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アップルの「公然の秘密」…iPhone、売上激減で「傾き」の兆候

Business Journal 8/15(月) 6:03配信

 アップルが先頃発表した4~6月期決算は売上高で前年同期比15%減と、前期の13%減に引き続き2期連続で減少している。いよいよ足踏みが止まらなくなってきた。

 アップルといえばイノベーションが代名詞になって久しいが、その史上ではすべてがパーソナルコンピュータ(PC)をベースにしたものであった。アップル2【編注:正式表示はローマ数字】はもとより、近年成功したiPod、iPhone、iPadにおいても端末自体の基本的なフレームワークはPCである。

 アップルの革新性のDNAはこのようにPCをベースにして受け継がれてきたが、2015年に開発されたアップルウォッチは競合製品の連続性から生まれたものであるため、非連続的なイノベーションとはいえないが、今や失速状態にある。

 このようにアップルが非連続的な営みのなかで革新性を生み出した製品はいずれもPCをフレームワークとするものであるが、アップルは現在その殻を破ろうと必死にもがいている。電気自動車(EV)の開発がそれである。今やアップルのEV開発は公然の秘密となっている。それでは、アップルはこのEVで革新性を取り戻せるのか。

 EVはすでに世界中のさまざまなメーカーが開発に注力している。なかでも米テスラモーターズはEVの実用化に成功し、多くのモデルをすでに市場に送り出している。こうしたなか、アップルが既存のEVから新たに非連続性の流れをつくり出すことができるのであろうか。

 先頃開催されたイベントで、テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は「アップルのEV開発は2020年以降に完了するだろう」との予測を示している。アップルがEVを起爆剤として期待するうえでも、非連続性の追求は必要不可欠となろう。

 iPhoneが開発されてすでに10年が経過した。今や売上高の6割以上を占めアップルの屋台骨を支えているこの製品は、今期の決算でも売上高の減少が止まらない。欧州では前年同期比で7%減、米国では11%減、ドル箱の中国では33%減と大幅な減少を記録している。

 アップルのようにハードを主力とする企業では、本業が傾かないうちに次の革新を起こすことが競争優位持続の源泉となる。20年に至るまでの4年という年月は、アップルにいかなる影響を与えるのか。仮に4年後にアップルのEVオリジナルモデルが開発されたとしても、それが連続性の産物なら、アップルの救世主になり得ないのは明らかである。それはもはや、アップルウォッチの再現にすぎないからだ。

 アップルのEV開発は、どのようにして非連続性を見いだすのか、興味深いところである。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)

雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員

最終更新:8/15(月) 6:03

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