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機関投資家も注視、活発化する企業の「社会的取り組み」って? 

会社四季報オンライン 8/12(金) 21:06配信

 「山の日」を迎えたばかりですが、「キャンプ」と聞くと何を思い浮かべますか。星降る空?  それともキャンプファイヤー?  思いを馳せる夏の情景はさまざまでしょう。

 企業の開催するキャンプが今夏、熱を帯びています。定員を超える応募が集まるなどの人気ぶり。すぐには業績拡大に直結しなくても、あえて力を入れる会社。いったい、どのような狙いで傾注しているのでしょうか。

■ 自社製品のファン作りに一役

 8月7日午後5時の東京駅。キャンプを終えて真っ黒に日焼けした子どもたちが大きなリュックを背負い、仲間たちと手をつないで帰ってきました。

 迎えにきた両親の顔を見たとたん、ほっとしたのか涙があふれる女の子。「魚が釣れて楽しかったけれど、今晩はやっぱり肉が食べたいな」と甘える男の子。無人島体験を終えてさすがに疲れも出ているのでしょう。

 それでも、最後には「また会おうな!  絶対だよ!」と言い残して家路に就く子どもたち。一緒に過ごした仲間たちに大きく手を振って別れを惜しむ姿が印象的でした。

 兵庫・姫路港から船で揺られること40分余り。瀬戸内海の家島諸島に子どもたちの過ごした無人島があります。美しい海に囲まれた「松島」です。子どもたちはテントを張って、5泊6日の無人島生活。電気、ガスは通っておらず、食事は貝や魚を採ってさばくところから調理。火をおこすのも全部、自分たちの手で行いました。

 このキャンプは森永製菓 <2201> が1999年から実施しています。「おいしく、たのしく、すこやかに」を企業理念として掲げる同社。未来を担う子どもたちの健やかな成長を支援しようと、CSR(企業の社会的責任)活動の一環で始めました。

 30~50人の定員枠に対し、ピーク時には4000~5000人の応募があったそうです。16回目を迎える今年は、小学4~6年生32人の児童が参加しました。

 キャンプには毎年、約20名のスタッフが同行。ところが、社内では、恒例となったこの企画を今夏は断念しようとの声が上がっていたそうです。これまでキャンプを行っていた奄美大島の無人島が使えなくなったためです。

 「もう、続けるのは難しいのだろうか……」。そんな迷いを口にする社員を、社長の新井徹さんは一喝したといいます。「自分たちの企業ミッションを忘れたのか!  そんなことであきらめるとは……」。

 CSR委員会のトップも務める新井さんの思いにコーポレートコミュニケーション部の塩原真紀さんは一念発起。今夏のキャンプ実施に向けて昨冬から無人島へ何度も足を運んで調査を進めました。実は、塩原さんも15年前にこのキャンプを体験した一人だったのです。

 参加したのは小学校5年生のとき。このキャンプが人生のターニングポイントになったと話します。「何もない無人島で、衣・食・住すべてを自ら考えて仲間と協力し挑戦することで自信がついた。(参加すれば)何かが起きたときに臨機応変に対応できる力もつくはず」。同行してくれたスタッフとの信頼関係もかけがえのない宝物になった、と当時を振り返ります。

 キャンプ中の食事は海で採取した魚と貝。ほかはスタッフが準備したコメと缶詰のみです。ただ、会社側はいざというときの行動食(携帯食)として、ウイダーインゼリーやビスケットなど自社のお菓子を配るそうです。

 自分たちで炊事の火をおこすのに1時間余り。おなかをすかせた子どもたちにとって、お菓子の味は格別でしょう。キャンプの参加費用はすべて会社側が負担しています。それでも、無人島の体験と思い出のお菓子の味は「森永ファン」作りの面でどんな広告よりも大きな効果があるのかもしれません。

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最終更新:8/17(水) 11:26

会社四季報オンライン

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