は不可能。それだけ音にもこだわるラグジュアリーモデルであることがうかがえるというものだ。

■“室内空間を越えた音の広がり”

 最大の特徴が『Panaray(パナレイ)システム』という、プロ用(コンサートホールやスタジアムなど)のオーディオシステム技術が車両に移行されていること。そしてそれを実現するための開発方法も特別です。『CT6』には34個ものスピーカーを内蔵されています。が、目に見えてわかるのはスピーカーの存在だけ。例えばメインに100mmのスピーカー、Aピラーには25mmのツイーターを2つ。センターには50mmのスピーカーが3つ内蔵されています。

 そしてこれらを緻密にコントロールしているそうです。内容量8.15Lのエンクロージャーの中に70mmのスピーカーを4つ対向させ、これを運転席と助手席のシートに格納。よりしっかりとした低音を出しながら振動を打ち消す工夫がされているそうです。通常、ウーハ―は当たり障りのないカタチにしたいところを、車体のフレームの合う独特のカタチとしています。つまり、新型車両の開発段階からキャデラックの『CT6』開発チームと開発を共にすることができなければ、実現しない音の世界。単にたくさんのスピーカーをつけたわけではない、インテグレートぶりは他にはないといいます。

 もうひとつ、『ウルトラニアフィールド・スピーカー』の採用もあります。ヘッドレストに内蔵された2つのスピーカー、をチューニングによって分けています。より映画館みたいな音に包まれた感じがここから生まれるのです。素人としては本当に不思議だったのが、直接ヘッドレストから鳴っている感じが全くしないことでした。

 しかも、耳に近い位置にあるから音のコントロールがしやすい。それを使って音像(音のイメージ 目の前で女性ボーカルが歌っているような)や虫の声とか残響音(拍手とか間接音 雰囲気が造られている)の再現にも役立っていました。キャデラック『CT6』はキャデラックのフラッグシップモデルです。車両そのものの運動性能や快適性、安全性にはフラッグシップモデルとしてのハイレベルであることは間違いないと、期待したい。

 さらに最上級モデルとしての付加価値として最上級の音の世界を同じアメリカのオーディオブランドによって手掛け、搭載しているというアメリカ車の粋とゴージャスさ。『CT6』はまだ発表されたばかりゆえ、ぜひ近いうちに移動する楽しみと共に味わってみていただきたいと思います。

文/飯田裕子(モータージャーナリスト)

@DIME編集部

最終更新:8/12(金) 15:34

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