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宝塚版『シカゴ』が本場ニューヨークでも愛されたワケ

Wedge 8/15(月) 11:31配信

 ニューヨークのリンカーンセンターで7月20日から24日の5日間、宝塚歌劇団が公演を行った。

 宝塚は過去にも2度ニューヨークで公演をしているけれど、今回の公演はこれまでとは違う。何しろ栄えあるリンカーンセンターフェスティバルに招聘されたのである。

 今年20周年記念を迎えたリンカーンセンターフェスティバルとは、毎年7月に世界中からダンスカンパニー、オペラ、演劇、オーケストラなど多彩な舞台芸術を集めた、言ってみればニューヨークの芸術祭だ。

 日本からはこれまで、すでに常連である歌舞伎の平成中村座、勅使川原三郎、蜷川カンパニー、宮本亜門などの一流どころが招聘されて、今年は観世宗家の能も公演を行った。宝塚は今回が初参加である。

ミュージカルの本場で「シカゴ」

 今回の宝塚の演目は、ミュージカル「シカゴ」だった。言わずと知れたブロードウェイの名作で、伝説的なボブ・フォッシーによる振付。過去にトニー賞をいくつも獲得したヒット作品だ。

 宝塚バージョンは、宝塚歌劇100周年を記念して2014年に制作されたもので、台詞は全て日本語。会場となったリンカーンセンターのデビッド・コッチ・シアターで舞台の上に電光掲示板が設けられ、英訳が流れた。

 主演を務めたのは過去の卒業生のトップスターたちで、合計6回の公演で峰さを理、麻路さき、姿月あさとが弁護士ビリー・フリン、和央ようか、湖月わたる、水夏希はヴェルマ・ケリーを、そして朝海ひかると大和悠河はロキシー・ハート役を日替わりで出演という、オールスター豪華キャストだった。

 とはいうものの、本家のミュージカル「シカゴ」は、現在もリンカーンセンターから2kmと離れていないブロードウェイの劇場で上演中である。ミュージカルの本場であるニューヨークに乗り込むのに、よりによって大胆な選択をしたものだと驚いた。

手厳しかったニューヨーク・タイムズの批評

 案の定、ニューヨーク・タイムズの批評は辛口だった。

 7月21日付、チャールズ・イシャーウッドによるレビューの切り口はこうだ。

 Do the Japanese have an expression similar to the British one, noting the folly of bringing coals to Newcastle? Maybe something about bringing a tuna fish sandwich to a sushi bar?

 (日本には、英国の「ニューキャッスルに石炭を持ち込む愚か者」に匹敵するような諺はあるのだろうか? 寿司屋にツナサンドイッチを持参する、というような感じだろうか? ※筆者注:ニューキャッスルは炭鉱のある町)

 冒頭からギャッと悲鳴を上げたくなるような、手厳しさである。でも最後まで小言ばかりではなかった。

 「シカゴ」の間の取り方、フォッシ特有の振付の味わいなどが感じられなかったと批評した一方、歌は全体によくこなれていて、特に峰さお理(ビリー・フリン)が朝海ひかる(ロキシー)を膝にのせて、操り人形の腹話術を披露するナンバーはハイライトだった、と評価する。

 また最後に見せた「Takarazuka Encore」と名づけたレビュー風の作品のメドレーは、純粋に楽しめたと褒めてあった。次回は是非、彼女たちの本拠地を訪ねて「ベルサイユのばら」など宝塚らしい作品を見たいと結んであるので、決して悪意のある記事ではない。

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最終更新:8/15(月) 11:31

Wedge

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