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片平里菜、弾き語りでみせた表現力の幅 玉田豊夢と共演果たした東京公演をレポート

リアルサウンド 8/15(月) 16:00配信

 シンガーソングライター・片平里菜が、8月12日に東京・恵比寿 ザ・ガーデンホールにて、全国弾き語りツアー『ねえだってこんな世の中だしせめてふたりは上手くやっていこう』のセミファイナル公演を開催した。片平は凛とした歌声と真っ直ぐな思いがこもった強い歌詞が、幅広い年代の男女や多くのアーティストから強い支持を受けているシンガーだ。弾き語りツアーは2013年から行なっており、今回で4年連続・4度目の開催となった。

 開演時間になると、片平は静かにステージに上がり、<もうだめだ もえつきた>と会場の緊張感を高ぶらせるように、「ながれぼしのうた」を歌唱。少し涼しくなった8月の夜に相応しいデビュー曲「夏の夜」では、よく通る声と圧倒的な声量で、会場を魅了した。「よろしくおねがいしまーす」と、これまでの緊張感を少しやわらげると、観客の手拍子とともに、ポップに等身大の女の子の恋を描いた「カフェイン」。序盤の3曲から、片平の表現力の幅広さを感じさせた。

 「今まで(の弾き語りツアー)はスタンディングだったんだけど、今回は椅子を用意しました。緊張感を掻き立てるね」と今回のツアーへの思いを語ると、地元・福島の海を思い浮かべて作ったという「舟漕ぐ人」を披露。続けて、ボブ・ディランの名曲「Blowin' in the Wind」を忌野清志郎が日本語バージョンで歌った「風に吹かれて」をカバー。「色んな問題があるけど、みんなそれぞれ答えを心の中に知っている。でも、できないのが人間なんだと思います。すごく人間らしい曲です」と、同楽曲を片平なりに解釈し、真っ直ぐで澱みのない声で歌い上げた。さらに、「ギターのリズムを聴きながら、聴いてください」と、未発表曲「夕日のうた」を歌い上げた。

 中盤、本公演のスペシャルゲスト・玉田豊夢(Dr.)をステージに呼び込んだ。玉田は今回のツアーでは、6月14日の広島クラブクアトロ公演、7月22日の郡山HIP SHOT JAPAN公演に出演。これまで、片平の数々の楽曲でドラムを担当してきたが、ライブでは初共演だという。片平が「ドラムとギターだけという斬新なセットは、私も初めてなので、ドキドキでした」と嬉しそうに話すと、向かい合って演奏を始めた。玉田との1曲目は、ラブソング「煙たい」。続いて、リズミカルなドラムから始まるロックチューン「BAD GIRL」では、「緊張感を破って、自由に遊んでいきましょう!」と呼びかけ、これまでとは異なるまくしたてるような歌声で、新たな一面を見せた。MCで玉田と回った広島、郡山での打ち上げの思い出を語ると、今回のツアータイトルにもなっている未発表曲「ねえだってこんな世の中だしせめてふたりは上手くやっていこう」を披露。そして、クラップや観客のシンガロングによる“ホーム”な雰囲気のなか歌った「Come Back Home」で、玉田との共演を締めくくった。

 再びギター1本で歌い上げたのは、「amazing sky」。さらに、「Party」のキャッチーなサビで観客の手拍子と共に会場を盛り上げると、そのまま彼女の伸びやかな歌声の魅力が詰まった「Hey Boy!」へ。そして、優しい歌いだしからゆったりとしたナンバー「Love Takes Time」。楽曲の終盤では大合唱で会場が一体となった。ラストは、マイクを通さずに、「最高の仕打ち」を披露。張り詰めた空気の中、会場の隅々にまで澄んだ歌声を響き渡らせ、本編が終了した。

 Tシャツ姿でアンコールに応えると、再び玉田をステージに呼び込んだ。「初めてレコーディングした曲です。一緒に歌ってください」と、代表曲ともいえる「女の子は泣かない」を披露。「聴いてくれる人、支えてくれる人がいて、東京に居場所ができました。たくさん曲を書いて、また皆に会える機会を作りたいと思います。ありがとう!」。ギター1本と声を頼りに福島から上京してきた片平。ここからさらなる高みを目指していく、そんな決意が伝わってくる言葉だった。温かいギターの音と共に、最新シングル「結露」を切なげに歌い上げ、セミファイナル公演は幕を閉じた。

 過去、アラニス・モリセットやジャニス・ジャップリンといった、海外の女性シンガーへの憧れがあると話していた片平。本公演では、彼女の凛々しい佇まいや力強い歌声により磨きがかかり、憧れの存在も今後“憧れ”におさまらないことを予感させた。2017年3月に行なうという、東京、大阪でのホール公演では、一回り成長した片平の姿を本ツアーとはまた異なる角度から披露してくれることだろう。

村上夏菜

最終更新:8/15(月) 16:00

リアルサウンド