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「選手交代なし」は今季J1初!鳥栖のフィッカデンティ監督が明かす珍記録の舞台裏

SOCCER DIGEST Web 8/14(日) 7:30配信

イタリア人指揮官「彼らは、まだできたと思います」と冗談を飛ばしつつ、真の思惑を語り出した。

 
 J1第2ステージ8節の鳥栖対川崎は、まさにホームチームの思惑どおりの展開となった。完封勝利に貢献した鳥栖の谷口博之は「狙いどおりです。彼ら(川崎)もすごいプレッシャーに感じたんじゃないですかね」と語り、さらにこう続ける。

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「今日はディフェンスラインを結構高く保った。ディフェンスに関しては、監督から細かいところまで教えてもらっているので、それを上手く出せた。特に前からの(守備の)ハメ方などは言われていた」
 
 試合はキム・ミヌのゴールを守り切った鳥栖が1-0で勝利。J1タイ記録の8戦連続弾を逃した川崎の小林悠は「今日は鳥栖のやりたいサッカーに合わせてしまった」と肩を落とした。
 
 この一戦である珍記録が生まれていた。それは“選手交代なし”というもの。通常は交代可能な3枠の内、試合の流れに応じて選手を交代させる。しかし、鳥栖のマッシモ・フィッカデンディ監督はまったく動かなった。その理由を問われると、イタリア人指揮官はまず軽い冗談を飛ばす。
 
「彼らは、まだできたと思います。チームが機能している間、代えなければいけないというルールはないので、代えませんでした」
 
 その後、「ウチがペースを握ったままやれる、一番のやり方だった」と、“交代なし”の思惑を語り出す。
 
「DFをひとり増やすというアイデアはなかったです。戦い方が変わってしまうので。疲れている選手を代えて、投入した選手が役割をこなせなかった場合のリスクもあり、今日はデリケートな試合だったので、『動けるならそのままやってくれ』と思い、動きませんでした」
 

鳥栖の選手たちの本音は…「しんどかったけど、集中してゼロに抑えられた」。

 
 鳥栖対川崎戦は、蒸し風呂のような酷暑の中で行なわれた。気温26.7度、湿度81パーセント。見ているだけでも苦しくなるような環境のなか、フィッカデンティ監督は最後まで交代カードを切らなかった。
 
試合後、早坂良太は指揮官の狙いに言及。「流れ的に、どこか代えてバランスを崩れるのが嫌だったのかなと思う。中(選手たち)はしんどかったけど、集中してゼロに抑えられた」と語る。
 
90分を通して“マッシモ・イズム”を貫徹した鳥栖の選手たちは、一様に手応えを掴んだようだ。
 
「どこの試合で変わったというのはないけど、キャンプからずっとやり続けて、信じてやってきているから、どこかのタイミングで変わった。一人ひとりが『これで合っているんだ』と分かったところで結果が付いてきた」(吉田豊)
 
「鳥栖らしい強固なディフェンスになっている。やっていることは変わらないけど、結果が付いてきたのは自信になる。監督がやろうとしていることがすごくマッチしているし、相手にとって嫌なんだろうなと。監督の戦術は良いと思っているし、『これを言っていたんだな』というのを、選手たちが少しずつ感じている」(豊田陽平)
 
 イタリアサッカーの美学とも言えるようなウノ・ゼロ(1-0)の勝利に、フィッカデンティ監督は「前から潰しに行くという守備を90分通してやった。間違いなく今シーズンのベストゲーム」とご満悦の様子。こうして、今季J1初となる“選手交代なし”の珍記録は生まれた。
 
 
取材・文:大木勇(サッカーダイジェスト編集部)
 
 

最終更新:8/14(日) 7:30

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