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民泊解禁決定で、旅行業界では最後のせめぎ合いが勃発中!?

HARBOR BUSINESS Online 8/15(月) 16:20配信

◆民泊VSホテル業界の単純図式ではない

 6月2日の閣議決定を経て、全国的な民泊解禁法案が今年度中にも国会に提出される。それを受けたビジネスの期待が高まる一方、ホテル業界に深刻なダメージを与えている海外の事例もあるだけに、不安視する向きも多い。

 だが、「民泊VSホテル業界と書くと、いかにも既得権益とニューエコノミーの対立のように見えますが、実際にはそう単純ではない」と話すのは、旅行業界に詳しいジャーナリストの向井通浩氏。

「実は全国的な民泊解禁を全面的に反対する主だったグループや陣営はいないんです。正確には検討が始まった頃、ホストと民泊住所の匿名性など民泊には問題点が多いことから、絶対に認めないという論調もあった。しかし話し合いが進む中で、合法化した上で適切に管理できる状態に置く方が良いと判断され、結果的に旅館業法の枠とは別に新法立案が決まったという流れです」

◆民泊側のロビー攻勢、守りを固める全旅連

 図式としては民泊陣営VS全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(以下、全旅連)となるが、全旅連とて民泊の全面禁止を求めている訳ではなく、旅館業法との整合性や、実際の宿泊者が安全に過ごすための担保は必要だと主張している。

 全旅連側の主張は、たとえば旅館業法では建築基準法や消防法をクリアした上で営業許可を得て維持しなければならないが、民泊がその要件を満たさずに営業できるのではフェアではなく、何より宿泊客の安全性を優先すべきといったことだ。

 一方、民泊陣営はどのような姿勢なのか。

 「まずロビー活動とイメージ戦略が強烈です。海外での事例では、規制に対する訴訟も起こしている。次に陣営の構成は、民泊サポート関連事業者、多くの空き部屋を抱える不動産業界と賃貸業者と続く。追い風となったのが民泊解禁賛成と意思表明し、次世代のIT産業とニューエコノミーを声高に掲げる楽天の三木谷浩史氏率いる新経済連盟。もとは民泊の合法化解禁を強く推し進めるとしたのは安倍政権の号令ですから、それと歩調を合わせる同連盟は最強の推進派と言えなくもない」

◆法案提出まで熾烈なロビー活動が続く

 三木谷氏に関しては、楽天トラベルの宿泊施設との間に矛盾も生じると思われるが、その点に関しての説明はなされていない。

「安倍政権は、遅くとも本年度中の国会での法案通過をさせ来年4月までの施行を目指しています。法案提出されるまでには、まだまだ両陣営のロビー活動は続行されるでしょう」

 政府の後押しを得た民泊側に有利な状況と言えるのだろうか。

「しかし、閣議決定直前の最終段階で盛り込まれた、民泊運営者が居住する物件と、居住しない物件や賃貸物件で営むケースを分ける案は大きく支持を得ている。年間営業180日以下の制限も決められた。これらは民泊推進側には痛手で、全旅連にとっては負けはない状況へ持ち込んだ。全国的に民泊が解禁になったとしても、決定権が各区市町村の条例にあるとしているのも、全旅連にとっては生命線です」

 では合法民泊の開始後は、どのような状況が予想されるのか?

「新法をどう遵守させるかにかかっていますね。違法民泊が少なからず存在するなかで、新法ができても取り締まりがなければ適正な運営管理は難しく、現行法の罰金はたったの3万円。さらにこの罰金に関しては見直しがされることになっている」

 業界間では最後の両陣営によるせめぎ合いがなされている現在。今後もその動きを注視していきたい。

【向井通浩】

250軒以上の安宿を網羅した国内最大のバックパッカー&ゲストハウス宿リンクサイト「ジャパン・バックパッカーズ・リンク」代表、ジャーナリスト。インバウンドとその周辺事情に精通している。

<文/HBO編集部 写真/Photoribraly >

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:8/15(月) 16:20

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