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オンライン・ハラスメント、悪質コメントをどう防ぐか --- 小林 恭子

アゴラ 8/14(日) 12:21配信

(月刊誌「新聞研究(http://www.pressnet.or.jp/publication/kenkyu/)」7月号に掲載された筆者記事に補足しました。)

昨年来、メディア界でコメント欄を閉鎖するあるいは一部縮小する動きが目立つ。

米ウェブサイト「ザ・バージ」や「デイリー・ドット」などが、「管理が困難になった」という理由でコメント欄を閉鎖し、今年年頭には開かれたジャーナリズムを実践する英ガーディアン紙が「移民」や「人種」など大きな論争を呼びそうなトピックの記事の一部にコメントを受け付けないように変更した。

オンラインの言論空間で他者を不当に貶めたり、誹謗中傷するなど、いわゆる「オンライン・ハラスメント(嫌がらせ)」をどう対処するかに注目が集まっている。

5月12日、ロンドンで「ニュースインパクト・サミット(http://newsimpact.io/)」(オランダの非営利組織「欧州ジャーナリズムセンター」主催、グーグルニュースラボ協力)が開催された。

オンライン・ハラスメントの対処法やコメント欄改良の試みを取り上げたセッションを紹介したい。

反撃のためのウェブサイトを設置

「荒らし、オンライン・ハラスメント、メディア界の女性たち」と題されたセッションで最初に登壇したのが、米オハイオ大学で教鞭をとるミシェル・フリエリ氏だ。

2007年、同氏はフロリダ州のある地方紙で初の女性コラムニストになった。有色人種としても初だった。就任後、「リンチするぞ」など憎悪に満ちた手紙が送られてくるようになったという。3年間、同じ人物からの手紙は途切れることがなかった。しかし、実際にはたった一人が書き続けていたのではなく、「女性や有色人種の書き手の声を消そうとする、ヘイト・グループの手によるものだった」。

フリエリ氏は警察の助けを求めたが、具体的な犯罪行為を特定できなかったため、刑事事件として捜査が行われることはなかった。身の危険を感じたフリエリ氏は新聞社を辞め、家族とともにフロリダを離れざるを得なくなった。

ネット時代になり、ジャーナリストはソーシャルメディアや自分の記事についたコメントなどを通じて、「読者とインタラクティブな関係を持つことになった」。結果として、「心無いコメントやヘイト・スピーチの対象になる危険性が増している」と言う。「女性や有色人種はハラスメントの対象になりやすい」。

そこで同氏が立ち上げたのがハラスメントを受けた女性ジャーナリストを助けるウェブサイト「トロール・バスターズ(http://www.troll-busters.com/)」(「荒らしをやっつける」)。オンライン上で攻撃を受けたことをサイトに知らせると、1時間以内にネガティブなメッセージを打ち消すような前向きのメッセージを発信したり、バーチャルな「ハグ(抱擁)」のサインを送ったりする。オンライン上の脅しがオフラインの生活に影響を及ぼさないよう、ネット上でいかに個人情報の思わぬ漏えいを防ぐかについて情報を提供するほかに、法的手段を取りたい場合のアドバイスも与える。

非営利のナイト財団から3万5000ドル(約350万円)の投資を受けて立ち上げられたサイトは、ボランティアを含めた数人で運営され、24時間、活動を続けている。

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最終更新:8/14(日) 12:21

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