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人形町ライフ:男の『焦り』の終着駅は?東京の時の流れの早さは、目的無く過ごす者に冷たい

東京カレンダー 8/14(日) 5:20配信

東カレ読者には、港区、渋谷区、新宿区、目黒区、世田谷区あたりに住まう人々が多い。

しかし、東京の東エリアの引っ越し先として、東カレ読者層に唯一脚光を浴びる街がある。

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その街の名は『人形町』。

人形町の魅力にとりつかれ、人形町を愛してやまない人々の、人形町生活に迫る。

初回は、埼玉に生まれ社会人より上京し、外資系コンサル会社に勤務する由紀子(31)の人形町ライフに迫った。

今週は、24時間仕事の事しか頭にない仕事中毒人間、健司(37歳:ECベンチャー企業社長)の生態を紐解いてみよう。

「簡単には儲からないですよ、ECは。今年に入ってから休みは2日しか取れてません。でも、お陰様でなんとか来年中には黒字転換できそうな見込みがたってきました」

そう笑顔で苦労を語るのは、自身で越境ECサービスを起業して3年になる、健司(37)である。

見るからにエネルギーの塊といった風貌は、そのスーツ姿と相まって、海外遠征にでも行くスポーツ選手のようである。

土曜日の昼に、人形町のエクセルシオールカフェで仕事のチェックをしながら取材に応える健司は、この後すぐに福岡への出張へ向かうという。

元々はアパレル資材を扱う大手商社マンとしてのキャリアを送っていた健司は、“これからは海外を超えて、直接メーカーとユーザーが繋がる時代だ”と越境ECサービスを立ち上げる。

それが2年半前の2014年初頭のことである。

その頃は自由ヶ丘のマンションに住んでいたが、東銀座のオフィスから遠いため、やがて会社に寝泊まりするようになり、35歳を超えてそれは無いだろうと、真剣に家探しを始めたのが2014年の暮れ頃だった。

ワーカホリックとも言える健司に、なぜそこまで働くのかを問うと、意外な答えが返ってきた。

「一言でいうと“焦り”かも知れません」

聞けば、20代の頃の健司は、仕事も遊びも卒なくこなす、スタイリッシュな商社マンだったのだという。給料も20代の終わりには1,000万円を超えた。

しかし、特に東京では、男は30歳を過ぎると驚くほど差が付き始める。

それまでは『自分はかなり上の方だ』と思っていた一流企業戦士たちを突如襲いはじめる、同世代の起業家たちの活躍。会社の看板も無く戦う彼らに対して、焦燥感と嫉妬心が渦巻く。男の嫉妬は、女のそれよりも厄介だ。

「完全に負けてるなって思いました」

思いとは逆に、30歳頃から会社でも重要なポジションに着き始めるため、自分の時間はどんどん失われていく。その後、健司は事業計画作成、仲間の確保、資金準備など、実に4年の準備を経て、34歳で起業。

「あいつらは20代でこれをやってたんだって、物凄い後悔しました。毎日頑張ってるようで、僕は目の前の仕事をこなしてだけだったんだ、って。だから今でも僕は4~5年のビハインドがあるって思っています」

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最終更新:8/14(日) 5:20

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