ここから本文です

カルト犯罪者、チャールズ・マンソンをよく知るための10の方法

ローリングストーン日本版 8/15(月) 19:00配信

12部構成のポッドキャストからインディーズの人形アニメまで。悪名高きカルト殺人者について、危険を冒さずに知ることができるさまざまな方法を紹介する。

裸体・ドラッグ・カルト指導者あり、デニス・ホッパー監督・主演の衝撃作品を振り返る

1969年8月、チャールズ・マンソンは60年代の自由奔放な雰囲気を凍りつかせた。ラヴ&ピースを歌う長髪で愛らしい目をした女性たちをそそのかし、有名なハリウッド女優の首を切り、彼女の友人たちを刺殺しお腹の中の子供まで死に至らしめたチャールズ・マンソンは、当時のアメリカを震撼させた。それから約50年が経った今もなお、マンソンはポップカルチャーの世界で英雄視されている。彼が死んだとしても、新しい書籍や映画などが繰り返し世に出され、陰謀論や事件の顛末は語り継がれるだろう。ポップカルチャーの中で、チャールズ・マンソンの伝説は忘れ去られることはない。ここに、マンソン・ファミリーについて知ることができる10のユニークな方法を紹介する。それぞれ、アメリカの歴史の中で最も狂気じみた一夜について語っている。

「You Must Remember This」の12部構成のポッドキャスト
2015年、スレート(オンラインマガジン)の人気ポッドキャスト『You Must Remember This』のホスト役であるカリーナ・ロングワースは、ハリウッドの目から見たマンソン神話に関する12部作のポッドキャストを制作した。子供時代、宗教観、政治的イデオロギー、ロック音楽への執着、狂気の哲学まで、チャールズ・マンソンを悪名高き犯罪へと導いたバックグラウンドを徹底的にリサーチしている。ロングワースはマンソン・ファミリーを当時の混迷する社会政治と絡めてストーリー仕立てにし、殺人者や被害者たちの個人的な側面までも描いた。マンソン・ファミリーの少女の一人が他のメンバーのハンバーガーにLSDを混入させたエピソードや、シャロン・テートとロマン・ポランスキーとの結婚生活にまで踏み込んでいる。

『The Girls』(エマ・クライン著)
マンソンの若き女性信者たちの恒久的な神秘性については、これまで深く分析されたことはなかった。著書『The Girls』で小説家としてデビューしたエマ・クラインは、ティーンエイジャーの少女イーヴィ・ボイドの目を通して、1969年夏のできごとを再現している。マンソンの実名は伏せられているものの、登場人物はスーザン・アトキンス、リディア・カサビアン、デニス・ウィルソン、カルト教団のリーダー本人をモデルにしているのは間違いない。殺人事件についても事細かに描写されているが、事件に至るまでの経緯が最も印象深く引き込まれる部分である。物語では、若者を惹きつけるマンソンの魅力に惑わされていた女性信者たちが、事件発覚後に報道されたセンセーショナルな事実を知ることで目が覚める。主人公のイーヴィは、マンソン・ファミリーを客観的に観察する語り部として描かれ、ラッセル(マンソンをモデルにした登場人物)の最も忠実な女性信者として荒れた牧場でLSDを決めたり、ラッセルと恋に落ちたりする。

『アクエリアス』シリーズ(NBC)
マンソン・ファミリーのエピソードを題材にしたNBCの人気テレビドラマシリーズで、主役であるロサンゼルス署のベテラン刑事をデイヴィッド・ドゥカヴニーが演じている。物語では、行方不明の少女を捜索する過程でマンソンのカルト教団に捜査が及び、サム・ホディアック刑事(ドゥカヴニー)がマンソン・ファミリーに個人的に深く関わっていく。当時の潜在的な人種差別やカルチャーが描かれ、使用される楽曲もドラマにマッチしている。ドラマはフィクションであると強調しているが、マンソン・ファミリーが使用していた黒塗りの大型バス、幻覚ドラッグの常習、マンソンの音楽業界との怪しい関係や、殺人事件現場に被害者の血で"pig"と書き残す点(訳註:この行為はザ・ビートルズの楽曲『ピッギーズ(原題:Piggies)』にインスパイアされたという説もある)など、事実に基づく描写も多く見られる。

