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「百合子新党」旗揚げは安倍政権の改憲を後押しする

週プレNEWS 8/15(月) 6:00配信

都知事選で大勝し、女性初の都知事となった小池百合子氏。果たして、都民の期待に応え「都政の改革」を実行できるのだろうか?

『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、小池氏をめぐる今後の焦点について語る。

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都政初の女性知事が誕生した。

当選した小池百合子新都知事の得票数は約291万票。自民・公明などの推薦を受けた増田寛也(ひろや)候補が179万票、野党4党が推す鳥越俊太郎候補が134万票だから圧勝と言っていい。

“小池大勝”の底流にあるのは、有権者の政党不信だ。過去2回、都知事選は政策そっちのけで知名度のある候補が政党に担がれて勝利し、いずれも政治と金のスキャンダルで任期途中の辞任、というパターンが続いた。都民はそんな政党主導候補に不信感を抱いていた。

それにもかかわらず、増田候補は与党による徹底した組織選挙を展開。また、市民グループの支援を売りにしていた鳥越候補も、選挙戦終盤になると野党党首を従えて遊説に回り、政党主導色を強めてしまった。

一方の小池氏は自民の推薦が得られなかったことを逆手に取り、無組織選挙を前面に打ち出した。巨大な利権の巣窟、自民都連と戦うジャンヌ・ダルクというわかりやすい図式で都民の支持にうまくつなげた。

また、選挙の争点の設定も小池氏が完勝だった。鳥越陣営は「安倍政権の進める憲法改正を東京から止めたい」と訴えた。

しかし、今回の選挙は舛添要一前都知事の辞任を受けてのもので、都民の関心は政治資金や税金の無駄遣いの是正など、都政の改革にあったはずだ。

参院選では、外交・安保・憲法問題でのタカ派対ハト派の争いに大きな意義があったが、都知事選ではあくまでも二次的なものでしかない。何よりも重要な「改革」の旗印が何もなくては戦いにならない。その結果、改革を望む無党派層がタカ派とハト派の区別なく小池氏に流れることになってしまった。



今後の焦点は小池氏と自民都連、さらには安倍政権との関係だ。自民党内には党の手続きを踏まずに出馬し、保守分裂選挙を招いた小池氏への不満がくすぶっている。党除名などの厳しい処分は見送られる方向だが、小池氏が地域政党を立ち上げて対抗する可能性はある。

仮に、来年の都議選に向け、都政の改革勢力として「百合子新党」を旗揚げする。するとその先には、大阪維新と東西連携し、全国政党にするという構想まで視野に入る。

百合子新党と大阪維新は改憲勢力だ。この2党を安倍首相が利用しようと考えても不思議ではない。すでに衆院は与党が3分の2の議席を保有しているが、改憲にはやはり解散・総選挙をするべき、という流れになる。

もし、次の衆院選で与党が3分の2を割っても、百合子・維新連合がその分を補い、改憲につながる、というわけだ。

今回の改造人事で党幹事長に就任した二階俊博(としひろ)前総務会長は、小池氏を陰で支援していたともいわれる。二階氏が首相とのパイプ役になれば、安倍政権と百合子新党の結託もスムーズに行なわれるはず。

しかし、都民が小池氏に一番期待しているのはあくまで「都政の改革」だ。今は、求められる仕事を着実に進めてほしい。

●古賀茂明(こが・しげあき)
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)

(撮影/山形健司)

最終更新:8/15(月) 6:00

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