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日本株ファンドが少ない理由はなんと…

会社四季報オンライン 8/12(金) 19:26配信

 8月に新規設定される公募型投資信託を列挙した(下表)。ざっと一覧してわかるのは、国内マーケットを投資対象にした投信が非常に少ないことだろう。ファンド名を見ると、「外国株」「外国債券」「米国REIT」「世界」「先進国」といった単語が並ぶ。

 もちろん、「世界」や「先進国」という冠がファンド名に付いている投信だと、ポートフォリオの一部に日本の株式や債券が組み入れられることも考えられるが、純粋に日本のマーケットのみで運用されている投信は、上表では岡三アセットマネジメントの「日本株テーマセレクション」と、日興アセットマネジメントの「セキュリティ関連日本株ファンド」しかない。

 そもそも投信は長期の資産形成を目的にした金融商品なので、その投資対象は長期的な成長が期待できる、もしくは安定したキャッシュフローの獲得が期待できるものになる。つまり、日本株を投資対象にした投信の新規設定がほとんど行われていないのは、少なくとも運用業界では現時点で日本の株式市場に対する成長期待がほとんどないからともいえる。

 各月の設定額から解約額と償還額を差し引いた資金の増減額を見ると、株式型では右表のように推移している。

 この半年間の資金流入額は、3兆5438億1600万円。ちなみに、日銀によるETFの買い入れ額は、7月28、29日に行われた日銀金融政策決定会合で6.6兆円に倍増。それ以前は3.3兆円だった。

 それよりも大きな額の資金が投信に入っているのだから、さぞかし日本の株価にインパクトを及ぼすはずと思いたいところだが、残念ながら、現状のように新規設定される投信の大半が海外市場に投資するものであるかぎり、投資資金は海外に流出してしまう。その結果、日本の株式市場や債券市場に及ぼす影響は極めて限定的なものにならざるをえない。

■ 「長期の資産形成を行うためのもの」というが…

 8月に新規設定される投信のラインナップを見ると、償還期日付きのファンドがたくさんあることに気づくと思う。10日から31日までに設定される投資信託の本数は24本で、このうち15本に償還期日が設けられている。

 繰り返しになるが、投信は長期的な資産形成を行うためのもの。本来なら償還期日などないほうがいいはずだ。たとえば、前ページ表の岡三アセットマネジメントの「日本株テーマセレクション」は2016年8月26日設定で、償還期日は26年8月14日。つまり運用期間は10年だ。償還期日が到来すれば、その投信の運用は終わってしまう。運用を続けたくてもできないのだ。

 「長期的な資産形成を行うためのもの」という投信の存在意義からすれば、本来は償還期日を「無期限」にするべきである。実際、償還期日を無期限とする投信が数多く運用されている時期もあった。

 償還期日を設けた投信には、数億円という小規模ファンドの状態でも運用されているケースが非常に多い。この手の投信の運用を継続しても赤字を出すだけだし、ファンドマネジャーのモチベーションが上がらず運用成績はジリ貧をたどるばかりだ。

 現在、運用されている投信の本数は、増える一方。04年8月の本数は2533本だったが、16年6月時点では5929本まで増加した。ここまで増えているにもかかわらず、さらに多数の投信が新規設定されている。純資産総額が数億円規模の赤字ファンドが多く存在するにもかかわらず、新しい投信の設定が続いているのだ。

 償還期日を設けた投信だと、純資産総額が減少して赤字ファンドになれば期日が到来した時点で強制的に償還できる。逆に、期日前でも人気が衰えず純資産総額が大きいままであれば、約款変更で償還期日を延期させれば済むが、大半の投信は運用開始から数年以内に解約がどんどん増えて、純資産総額が大きく目減りしてしまう。このため、約款変更で期日を延期できる投信はごく一部に過ぎない。

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最終更新:8/16(火) 16:31

会社四季報オンライン