ドキュメンタリー『Charles Manson: Journey Into Evil』
ドキュメンタリー番組『Charles Manson: Journey Into Evil』(1995年 バイオグラフィー・チャンネル)は、おそらく最も鬼気迫るチャールズ・マンソンのインタビューと言えるだろう。ジャーナリストのジュディ・マラーがナレーションを担当するこの番組には、額にかぎ十字を彫ったマンソンがわめき散らしているダイアン・ソイヤーとのインタビューシーン(1994年)や、レズリー・ヴァン・ホートンやパトリシア・クレンウィンケルら元信者たちとの面会の様子も挿入されている。その他、ロマン・ポランスキー、マンソンの有名な刑事事件弁護士であり『Helter Skelter』の著者ヴィンセント・ブリオシのインタビューも含まれる。当事者たちの証言を集めて事件を分析した番組である。

--{カルト犯罪者、チャールズ・マンソンをよく知るための10の方法(2)}--

ミュージカル・アニメ『リブ・フリーキー!ダイ・フリーキー!』
『リブ・フリーキー!ダイ・フリーキー!(原題:Live Freaky! Die Freaky!)』は、悪名高いチャールズ・マンソンを題材にした人形アニメで、パンク・アーティストのジョン・ローカーが監督を務めている。物語は3016年、みすぼらしい放浪者がロサンゼルスの廃墟をさまよう最中に、ブリオシ著の『Helter Skelter』を発見するところから始まる。チャールズ・マンソンやスーザン・アトキンスの本名は使われていないものの、シャロン・テートをシャロン・ヘイトとするなど、登場人物の名前は実在の名前をもじったものになっている。さらに、ビートルズの『抱きしめたい(原題:I Want To Hold Your Hand)』には、"殺人を教唆するサブリミナル・メッセージが含まれている"と主張している。2006年に制作された本作品のナレーションはランシドのヴォーカル、ティム・アームストロングが担当し、ビリー・ジョー・アームストロング、ジョン・ドウ、ザ・マッデン・ブラザーズなど彼の友人たちも協力している。繰り返すが、本作品の製作時期は2006年である(訳註:ザ・マッデン・ブラザーズの結成は2011年)。映画の結末でハンソン・ファミリー (マンソン・ファミリーをもじったもの)は逮捕され、死刑判決を受けて刑を執行される。

コメディ番組『Last Podcast on the Left』
実際の犯罪を題材にした人気の週間コメディ番組『Last Podcast on the Left』は、チャールズ・マンソンの伝記(3部作)を制作した。ベン・ミッセル、ヘンリー・ゼブロウスキー、マーカス・パークスといった3人のコメディアンが、マンソンのやんちゃな子供時代を詳細に振り返り、パネルディスカッション形式で面白おかしく語り合っている。奔放な母親の話や、非行を繰り返し刑務所行きになった少年時代も話題に。また、いたずらをした罰として、叔父がマンソンに女の子の服を着せて学校の初日に登校させたエピソードも紹介している。コメディアンたちの物まねも驚くほど似ている。

アルバム『The Family Jams』
『The Family Jams』は、マンソンの逮捕直後にレコーディングされたママス&パパス風のアルバムである。教団のリーダー本人はレコーディングに参加していないものの、曲のクレジットにはマンソンの名前が表記され、クレム・グローガン、スキーキー・フロム、キャサリン・ジプシー・シェアなど、マンソン・ファミリーのとりわけ忠実な信者たちが熱狂的に歌っている。1970年にレコーディングされた同アルバムは、1997年までリリースされなかった。オリジナルの録音テープは、地下室に厳重に保管されているという。曲はマンソンの逮捕を直接のテーマにしているが、特に『Get On Home』は、ファミリーの額に彫られた悪名高いかぎ十字について歌っている。

