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インドカレー店乱立の影に悪質ブローカーの存在

HARBOR BUSINESS Online 8/14(日) 9:10配信

 街を歩くと、やたらインドカレーの店を見かけることが増えたと感じるのではないだろうか? 事実、インド料理店の名目でタウンページに登録されている飲食店は’07年の302件から‘14年の1773件と7年間で約6倍に増加(出典:タウンページデータベース)。

⇒【資料】インド料理店登録件数推移

 その原因として「在日インド人が増えたこと」「日本人のエスニック料理への関心が高まったこと」など、さまざまな言説が語られるが、そもそも根本的な理由は「出店コストの安さ」と指摘するのは経済評論家の平野和之氏だ。

「ラーメン店などは2000万円~3000万円程度かかることもざらですが、インドカレー店は1000万円程度で、居抜きで安くあげれば数百万円程度でも出店できる。その理由は立地です。ラーメン店など、薄利で客の回転が重要な飲食店の場合は1階であることが必須条件ですが、インドカレー店ならば賃料の安い雑居ビルの2階以上や路地裏などでも十分に成立する。また、特殊な調理器具が少なく済むのも大きい。やろうと思えば家庭用の機材でも事足りるため、改装費用も抑えることができるのです」

◆ローコストゆえの過当競争で多くの店が火の車

 出店コストの安さはもちろん、ランニングコストが安いことも出店ラッシュに拍車をかける。

 「小麦粉でつくるナンのような『粉物』の原価率は、一般的な飲食店は4割程度なのに対し、インドカレー店は2~3割で済む。さらに調理を担当する外国人(インド、ネパール、バングラデシュ人等)は修行を積んだコックではない場合が多く、人件費も抑えられる。カレーは彼らにとって庶民料理で、訓練せずとも作れるうえ、味が濃く、脂っこいので料理の腕が味にあまり影響しないのです」

 こうして見るとインドカレー店の経営は割のいい投資のように思えるが、平野氏はそれを否定する。

「現状は過当競争。今から出店した場合、自分がオーナーシェフをしたとしても月に30万円程度の収入を得るのは大変。事実、多くの店が火の車になっています」

◆悪質業者に搾取される外国人労働者が急増中

 それを象徴する事件が6月に起きた。駒込などで5店舗を展開するインドカレー店「シャンティ」(現在は閉店)の運営会社が一方的に外国人従業員へ解雇を宣告。従業員への給料は’15年から滞り始め、’16年からは一切支払われていなかった。インド人、バングラデシュ人の従業員らは「未払い賃金・残業代」総額6296万円(1人平均420万円)を要求しており、行くあてもなく困窮している状態だ。

 なぜ、このようなことが起きるのか。

「訪日インド人や在日インド人が自ら出資して開店することもないわけではありませんが、現状の多くは出稼ぎ外国人を経営者として独立支援する形で営業させている。そうした外国人は多額の高金利の借金をして取得などでは現地のブローカーに手数料を支払っているケースもあるようで、悪質な場合はブローカーが日本の反社会勢力と結託し、タダ同然で働かされることも。これは、インド人に限ったことではないようです。法律も、言語も知らないのでは行政窓口に相談をすることも難しいので問題把握もされておらず、実質放置されている。日本に移り住む外国人が増加傾向にある昨今、あらゆる業態のビジネスでこうした問題が発生する恐れがあります。英国のEU離脱で移民問題が議論されていますが、日本も注意が必要です」

 外国人労働者の増加が顕著である昨今、彼らの権利を守るための体制づくりが急がれる。

【平野和之】

経済評論家。法政大学卒業後、上場企業勤務等を経て独立。テレビ出演、各種講演や執筆活動を行う。近著『図解 経済入門 基本と常識』(西東社)。

<取材・文/HBO編集部>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/15(月) 12:38

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