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トランプの選挙戦もこれで終わる?「オバマはISISの創設者」

ニューズウィーク日本版 8/12(金) 17:01配信

<戦没者遺族に噛み付いて以来、支持率は下がり、党内の造反者は急増するなか、トランプがまた耳を疑うことを言い出した。ISISを作ったのがオバマとクリントンだというのだ。遂に追い詰められたのだろうか>

 米共和党の大統領候補ドナルド・トランプの暴言が止まらない。今週は2日連続で、バラク・オバマ米大統領がテロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の「創設者」だと発言した。民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンも同罪だという。

 10日にフロリダ州サンライズで開かれた集会でトランプはこう語った。「ISISはオバマ大統領を称賛している。ISISを創設したのはオバマ大統領だ。そして、その共同創設者がいかさまヒラリーだ」

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なぜ「イスラム過激派」と言わないか

 トランプはまた、フロリダ州オーランドやカリフォルニア州サンバーナディーノで起きた銃乱射テロなど、ISISに感化されたローンウルフ(一匹狼)型のテロ事件に関し、クリントンが「イスラム過激派」という言葉を使わないことをやり玉に挙げた。

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 クリントンが「イスラム過激派」という言葉を使わないのは、ISISの暴虐ぶりはもはやどんなイスラムの教義からもかけ離れており、イスラム教への差別も招くからだが、トランプはそんなことはお構いなしだ。

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 ツイッターでトランプは「イスラム過激派という言葉を使うのを拒むくせに難民の受け入れ枠を550%も増やそうとしている」「我々の日常がイスラム過激派による脅威にさらされているのに、クリントンはイスラム過激派という言葉を使うことすらできない」などと投稿。「クリントンが加担した中東の戦争によって、破壊とテロ、そしてISISが世界各地に蔓延した。クリントンの判断は他の誰よりも最悪だ」



 トランプは選挙戦で、中東情勢が不安定になった責任はオバマにあると訴えてきた。オバマのミドルネーム「フセイン」を持ち出し「バラク・フセイン・オバマ」とわざわざフルネームで呼ぶのも、オバマをイスラム過激派と結びつけるためだ。トランプは従来、オバマがアメリカ人であることに疑義を呈し、イスラム教徒ではないかと口にしてきたが、ISISの創設者という陰謀論にまで踏み込んだのは、有権者の支持率が急低下し、共和党内でも造反者が急増していることによる焦りの表れだろう。

 一方でトランプは、2014年6月にISISがイスラム国家樹立を宣言したとき、オバマ政権にはその脅威に対する用意がなかったと、ISIS創始者説とは矛盾した非難も行っている。

 ISISはもともとイラクの国際テロ組織アルカイダの下部組織だった。2011年に始まったシリア内戦に乗じてシリアとイラクで勢力を拡大し、現在のISISを設立。2014年以降は次々に支配地域を広げた。

 オバマ政権は、2014年にISISがアメリカ人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリーの首を切断してその動画を公表したのを受けてISISに対する空爆を開始した。

ジャック・ムーア

最終更新:8/12(金) 17:01

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