ドキュメンタリー映画『Charles Manson Superstar』
ニコラス・シュレックによる物議をかもしたドキュメンタリー『Charles Manson Superstar』は、1989年に公開されたが、本作はマンソンを擁護するものだという非難の声もあり、2002年までDVD化されなかった。シュレックは、サン・クエンティン刑務所でマンソンに直接インタビューを行っている。シュレックは、1969年にタイム誌の表紙を飾った象徴的な写真で始まる映画の中で、マンソンとその事件をセンセーショナルに取り上げるメディアと、マンソンの名前に便乗した金儲け主義とを結びつけている。シュレックは、恐怖を煽りたがるアメリカのメディアにおけるマンソン神話の役割について深く掘り下げた。映画では、『Clang Bang Clang』や『Mechanical Man』などマンソンによるオリジナルの音楽がフィーチャーされている。両曲は、マンソンの逮捕後にレコード・プロデューサーのフィル・カウフマンによってリリースされたアルバム『Lie: The Love and Terror Cult』(1970年)に収録されている。陰謀論者たちは、ユニバーサル・オーダーに関するジェームズ・メイソンとのインタビュー・シーンに興味を持つだろう。

『60年代の過ぎた朝 ジョーン・ディディオン集』
ジョーン・ディディオンは1979年のエッセイ『60年代の過ぎた朝 ジョーン・ディディオン集(原題:The White Album)』で、一連のマンソンの事件が社会に与えた影響を実に鋭く描写している。彼女は、(シャロン・テート殺人事件の発生した)1969年8月9日をひとつの時代の終わりだったと断言し、その後カリフォルニア中に蔓延し続けた不安感について慎重に分析した。受賞歴のあるこのエッセイのハイライトは、マンソンとマンソン・ファミリーに不利な証言を行ったことで有名なリンダ・カサビアンとの刑務所での面会の一節だろう。ディディオンは、証言台に立つカサビアンのためにビバリーヒルズでドレスを選んであげたことを述懐している。かつてマンソン・ファミリーの一員だったカサビアンは、エメラルドグリーンのベルベット生地のショートドレスをリクエストした。それは被告側弁護人のヴィンセント・ブリオシが、「白のロングドレスは避けた方がよい」とアドバイスしたためだった。カサビアンはその間ずっと、発生から数カ月間ロサンゼルス郡一帯を恐怖に陥れた恐ろしい事件に関する証言をまとめていた。

テレビ番組『Manson’s Lost Girls』(Lifetime)
米ケーブル&衛星局のLifetimeが制作したテレビ映画。雰囲気は1969年というより2016年に近いが、エマ・クラインが『The Girls』を書く際のヒントにしたのと同じマンソン・ファミリーの非現実性が描かれている。物語はリンダ・カサビアンの目を通して進行する。カサビアンは自身が不幸な境遇にある時、ファミリーと出会い、仲間に入った。彼女はその後、最初の殺人の直前にマンソン・ファミリーから離脱した。パーティ・シーンは、花冠をつけた参加者が集うコーチェラ・フェスティバルのような感じだが、家を飛び出してチャーリーと呼ばれる男と行動を共にするようになる、当時の興奮と冒険心や畏敬の念を上手く表現している。リンダ・カサビアンやその他の少女たちはドラッグによる興奮状態や怖いものなしの感覚のせいで、サイコパス(マンソン)に魅了されてしまったが、後に彼との出会いを後悔することとなる。

Translation by Smokva Tokyo

Bryn Lovitt

最終更新:8/15(月) 19:10

ローリングストーン日本版

記事提供社からのご案内(外部サイト)

RollingStone 2017年WINTER

株式会社パワートゥザピープル

2017年WINTER
12月10日(土)発売

880円(税込)

特集:The Rolling Stones
約11年ぶりの新作インタヴュー
ONE OK ROCK
SUGIZO/TAKURO
浅井健一/西島隆弘 AAA

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。